「技術コラム」の記事一覧 | SIMPC|シンプシー https://simpc.jp シンプシー Wed, 26 Mar 2025 00:53:36 +0000 ja hourly 1 https://simpc.jp/wp-content/uploads/2024/12/rika-icon-160x160.png 「技術コラム」の記事一覧 | SIMPC|シンプシー https://simpc.jp 32 32 IPv6について通信の仕組みやIPv4との違いからやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/about-ipv6/ Wed, 06 Nov 2019 04:23:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6105

光回線を使っていても、時間帯によっては通信速度が遅くなってしまい、快適に使えないという経験をしたことがある人も多いでしょう。 そんな通信速度の遅れを解消してくれるのが、「IPv6(あいぴーぶいろく)」。特に人口の集中して ... ]]>

光回線を使っていても、時間帯によっては通信速度が遅くなってしまい、快適に使えないという経験をしたことがある人も多いでしょう。

そんな通信速度の遅れを解消してくれるのが、「IPv6(あいぴーぶいろく)」。特に人口の集中している都心部や、アクセスが集中する夜7時~10時ごろによく通信を行うという人は、回線をIPV6に切り替えるだけで劇的に速くなるんです。

新しい通信規格:IPV6とは?

IPv6は、「Internet Protocol(インターネット・プロトコル) Version6」の略。インターネット・プロトコルというのはインターネットに接続するためのルールブックのようなもので、IPV6は6代目ルールブックということです。

スマホやパソコン、WindowsやiOSなど、端末やOSが違っても同じように通信が行えるのは、ほとんどの端末・OSが共通のルールブックを使っているからなのです。しかしそうは言っても、時代によってルールが変化するのは当然のこと。

現在主流となっているのは「IPV4」ですが、インターネットの普及によりIPV4のままでは様々な問題が起き始めているため、次世代バージョンである「IPV6」が利用されるようになってきたのです。

楠リカ
楠リカ

5がない理由は、IPV5は実験的に使われたプロトコルだからだよ。一般的には使われずV6が採用されたんだ。ちなみに、IPV4以前のV1・2・3も欠番なんだよ。

IPv6誕生のきっかけはIPアドレスの不足

IVP6になって何が変わるのかというと、一番大きいのはIPアドレスの数が増えるという点。IPアドレスはインターネットを利用する上での住所のようなもので、現行のIPV4では「0~255までの数字(10進数)を4つ並べたもの」となっています。

そうすると、IVP4で作ることができるIPアドレスの数は、「255の4乗=約43億通り」。爆発的にインターネットが普及した現在では、スマホ1人1台は当たり前、それに加えてパソコンやタブレット、その他家電や自動車など様々な機器もインターネットに接続するようになり、43億ではとても足りない状態となってしまっているのです。

そんなIPアドレス不足を解消するために、IPV6ではIPアドレスが「4桁の16進数(数字0~9、アルファベットA~F)を8つ並べたもの」になっています。これは43億のさらに4乗、「約340澗(かん)通り」ものアドレスが作られる計算。

楠リカ
楠リカ

「一十百千万億兆京垓杼穣溝“澗”」で34のあとに0が34個、ほぼ無限レベルだよ。

340澗個ものアドレスがあれば、世界中の人々全員に1兆個ずつIPアドレスを振り分けても、まだまだ余るというから驚きですね。

速度アップのカギはIPV6の「IPoE接続」

これまでの接続方式

現在インターネットへの接続方式には、IPV4で使われている「PPPoE」方式と、IPV6で使える「IPoE」方式の2つがあります。従来のPPPoEでは、インターネットへ接続する過程で、必ず「網終端装置」という装置を経由する必要がありました。

具体的に以下のルートをたどります。

インターネットの接続方法
  • 自宅
  • NTT回線
  • 網終端装置
  • プロバイダ→インターネット

しかしこの網終端装置、NTTの規定によって、たとえプロバイダの契約人数が増えようとも、なかなか増設することが難しいのです。

そうなるとユーザーの多い都心部や、夜7時~10時頃の通信が集中する時間帯には、混雑を起こして通信速度が落ちてしまう結果に。高速道路に例えるなら、料金所の数が少なく、しかもETCに対応していない…というようなもの。

いくら回線で高速通信が行えても、網終端装置で足止めを食らってしまうのです。この仕組みを解消するのが、IPV6で利用されている「IPoE」方式です。

IPoEの接続方式

PPPoEでは網終端装置を経由しなくてはならないため、通信が集中すると通信速度の低下に繋がります。しかしIPoEは網終端装置を経由せず、以下のようなルートになります。

インターネットの接続方法
  • 自宅
  • NTT回線
  • VNE事業者
  • インターネット

現在プロバイダは数百社ありますが、全てをNTT回線とそのまま接続できるようにするには、管理が難しいので、あらかじめ選出された数社のみが、VNE事業者としてIPV6に対応できる仕組みになっています。

前述のように高速道路に例えるなら、料金所がたくさんある上に全てETC対応で素通りOK、という状態です。また、単純にIPV6はまだ利用者が少ないため、混雑そのものが起きにくいというのも「通信速度が上がる」と言われる理由の一つ。

楠リカ
楠リカ

ちなみに、2019年3月現在、選出されているVNE事業者は以下の8社だよ。

インターネットの接続方法
  • NTTコミュニケーションズ
  • BIGLOBE
  • フリービット
  • BBIX
  • 日本ネットワークイネイブラー
  • インターネットマルチフィード
  • ASAHIネット
  • アルテリアネットワークス

IPV6に切り替えたのに遅い?2つの原因

IPV6の「PPPoE接続」に設定されている

IPV6=IPoEだと思われがちですが、IPV6はPPPoEとIPoE、どちらの接続方式も(機能上は)利用することができます。

IPV4IPV6
PPPoE
IPoE×

つまり契約内容によっては、「PPPoE方式のIPV6だった」ということもあり得るわけです。前述のとおり、PPPoE方式では網終端装置での混雑が避けられないため、通信速度はIPV4を使っていた時と変わりません。

あくまでも、IPV6で速くなるのはIPoE方式を使って網終端装置での混雑を避けた場合のみ。契約内容が「IPV6 IPoE」になっているか、確認してみましょう。

サイト側がIPV6非対応のケース

IPV6の弱点は、IPV4との互換性がない点。現在はまだIPV4からIPV6への過渡期にあるため、IPV6非対応のサイトも多くあります。

IPV6非対応のサイトをIPV6接続で閲覧することはできないので、IPV6非対応サイトに接続するときは、これまでと同じIPV4での接続になってしまうのです。

「IPV6に切り替えたのに、遅いままだ!」と感じる人は、おそらくIPV6非対応のサイトに接続しようとしている可能性大。IPV4にしか対応していないサイトに接続する場合には、接続速度が上がることはないのです。

「IPV4 over IPV6」で問題解決

通常ならばIPV4はPPPoE方式で網終端装置を経由しなければならないところ、IPV4通信でもIPV6と同じようにIPoE方式で網終端装置を迂回できるようにした技術が「IPV4 over IPV6」。

この技術により、IPV4にしか対応していないサイトに接続する場合でも、IPV6と同じように混雑を回避してスムーズな通信が行えるようになるのです。

IPV6を契約したりルーターを選んだりする際には、「IPV4 over IPV6」に対応しているかどうかも確認しましょう。

IPV6で通信を行うには

さて、IPV6について理解が深まったところで、次は「IPV6を利用するにはどうしたらいいのか?」について見ていきましょう。

最近ではIPV6の利用が標準装備となっているプロバイダやプランもあり、その場合は申込みや特別な手続きは不要です。

利用しているルーターがIPV6対応でさえあればOK。標準装備がされていない場合、使っているプロバイダによって多少手順は異なりますが、大まかには以下のようになります。

プロバイダがIPV6に対応しているか確認

まずは、利用している(しようと思っている)プロバイダがIPV6に対応しているかを、公式サイトや問い合わせ等で確認しましょう。契約プランによっても、IPV6接続サービスに申し込めるかどうかが異なるので、その点も要チェック。

プロバイダへIPV6接続のサービスを申し込む

プロバイダがIPV6に対応していることが確認できたら、IPV6接続サービスを申し込みましょう。

IPV6対応ルーターを準備する

IPV6対応のルーター、これがなければ始まりません。現在すでに使っているルーターがある場合は、IPV6に対応しているかどうか確認してください。

デバイスの設定をIPV6での通信にする

特に古い型のデバイスでは、初期設定でIPV6の通信をしないように設定されていることがあります。ここを通信可能にしておかないと、いくら契約やルーターをIPV6対応にしても意味がありません。

以上のステップを踏むことで、IPV6を利用してより快適にインターネットライフを送ることができます。

現時点でIPV6に対応しているかどうかを調べる方法

IPV6に対応しているかどうかを調べるためには、以下のページにアクセスして、継続テストしてみましょう。IPv6を利用しているかどうかを判定してくれます。

IPv6かどうか調べるサイト

「IPV6インターネットが速くなる理由」まとめ

「IPV6」は現在はまだ過渡期にあるため、サイトによって非対応だったりと、どんなものかが余計に分かりづらくなっています。

しかし一つ一つ紐解いていけば、そう難しい事はありません。光回線の速度低下に悩まされている人は、まずは今現在IPV6通信ができているのかどうかを確認し、対応できていないようならIPV6通信の契約を検討してみてください。

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光回線の戸建てと集合住宅における分配の仕組みと速度への影響をやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/kodate-shugo/ https://simpc.jp/rikatech/kodate-shugo/#comments Wed, 06 Nov 2019 04:20:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6145

光回線は、住んでいる建物によって契約できるプランが異なります。一戸建ての場合は戸建てタイプ、マンションやアパートの場合は集合住宅タイプ。 戸建てタイプと集合住宅タイプでは料金に大きな違いがありますし、集合住宅タイプは速度 ... ]]>

光回線は、住んでいる建物によって契約できるプランが異なります。一戸建ての場合は戸建てタイプ、マンションやアパートの場合は集合住宅タイプ。

戸建てタイプと集合住宅タイプでは料金に大きな違いがありますし、集合住宅タイプは速度が遅いなんて言われることもあって、何がどう違うのか疑問に思う人も多いと思います。

特に集合住宅であっても戸建てタイプのプランが選べるケースもあるので、選択の参考にしてみてください。

楠リカ
楠リカ

ここでは、光回線の戸建てタイプと集合住宅タイプについて、配線の仕組み、速度の違い、料金の違いなど様々な視点から詳しく解説するよ!

戸建てタイプと集合住宅タイプの違いは配線方式

戸建てタイプの場合、電柱から光ファイバーを直接家庭内に引き込み、契約家庭のみで利用するのが一般的です。

それに対して、集合住宅タイプでは、電柱からマンションやアパート内に引き込まれた光ファイバーは、一旦共有スペースにある「光スプリッタ」や「集合型回線終端装置」などの分岐装置に接続されます。

そこから、利用したい家庭の数だけ回線を分岐して、LANケーブルや光ファイバー、電話回線などを使って各戸までの接続が行われるのです。

つまり、1本の光回線をマンションやアパート全体で共有しているということですね。

「1本の回線を複数の家庭で共有して使うってことは、戸建てタイプに比べて通信速度が落ちるんじゃない?」と思われる方も多いです。

楠リカ
楠リカ

確かに、集合住宅タイプは戸建てタイプに比べて通信速度が安定しない傾向があるね。その理由は、次で詳しく説明するよ。

回線分岐による通信速度の低下について

よく「集合住宅タイプは1本の回線を分岐させて複数の家庭で共有しているから、通信速度が遅い」と言われますが、これは正解でもあり不正解でもあります。じつは集合住宅タイプに限らず、戸建てタイプでも全く同じ事は起こり得るのです。

例えばNTT回線の場合、まずは基地局内で4分岐され、その後局外のスプリッタで8分岐…つまり1本の光ファイバーに対して共有できる最大数は32ユーザーまでと決まっています。

戸建てだろうが集合住宅だろうが、最終的に各家庭に使われている回線は最大32分岐のうちの1分岐、ということ。唯一異なるのは、集合住宅タイプは最終的な32分岐を建物内で行っているという点だけです。

戸建の場合は家の近くにある電柱のスプリッタで8分岐が行われますが、引き込めるケーブルの長さには限りがあるので、民家がそれほど密集していない場所では8分岐すべてが埋まらないこともあります。

しかし集合住宅、特に世帯数の多いマンションなどでは確実に多くの分岐が埋まります。となると、必然的に戸建てよりも集合住宅のほうが、アクセスが集中して通信速度が落ちてしまう可能性が高い、ということになるのです。

ただし32ユーザー以上で共有する物件も

基本的には、集合住宅タイプのプランでも最大32分岐というのは前述の通り。しかし例外として、元からインターネット完備で大家さんや管理会社が一括でインターネット契約をしている場合には、32ユーザー以上で回線を共有する形になっていることも。

こういった物件はインターネット料金が無料だったり、格安で利用できることが多いのですが、できるだけコストを抑えるためにより多くのユーザーで1本の回線を利用する仕組みになっていることがあります。

その場合は、当然ながら戸建てに比べて通信速度は大幅に落ちてしまいます。

分岐後の配線方式にも速度低下の原因

集合住宅タイプが遅いと言われるのには、もう一つ理由があります。それは分岐装置以降の配線の方式の違い。

配線方式の種類
  • 光配線方式:集合装置から各戸までを、光ファイバーケーブルを使って配線
  • VDSL方式:集合装置から各戸までを、電話回線を使って配線
  • LAN配線方式:集合装置から各戸までを、LANケーブルを使って配線

つまりいくら高速通信が可能な光回線であっても、分岐装置以降の配線が電話回線やLANケーブルの場合は、そこで通信速度がガクッと落ちてしまうということです。

楠リカ
楠リカ

VDSL方式やLAN方式の場合、通信速度は最高でも100Mbps程度になってしまうんだよ。

集合住宅タイプの場合は、光配線方式、VDSL方式、LAN配線方式のどれが使われるのかも、しっかりと確認しましょう。

特に古めの集合住宅や、世帯数の多い大型マンションでは、VDSL方式やLAN配線方式が採用されている確率が高いです。

「マンションだけど、戸建てタイプのプランに変更したら速度が劇的に上がった」という場合は、「1本の光ファイバーを独占できるから」という理由ではなく「電話回線やLANケーブルを経由せずに直接部屋まで光ファイバーを引き込めるから」というのが大きな理由です。

集合住宅タイプは料金がお得

集合住宅タイプの場合、同じ集合住宅内での利用者の数が多いほど、料金が安くなります。例えばフレッツ光をモデルケースに挙げてみると、戸建てタイプの場合は月額料金5,700円(割引前)。

それに対して集合住宅タイプの場合、同じ集合住宅内で4契約以上の場合月額4,350円(割引前)、16契約以上の場合は3,350円(割引前)です。

楠リカ
楠リカ

戸建てタイプと比較すると、じつに2,350円もの差額があるんだ。

利用者が増えれば増えるほど回線が混雑する可能性は高くなりますが、その分月額料金が安くなるというのはとても大きなメリットですね。

さらに、集合住宅では工事費が抑えられるケースも多くあります。通常では15,000円前後かかる工事費ですが、集合住宅で既に屋内に回線が引き込まれている場合には、必要なのは各部屋までの配線工事のみで、工事費が半額以下で済むこともあります。

また、工事不要で壁のコンセントにケーブルをつなぐだけで使える場合などは、2,000円ほどの工事費(というよりも手数料的なものですね)だけで済むこともあるので嬉しいですね。

まとめ

料金面で見るなら、集合住宅タイプのほうがお得になるケースが大多数。ただし、通信速度の面から見ると、やはり戸建てタイプの方に軍配が上がります。

基本的に一戸建ての場合は戸建てタイプのプランしか選べませんが、マンションやアパートで集合住宅タイプと戸建てタイプのどちらかが選択できる場合は、料金と速度、どちらに重点を置くかで選びましょう。

楠リカ
楠リカ

最近では「NURO光マンションミニ」のように、集合住宅でも階数制限や利用人数制限が無しで戸建てプランと同様に利用できるプランも登場しているから、集合住宅での選択肢の幅が広がっているのでこちらも検討してみてもいいかもね。

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https://simpc.jp/rikatech/kodate-shugo/feed/ 3
光回線とADSL、ケーブルテレビ(CATV)の違いをやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/adsl-catv-chigai/ Wed, 06 Nov 2019 04:15:44 +0000 http://simpc.jp/?p=6113

現在、インターネットを利用するための固定回線には、「光回線」「ADSL」「CATV(ケーブルテレビ)」の3つがあります。それぞれスピードや初期費用、使える地域などに違いがあります。 ネット回線選びによってインターネットを ... ]]>

現在、インターネットを利用するための固定回線には、「光回線」「ADSL」「CATV(ケーブルテレビ)」の3つがあります。それぞれスピードや初期費用、使える地域などに違いがあります。

ネット回線選びによってインターネットを快適に利用できるかが大きく変わってくるので、失敗しないようにしたいですよね。

楠リカ
楠リカ

この記事では、ネット回線の中でも光回線をおすすめする理由とともに、それぞれの回線の違いについて解説します。

ADSL・光回線・CATVの比較一覧

まずは、違いを一覧にしたものが以下です。

ADSL光回線CATV
使用ケーブル固定電話回線
(メタルケーブル)
光回線
(光ファイバーケーブル)
ケーブルテレビ放送回線
(光ハイブリッド)
通信速度5Mbps~50Mbps100Mbps~1Gbps
(最大10Mbps)
5Mbps~1Gbps
通信の安定性低い高い普通
費用安い高い高い
エリアほぼ全国をカバーエリア外の地域もある地域限定

以上を踏まえた上で、ここからはそれぞれの違いについて深く掘り下げて見ていきましょう。

各種インターネットサービスの使用ケーブルの違い

それぞれの回線イメージを図にしてみました。

楠リカ
楠リカ

ADSL、光回線、CATVそれぞれで全然回線の種類が違うんだ。それぞれについて解説していくね。

電話回線を利用した「ADSL」

ADSLは「Asymmetric Digital Subscriber Line(アシンメトリック・デジタル・サブスクライバー・ライン)」の略で、日本語では「非対称デジタル加入者線」。名前からはどんなものかイメージがつきづらいですね。

ADSLは、既存の電話回線(メタルケーブル)を利用してインターネット通信を行うサービスのこと。以前はNTTの固定電話回線を持っている人でなければ利用できないサービスでしたが、現在では固定電話回線がなくても加入することは可能です。

光ファイバーを使った「光回線」

光回線は別名FTTH「Fiber To The Home(ファイバー・トゥ・ザ・ホーム)」とも呼ばれています。直訳すれば、「光ファイバーを直接家に引き込む」ということですね。

「ケーブル」と言えばADSLのメタルケーブルのように銅などの金属を利用したものが一般的ですが、光ケーブルは金属ではなくガラス繊維でできた「光ファイバー」で作られているのが特徴。

さらに電気信号ではなく「光信号(光を点滅させて情報を伝達)」を使うことにより、ADSLよりも高速通信、かつ大容量通信ができるようになったのです。

放送回線を利用した「CATV(ケーブルテレビ)」

CATV(ケーブルテレビ)は、その名の通り有線のテレビ放送のこと。元々は電波が届きにくい地域において、直接ケーブルを家まで繋いでテレビが見られるようにするサービスでした。

しかしテレビ放送用の同軸ケーブルと光ケーブルを組み合わせることによって、テレビ放送と同じケーブルを使ってインターネットサービスを利用することも可能です。

圧倒的な速さを誇る光回線

回線を選ぶ上で重要な速さに焦点を当てて選ぶなら、やはり光回線一択。ADSLが1~50Mbpsなのに対して、光回線は平均で100Mbps~1Gbps、最近では、最大10Gbpsのプランまで登場しています。

よく「光が進むスピードは電気より速いから、光回線は速いんでしょ?」と勘違いされることもあるのですが、実際に光も電気も、そのもののスピード自体にそう大きな違いはありません。

それではなぜADSLに比べて光回線が高速なのかと言えば、「光信号は電気信号に比べて同じ時間で多くの情報を送ることができるから」なんです。

光信号と電気信号の違い

電気信号は電圧の強弱、そして変調(周波数や位相を変えること)によってデータのやり取りを行います。

それに対して、光信号は光の点滅によってデータを送受信しますが、電圧を調整したり変調させたりするよりも、光を点滅させるほうが圧倒的に速いんです。

具体的には、電気信号は1秒間に100億個の信号、光信号は1秒間に1兆個。光信号は同じ時間でも、電気信号に比べて伝えられる情報量が多いので、結果的に通信速度が速くなるというわけなんですね。

CATVは「光ファイバー」ではなく「光ハイブリッド」

CATVでも、サービス名が「光なんとか」とか「なんとか光」になっているので、CATVでも光ファイバーを使っていることは間違いありません。

それなのに、CATVは光回線に比べて速度が遅いと言われるのはなぜなのか。CATVの場合、局から各戸付近の「変換器」までは光ファイバー、変換器から各戸まではテレビ放送にも使う同軸ケーブルが使われている光ハイブリッド形式だからなのです。

同軸ケーブル内では光信号ではなく電気信号に変換されますし、そもそもインターネット専用のケーブルではないため伝送効率も悪く、純粋な光ファイバーに比べると速度が出ないというわけです。

ADSLは通信の安定性が低い

ADSLの弱点は通信速度そのものだけではなく、通信の安定性の低さも挙げられます。ADSLの電気信号は減衰性が高いため、基地局から遠くなればなるほど不安定になるので、基地局から遠い地域では使い物にならないほど速度が落ちてしまうことも。

また、電磁波などのノイズに影響されやすいという特徴もあるため、安定した通信が難しいのです。また、CATVについても同様に、光ファイバーから先の同軸ケーブルはノイズを受けやすいため、通信が不安定になることがあります。その点、やはり安定性の面においても優れている光回線。

光信号は減衰性が低いため遠い場所まで安定して届く上に、ノイズに影響されにくく、速度が落ちにくいため快適にインターネットが使えることが特徴です。

費用が安いのは?月々の利用料と初期費用

よく言われるのが、「コストを抑えるならADSL、光回線やCATVは高い」ということ。これは正解でもあり、不正解でもあります。

基本的な月々の利用料だけで見れば、光回線やCATVに比べて、ADSLは平均的に1,000円~2,000円ほどコストが抑えられる傾向があります。ただし、ADSLは固定電話回線を持っていなかった場合、新たに電話加入権の購入(36,000円)や、電話線を引き込むための工事費用も必要。

月々の費用は抑えられても、初期費用で大きな出費が必要なこともあるのです。そしてもう一つ注目してほしいのが、各サービスの「セット割」。例えば、ADSLや光回線ならスマホ契約とのセット割、CATVならテレビ放送とのセット割などが一般的。

他のサービスとセットで契約すれば、例えば光回線でもADSLより安く使えたりすることもあるわけです。

楠リカ
楠リカ

光回線の場合は、nuro光のように3万円を超えるキャッシュバックが多いことも特徴です。だからこそ、ADSLとの値段差はほぼない、というよりも光回線の方がトータルで見て安いケースが多いですね。

利用エリアの問題

それぞれのメリットやデメリットについて解説していきましたが、地域によっては回線選択の余地がないこともあります。今後のサービスとして選ぶなら、これまでに書いたように圧倒的に光回線が高スペックでおすすめなのですが、残念ながら光回線には「エリア外の地域」というものが存在します。

数字上では光回線のエリアカバー率は96%を超えていると言われていますが、総務省の調査(NTT作製)によると、実際は対応エリアとなっている市町村でも、利用できるのは中心部のみで山間部などは利用不可というケースも多くあります。

そんな光回線の隙間を埋めるために必要なのが、ADSLやCATVといった、山間部や僻地でも利用できるサービスなんですね。

ADSLは2025年を目処にサービス終了

これまではインターネット回線の選択肢の一つとなっていたADSLですが、2025年の固定電話回線廃止を目処に、サービスが終了する予定です。

すでにどの事業者もADSLへの新規申し込みはできなくなっているので、今後新たにADSLを利用することはできません。現在ADSLを利用している人も、光回線やCATVへの乗り換えが必要となります。

「光回線、ADSL、CATVの違い」まとめ

今後の選択肢としておすすめするならば、やはり光回線。気になるコスト面も、スマホ契約とのセット割などで、とてもお得に利用することができるようになっています。

ADSLはすでに終了が決定しているサービスですし、光回線が使えるエリアなら光回線を選びましょう。ただしすでにCATVのテレビ放送を契約していたり、CATVでもFTTH方式を採用して光回線と同等の速度が期待できたりする場合には、CATVという選択肢もアリです。

楠リカ
楠リカ

基本的にはまず光回線で検討し、その上で場合に応じて他のインターネットサービスを検討するといいでしょう。今は基本的に固定回線なら光一択です。

光回線の中でも特に速いIPv6という仕組みがあり、これまでのIPv4よりも速く使うことができます。こちらについては以下を参考にしてください。

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ONUとは? 光回線終端装置の仕組み、役割と住居別の配線パターンを解説 https://simpc.jp/rikatech/about-onu/ Wed, 06 Nov 2019 04:15:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6125

パソコンなどの端末をインターネット回線に接続するための家庭内の中継機器として、「ONU」「モデム」「ルーター」などが存在します。 しかし各機器は見た目もざっくりとしたイメージもよく似ているので、具体的に何がどう違うのかわ ... ]]>

パソコンなどの端末をインターネット回線に接続するための家庭内の中継機器として、「ONU」「モデム」「ルーター」などが存在します。

しかし各機器は見た目もざっくりとしたイメージもよく似ているので、具体的に何がどう違うのかわからないという人も多いのではないでしょうか。

簡単にまとめてしまうと、「ONU=光回線で必要な機器」「モデム=ADSLや一部の光回線で必要な機器」「ルーター=複数の端末と同時通信するための機器」です。

楠リカ
楠リカ

ONUとモデムの違いをしっかりと理解していると、通信になにか不具合があったときなどに問題解決がしやすくなるので、覚えておいて損はないよ!

ONUとは「光回線終端装置」

ONUとは「Optical Network Unit(オプティカル・ネットワーク・ユニット)」の略で、「光回線終端装置」のことで、光信号と電気信号を変換しています。

インターネットを利用するためには端末を回線に接続する必要があるわけですが、光ファイバーケーブルを直接パソコンなどの端末に挿入して接続することはできません。なぜなら、光ファイバー内で使われているのは「光信号」であり、光信号のままでは端末側でデータを認識することができないからです。

端末側がデータを認識するためには、送られてきた光信号を電気信号へと変換しなくてはなりません。また逆に、端末からの電気信号は、光信号へ変換しないと光ファイバー内を通ることができません。

このように光信号から電気信号、または電気信号から光信号へと変換する役目を担っているのがONUであり、光回線を利用する際には必要不可欠な装置なのです。

モデムはアナログ信号をデジタル変換

主に固定電話回線を利用したアナログ通信が行われる、「ADSL」の場合に使われる機械ということになります。マンション等の集合住宅の場合、同じ光回線でも配線の仕組みがいくつかのパターンに分かれています。

まず光配線方式は、屋外の電線から光ファイバーを屋内に引き込み、光スプリッタという装置で分岐させて、各家庭まで光ファイバーを配線する方法。

光配線で分ける「光配線方式」

それに対してVDSL方式というのは、屋外の電線からマンションの共有部分までは光ファイバーを使い、共有部分から各部屋までは電話回線を使って配線が行われる仕組みです。

アナログで分ける「VDSL方式」

そのため、データは「光信号→アナログ信号→デジタル信号」という変遷をたどるので、各部屋でのインターネット接続にはONUではなくモデムが必要、というわけなんです。

ルーターは複数の端末で同時通信するための機器

ONUやモデムが各回線の「終端装置・変換器」であるのに対して、ルーターの機能は全くの別物になります。

ルーターの役割は、複数の端末で同時に通信ができるようにすること。家庭内に引き込んだ1本の回線を、数台のパソコンやスマホなどで共有できるようにするための機器が、ルーターなのです。

また、各端末をルーターに接続することで、端末同士がスムーズに通信(ファイルの共有など)できるようにもなります。

ルーター機能付きのONU

先程、ルーターは基本的にONUやモデムとセットで使うものと言いましたが、なぜか機械が1台しかないぞ?という場合があります。

これは、ルーター機能も搭載したONUが使われているケース。ルーター機能付きのONUなら、それ1台あれば信号の変換も回線の分岐もOK。

ただでさえごちゃごちゃしやすいパソコン周り、ルーターとONUが1台で済むのはとてもありがたいですね。

光電話に必要な光電話対応ルーター

光電話を利用する人の場合、光電話対応ルーターが必要になります。光電話対応ルーターがなければ、電話機を光回線に接続することができません。

光電話対応ルーターにもONU機能が一体化したものがあり、インターネットと光電話を同時に契約する場合には、一体型が使われることが多いです。

集合住宅ではONUが無い場合も

マンションやアパートなどの集合住宅の場合、光回線の配線方法に「光配線方式」や「VDSL方式」があることは前述しましたね。しかし光配線にはもう一つ、「LAN配線方式」という配線方法があります。

LANで分ける「LAN配線方式」

LAN配線方式では、電線から建物の共有部分にある「集合型回線終端装置」に光ファイバーを接続し、光信号から電気信号に変換。そこからLANケーブルを通して、各部屋へと繋げる仕組みになっています。

そのため、各部屋ではONUを設置する必要がなく、壁のLANポートに接続するだけでインターネットが使える…というわけなんです。

ONU(光回線終端装置の仕組み)のまとめ

光回線を利用するためのONU等の設置には、様々なパターンがあります。

ONUのパターン
  • 何も必要ない(マンション等でのLAN配線方式)
  • ONUのみ
  • ONU+ルーター
  • モデムのみ
  • モデム+ルーター
  • ONU+光電話対応ルーター+無線ルーター
  • ホームゲートウェイ

このように使いたい環境、集合住宅か一戸建てか、光電話の有無等の条件によっても、必要な機器は変化します。

ONUやモデムの基本的な機能・役割を知っておけば、なにか回線トラブルがあったときや、契約の内容を変更した時などにも対応がしやすくなるでしょう。

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光ファイバーが速い理由とその仕組み・構造・材質についてやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/about-optical-fiber/ Wed, 06 Nov 2019 04:14:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6133

今や固定回線による通信の基盤となっている光回線。そんな光回線に使われている「光ファイバー」ですが、なぜ光ファイバーを使うと高速通信が可能となるのでしょうか。 その理由は、光ファイバーの構造と光信号の仕組みにあります。この ... ]]>

今や固定回線による通信の基盤となっている光回線。そんな光回線に使われている「光ファイバー」ですが、なぜ光ファイバーを使うと高速通信が可能となるのでしょうか。

その理由は、光ファイバーの構造と光信号の仕組みにあります。この記事ではその光ファイバーの原理、伝送モード、材質の違いについて解説していきます。

楠リカ
楠リカ

光だから伝わるスピードが速いと思ってる人は勘違いだよ。別の理由で光回線はスピードが速いんだ。

光ファイバーとは?

従来の通信(固定電話やADSL)に使われていたのは、銅などの金属が材料の「メタルケーブル」。それに対して、高純度のガラス繊維(またはプラスチック繊維)が使われているのが「光ファイバーケーブル」です。

光ファイバーの中では電気信号ではなく、光信号によってデータが送受信されます。光信号は電気信号に比べて、大容量通信、そして高速通信が可能。

インターネットの光回線はもとより、医療用機器や様々な計測機器などにも利用されているのです。

楠リカ
楠リカ

クリスマスシーズンになると、透明な(白っぽい)細いファイバーでできたクリスマスツリーを見かけることがあるよね。あれも光ファイバーなんだよ。

繊維にただ光を通しただけでは、当然ですが光は様々は方向に散ってしまい、それほど遠くまで届けることはできませんよね。

そこで、光ファイバーは「コア」と呼ばれる中心部分と、「クラッド」と呼ばれる外側部分の二重構造になっています。光ファイバーの、正面・横それぞれの断面イメージ図がこちら。

コアとクラッドには屈折率の違いがあり、コアは屈折率が高く、クラッドは屈折率が低い素材。コアに入った光はクラッドとの境界面で全反射を繰り返しながら、光ファイバーの中を進んでいくのです。

楠リカ
楠リカ

ちなみに、コアの中を進む光の速さは、1秒間に地球5周できるほどのスピードなんだよ。

光信号は高スピードの光の点滅

インターネットのデータ通信に限らずデジタルデバイスでは、1と0を使った2進法が使われています。電気信号の場合は、簡単に言えば電気が流れている状態が1、流れていない状態が0。

それと同じように、光信号では光を高速で点滅させて、光が点いている状態を1、点いていない状態を0として情報を伝える仕組みです。

楠リカ
楠リカ

つまりデータをより多く、そして速く送るためのカギは、1と0をどれだけ高速で切り替えられるかって点にかかっているわけだね。

よく「光信号は光だから、すごく速いんでしょ?」という声も耳にしますが、これは間違い。光も電気も、そのもののスピードには大きな差はありません。

それではなぜ光信号を使った光回線のほうが速いのかと言えば、「光信号は電気信号に比べて1と0の切り替えが高速でできるから」というのが理由。

つまり、電気の変調よりも光の点滅のほうがスピードが速いんです。具体的に言えば、電気信号は1秒間に約100億個の信号が送れるのに対し、光信号は1秒間に1兆個もの信号を送ることが可能。

そのため、光信号は電気信号に比べて、短時間でより大容量の通信を行うことができるのです。

光ファイバーは減衰性が低く長距離通信に向き

光ファイバーの速さの秘密は、光信号の仕組みだけではありません。速さを決定づける要因には、「減衰率の低さ」や「伝搬の安定性」も関係します。

いくら高速でデータを送っても、遠くまでは届かなかったり、ノイズに邪魔されたのでは高速通信は実現できませんからね。

光ファイバー・光信号の減衰率が低く安定して伝搬できるのには、主に2つの理由があります。

楠リカ
楠リカ

まず1つ目は、光を拡散させない光ファイバーの構造にあるよ。

遠くに行くに連れて光が弱くなるのは、光が拡散してしまうのが理由。しかし光ファイバーではコアの中で光を極力拡散させずに屈折させることで、より遠くまで届けることができる仕組みになっています。

楠リカ
楠リカ

2つ目の理由は、ノイズに強い材質だからだよ。

光ファイバーに主に使われている「石英ガラス」は、電気を通しません。そのため、外部からの電磁波を受けにくいという特徴があります。

ノイズに邪魔されることがないので、安定して信号を送受信することができるのです。上記のような特徴から、光ファイバーは従来のメタルケーブルに比べて、安定して長距離通信を行うことができるのです。

光ファイバーの材質について

素材による分類

光ファイバーと言えば「石英ガラス」が使われるのが一般的ですが、他の素材で作られた光ファイバーも存在します。光回線の光通信で使われているのは、主に「石英ガラス」「プラスチック」「フッ化物ガラス」の3種。それぞれの特徴を、簡単に見てみましょう。

石英ガラス

光通信には最も多く使われている素材で、減衰率が低いので、長距離高速通信に利用されます。

プラスチック

コストが低く取り扱いも容易です。しかしガラスに比べると減衰率が高いので、近距離の通信向け。

フッ化物ガラス

フッ化ガラスは石英ガラスよりさらに減衰率が低いため、海底ケーブルなど超長距離の通信に用いられます。

このように、光ファイバーの素材を使い分けることで、より低価格かつ安定した通信が行えるサービスの提供ができている、というわけなんです。

楠リカ
楠リカ

フッ化物光ファイバーについては、ファイバーラボから提供されてるよ。

光ファイバーの伝送方法による分類

光ファイバーには素材の他にも、伝送方法による種類の違いもあります。その種類は、大きく分けて2つ。「シングルモード」と「マルチモード」です。

シングルモード:長距離で安定して使える

シングルモードは直径が9.2μという超極細のコアで、単一のモード(光の経路)を使って通信を行う光ファイバー。径が細いと光はより直線的に進むため、光の分散が小さくなる(=減衰率が低くなる)という特徴があります。

そのため、最大40kmの長距離の通信が可能。ただし接合など取扱が難しい面があるため、接続がうまく言っていない場合は減衰率が大幅に高くなってしまうことも。

マルチモード:大容量通信が可能だか利用は数キロ圏内

マルチモードは50μ・62.5μの径が使われている光ファイバーの中を、複数のモードで伝送する方法。

シングルモードに比べて大容量の通信が可能な反面、反射回数が多いモードと少ないモードでは到達時間に差が出てしまう「モード分散」が大きいため、利用は数km程度の近距離に限られます。

まとめ

光ファイバーの速さの理由は、電気信号よりも圧倒的に情報量を伝えられる「光信号」にあります。そして光信号をより効率的かつ低コストで伝搬できるように、様々な材質、そして伝搬方法が適材適所に使い分けられているというわけですね。

しかも通信のさらなる大容量化・高速化に向けて、光ファイバーそのものも次世代のものへと移り変わりつつあります。

例えば、クラッド内に複数のコアを配置する「マルチコアファイバー」。実用化が進めば、伝送容量は現在の100倍にもなると言われている技術です。

楠リカ
楠リカ

マルチコアファイバーの説明は、フォトニックサイエンステクノロジのこちらの説明がとてもわかりやすいよ。ぜひ一度見てみてね。

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NTT固定電話と光電話の違いについてやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/about-telephone/ https://simpc.jp/rikatech/about-telephone/#comments Wed, 06 Nov 2019 04:10:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6119

光回線に加入すると、オプションで「光電話」を利用できるようになっています。しかし光電話がどんなものかわからない、すでにNTT電話を使っているけど何がどう違うの?と疑問に思っている人も多いでしょう。 結論から言えば、光電話 ... ]]>

光回線に加入すると、オプションで「光電話」を利用できるようになっています。しかし光電話がどんなものかわからない、すでにNTT電話を使っているけど何がどう違うの?と疑問に思っている人も多いでしょう。

結論から言えば、光電話はNTT電話とほぼ同じように使えてさらに料金が劇的に安くなります。そこで、ここでは光電話とNTT電話の違いについて詳しく解説しました。

楠リカ
楠リカ

この記事を読んだら、光電話がNTT回線に比べて、いかに初期費用が安く、ランニングコストが優れているかがわかるはずです。

光電話とは?

従来のNTTの固定電話では、「アナログ電話回線」により通話を行います。それに対して光電話は、「光回線」を使って通話を行う方式。

アナログ電話回線は銅などを使ったメタルケーブル、一方で光回線はガラスを原料とした光ファイバーケーブルが使われています。

光回線は元々インターネットを利用するために使われる回線ですが、光電話対応ルーターを使うことで、光回線を電話回線としても利用することができる仕組みになっているのです。

NTTの電話と光電話の違いを項目別に解説

初期費用の違い(光電話に電話加入権は不要)

NTT電話の場合、初期費用として必要なのは以下の2つ。

NTT固定電話に必要なもの
  • 電話加入権購入費(施設設置負担金)…36,000円
  • 契約料…800円

施設設置負担金の中に、諸々の工事費等も含まれています。正直結構なお値段のする電話加入権ですが、人への譲渡が可能なので、オークション等で数千円で入手することもできます。その場合は、初期費用をグンと下げることができますね。

一方、光電話の場合、すでにインターネットで光回線を利用している場合には、追加の費用は工事費・契約料合わせて3,000円~10,000円ほど。

楠リカ
楠リカ

もしインターネットと光電話を同時に契約する場合には、光電話分の工事は無料もしくは割安になることが多いのですが、インターネットの開通工事費と合わせて15,000円~18,000円ほどが必要ですが、実はほとんどのケースで無料になるパターンが多いですね。

NTT電話も光電話もやり方によっては初期費用を大幅に抑えることができますが、やはり基本的な初期費用は「光電話の方がNTT電話よりも安い」ですね。

NTT電話と光電話の基本料金の違い

通話料金は節約することも可能ですが、基本料金は加入してしまえば毎月必ず発生する固定費です。節約を考えるなら、まずは基本料金をいかに抑えるかがカギですよね。

NTT電話の住宅用回線の場合、地域にもよりますが、基本料金は1,450円~1,700円(以下から基本料金を調べることができます)。

各電話料金へのリンク

近年では携帯電話の普及で、固定電話をほとんど使わないという人も増えていますから、ほとんど使わないのに毎月1,450円以上支払うのはもったいないですよね。

その点、光電話なら、多くの場合500円前後の基本料で利用することが可能。基本料を3分の1以下に抑えられるので、ランニングコストの面でも光電話はおすすめなのです。

光電話の通話料は国内一律で通話料が劇的に安くなる

NTT電話の場合、各地に設置されている「交換機」を経由すればするほど、通話料は高くなります。つまり、遠距離になるほど通話料が高くなってしまうということですね。それぞれの電話料をまとめたものがこちら。

NTT電話光電話
固定電話8.5~80円/3分全国一律8円前後/3分
携帯電話20~40円/1分16~18円前後/1分

※光電話は契約サービスによって若干違いあり

固定電話から固定電話への発信の場合、NTT電話だと3分間8円~。遠距離の場合は、なんと3分間で80円以上になってしまうことも。

3分間80円かかる地域に1時間も通話してしまうと、それだけで1,600円。県外への長電話なんて、恐ろしくてできたものじゃないですね…。それに対して、光電話は交換機を経由することもなく、国内なら全国一律3分間8円。

例え沖縄から北海道への電話だとしても、1時間でたったの160円、10分の1の料金で済みます。さらに、携帯電話への発信の場合も、どのキャリアに発信するにしても光電話のほうが安いのです。固定電話からの発信が多い人は、光電話に切り替えたほうが確実にお得ですね。

音質には違いなし

「光電話は安いから、音質もそんなに良くないのでは?」という疑問もよく耳にします。しかし光電話の音質はNTT電話とほぼ同じなので、ほぼ同様に問題なく通話をすることができます。

むしろ、設備の古い従来の電話回線とは違って光回線は新しいので、ケーブルの劣化などがない分、ノイズの影響が少ないとさえ言われています。

光電話の弱点は電話のみの契約ができないこと

家でほとんどインターネットを使わないという場合には、光電話の電話契約だけしたいという人も多いでしょう。光電話そのものは基本料が安くても、インターネット契約とセットだと数千円はかかりますからね。

しかし残念ながら、光電話はほとんどの場合インターネット契約のオプションという形で利用することになるので、電話契約のみというのはできません。

光電話は電話機も電話番号もそのまま利用可能

光電話が安くなるからと言っても、電話機を買い換えなくてはいけなかったり、電話番号が変わったりしてしまうのはちょっと…という人は多いでしょう。

しかし安心してください。光電話に乗り換えても、現在使っている電話機は、ほとんどのものがそのまま利用可能です(例外としては、昔懐かしい黒電話や、ビジネス用の特殊なものなどは一部使えないものもあります。)

電話番号についても、同じ家でそのまま光電話に乗り換える場合(同じ収容局エリア内の場合)は、今までと同じものが使えます。

ただし、電話番号の「番号ポータビリティ」には費用が発生します。番号ポータビリティを利用する場合、手数料として1電話番号につき2,000円の費用が必要。また、NTT電話の契約を解除するための費用2,000円も発生することは頭に入れておきましょう。

光電話だと発信できない番号がある?

NTT固定電話の場合、基本的には発信できない番号というものはありませんが、「光電話だと発信できない番号がある」というのは事実です。

しかし発信できない番号の中に、日常生活において発信できなくて困る!というような番号はほぼありません。例えば、光電話で発信できない番号の中には以下があります。

かけられない番号の例
  • 114…お話し中調べ
  • 136…ナンバー・アナウンス
  • 141…でんわばん/二重番号サービス

ただ、これらの番号は一度も使ったことがないという人が多いのではないでしょうか?フリーダイヤルも相手の契約内容によっては発信できないこともありますが、ほとんどの場合は問題なく発信できます。

楠リカ
楠リカ

光電話はIP電話(050)と勘違いしている人がとても多いです。光電話はNTTの固定電話とほとんど同じように使えるので安心度は高めです。

「NTT固定電話と光電話の違い」まとめ

NTT電話と光電話の違いは、音質や使い方などにはほぼ違いがありません。電話機も電話番号もそのまま使えます。しかし大きく違うのは、光電話はとっても安くてお得。機能がほぼ同じなら、安いほうが良いに決まっていますよね。

現在光回線を使っていてまだ光電話を使っていない人、そしてこれから固定電話を設置しようと思っている人は特に、光電話の利用がよいでしょう。

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インターネットプロバイダの仕組み・役割についてやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/about-provider/ Wed, 06 Nov 2019 04:06:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6139

インターネットの利用を始めるときにまずぶつかる壁が、「プロバイダって何?」という疑問だという人も多いでしょう。 簡単に言うと、プロバイダはインターネットに接続するための入口であり、インターネットを利用するための許可証を発 ... ]]>

インターネットの利用を始めるときにまずぶつかる壁が、「プロバイダって何?」という疑問だという人も多いでしょう。

簡単に言うと、プロバイダはインターネットに接続するための入口であり、インターネットを利用するための許可証を発行してくれる業者。

楠リカ
楠リカ

ここではプロバイダの役割や必要性、そして仕組みについてわかりやすく解説していきます。

プロバイダとはインターネットへの入口

プロバイダの正式名称は「Internet Service Provider(インターネット・サービス・プロバイダ)」で、頭文字をとってISPと呼ばれることもあります。

Providerは直訳すると「供給者」や「調達者」といった意味になるので、インターネット・サービス・プロバイダとはその名の通り、インターネットサービスを提供する業者ということですね。

回線そのものを提供する回線事業者に対して、プロバイダの役割は回線をインターネットに繋げることです。

ただしインターネットに繋げると言っても、それは物理的な話ではありません。物理的な接続は、回線事業者が行いますからね。

楠リカ
楠リカ

それぞれ以下のように考えておくといいかもね。

インターネット回線を高速道路に例えた時に以下のイメージです。

回線事業者

道路を作ったり物理的に繋げたりする

プロバイダ

必要な免許証やナンバープレートの発行、料金所を設置してユーザーの出入りを管理

プロバイダの役割1.IPアドレスの発行

インターネットの利用には、IPアドレスが必要不可欠。IPアドレスはインターネット上の住所のようなものなので、手紙などの郵便物と同じく、住所がなければ情報を届けてもらうことはできません。

そこで、IPアドレスを手に入れるために必要なのが、プロバイダとの契約なのです。

プロバイダと契約するとIPアドレスを発行してもらえるようになるので、晴れてインターネットを利用できるようになる…というわけなんですね。

プロバイダの役割2.メールアドレスの発行

プロバイダには、メールアドレスの発行という役割もあります。携帯電話で言えば、キャリアごとに提供されるキャリアメールと同じ。

誰でも簡単に取得できるフリーメールと比べ、セキュリティが充実しているのに加えて、社会的信用が高いというメリットがあります。

例えば銀行のネット取引にはプロバイダのメールアドレスが必須となることも。メールアドレスの発行も、プロバイダの重要な役割の一つと言えるでしょう。

楠リカ
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ただし、中にはメールアドレスの発行はオプションとしているプロバイダもあるから、事前によく確認しておこう。

回線事業者とプロバイダの関係

回線事業者とプロバイダの会社

頭を悩ませる人が多いのが、やはり回線事業者とプロバイダの関係性についてでしょう。前述したように、基本的には「回線の契約」と「プロバイダの契約」が両方揃って初めて、インターネットが使えるということになります。

まず回線の契約についてですが、主な回線サービスには以下のものがあります。

有名な回線事業者
  • NTT(フレッツ光)
  • KDDI(auひかり)
  • So-net(NURO光)
  • CATV各社
  • WiMAX
  • ポケットWi-Fi

それに対して、プロバイダは国内で数百社も存在しており、知名度の高いものだと以下のような会社があります。

有名プロバイダの一覧
  • BIGLOBE
  • OCN
  • Yahoo!BB
  • So-net
  • @nifty
  • ぷらら

これらのサービスの中から、回線とプロバイダを組み合わせて使うことになるのですが、どの回線とどのプロバイダの組み合わせでもOK!というわけではありません。回線とプロバイダの組み合わせ選びについて、2つのパターンを紹介します。

プロバイダ選択型

フレッツ光やauひかりでは、プロバイダを自由に選ぶことができます。ただし、全てのプロバイダが利用できるというわけではありません。

例えば、Yahoo!BBはフレッツ光には対応していても、auひかりには対応していないといった具合に、各回線ごとに対応しているプロバイダは異なります。

さらに同じフレッツ光でも、フレッツ光ネクストかフレッツ光ライトか、ファミリータイプかマンションタイプかといった条件によっても、対応しているプロバイダは変わるので、回線の契約内容をしっかりと確認しましょう。

プロバイダが自由に選べるということは、より料金や通信品質にこだわることができるということです。

プロバイダ一体型

プロバイダの選択肢がある回線に対して、はじめからプロバイダが決められている回線もあります。代表的なのはNURO光。NURO光でインターネットをする場合は、プロバイダは必ずSo-netとなります。CATVの場合も、プロバイダがあらかじめセットになっている場合が多いですね。

プロバイダ一体型の回線の場合、プロバイダ選択の自由度がない反面、契約手続きが一度で済む簡略さや、料金面でもお得になるというメリットがあります。

「光コラボレーション」の場合は回線とプロバイダがセット

回線とプロバイダの関係をより一層ややこしくしているのが、「光コラボレーション」の存在でしょう。

光コラボレーションとは、自社回線を持っているフレッツ光やauひかり、NTTのダークファイバー(使われていない回線)を独自回線として利用しているNURO光などとは異なり、NTTのフレッツ光回線をそのまま利用した上で、各事業者が独自のサービスを付加して提供する回線のこと。

楠リカ
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イメージ的には以下の図のようになります。

提供している回線としては、以下のようなものが挙げられます。

光コラボレーションの回線事業者
  • ドコモ光
  • ソフトバンク光
  • OCN光
  • BIGLOBE光
  • So-net光
  • 楽天コミュニケーションズ光

光コラボレーションを提供している事業者の中でも、「プロバイダ選択型」と「プロバイダ一体型」の2つがあります。

楠リカ
楠リカ

例えば、ドコモ光だと対応プロバイダから好きなものを選べるけれど、プロバイダ系の光コラボレーション回線(OCN光やBIGLOBE光など)だと、自社のプロバイダとセット契約のところが多いよ。

ただし光コラボレーションの場合、プロバイダ選択型でも、契約自体は回線とまとめて行うケースが多いのが大きな特徴。

回線とプロバイダの窓口が一本化されるので、申し込み手続きやトラブル時の問い合わせなどがよりスムーズになります。

まとめ

プロバイダ契約をしなければ、インターネットに接続をすることはできません。

回線契約+プロバイダ契約が基本ですが、中には回線契約とプロバイダがセットになっているものもあるので、改めてプロバイダを個別契約する必要がないケースもあります。

手順としては、まず回線選びをして、そこからプロバイダ契約の必要性の有無や、対応プロバイダの確認・選択という順序になりますね。

スムーズにインターネット利用を始めるためには、プロバイダとはどういうものかをしっかりと理解しておきましょう。

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ネット回線で使われるメタルケーブルの種類と仕組み・構造を解説 https://simpc.jp/rikatech/about-metalcable/ https://simpc.jp/rikatech/about-metalcable/#comments Wed, 06 Nov 2019 02:07:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6150

現在、通信回線の大部分を担っているのは「メタルケーブル」と「光ファイバー」です。特にメタルケーブルの歴史は古く、国内で本格的に利用され始めたのは1950年代初頭。 ここでは長らく利用されてきたメタルケーブルの特徴や歴史、 ... ]]>

現在、通信回線の大部分を担っているのは「メタルケーブル」と「光ファイバー」です。特にメタルケーブルの歴史は古く、国内で本格的に利用され始めたのは1950年代初頭。

ここでは長らく利用されてきたメタルケーブルの特徴や歴史、通信の仕組みについて解説していきます。

楠リカ
楠リカ

光ファイバーとも比較することで、それぞれの特性がよりわかりやすくなるよ!

メタルケーブルとは金属を用いたケーブルのこと

メタルケーブルは、その名の通り芯線の材料として金属が使われているケーブルのこと。芯線には電気を通しやすく、かつ安価で取り扱いがしやすい銅線が使われていることが多いですね。

電気を運ぶ「電線」や、家庭内で利用する「LANケーブル」なども大きなくくりでは全てメタルケーブルですが、単にメタルケーブルと呼ぶ場合は固定電話回線のことを指すケースがほとんど。主に「光ファイバーケーブル」と対になる言葉として使われます。

メタルケーブルの中は電気信号が行き交っており、電気信号によってデータのやり取りが行われています。

メタルケーブルについて

構造(中身)

メタルケーブルの芯線の基本は、電気の流れる「導体」と、電気が漏れるのを防ぐための「絶縁体(非導体)」の二重構造。

そして複数の芯線を束ね、それぞれの隙間を介材と呼ばれる詰め物で埋め、さらに全体を保護するためのシースと呼ばれる保護膜で覆えば、メタルケーブルとなります。

さらに、メタルケーブルは芯線の配置によって、大きく2つの種類に分けられます。

「平衡対ケーブル」と「同軸ケーブル」

メタルケーブルには、大きく分けて「平衡対ケーブル」と「同軸ケーブル」の2つがあります。

楠リカ
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平衡対ケーブルは構造が単純で安価な反面、長距離通信や高周波数の信号に不向きなんだ。それに対して同軸ケーブルは、比較的長距離の通信や高周波数の信号にも対応できるんだよ。

平衡対ケーブル

まず平衡対ケーブルとは、2本または4本の芯線を撚り合わせたものを束にして、一つにまとめたもの。構造が簡単なのでコストが抑えられ、電話局とユーザーを結ぶ回線に使われています。

ただし平衡対ケーブルは互いの芯線から漏れ出た信号が干渉し合い、ノイズが入ってしまうことも。そのため、信号が漏れやすい高周波数の信号には向いていません。外部からのノイズにも弱いです。

同軸ケーブル

次に紹介する同軸ケーブルは、以下の4重構造になっています。

同軸ケーブルの構造
  • 中心に単体の2つの芯線(内部導体+絶縁体)
  • その周囲には銅線を編んだ「編組線」と呼ばれる外部導体
  • 保護皮膜

平衡対ケーブルとの大きな違いは、芯線が編組線によってガッチリとガードされていることですね。これにより、外部からの電磁波をより確実に遮断し、内部からの漏洩も防げるようになります。

結果的に平衡対ケーブルに比べて減衰率が低くなるので、高周波数・比較的遠距離の通信も可能。ケーブルテレビなどの有線放送に多く使われます。

メタルケーブルと光ファイバーの違い

メタルケーブルと光ファイバーの大きな違いは、電気信号を使うか光信号を使うかという点にあります。

光ファイバーはその名の通り、点滅した光を芯線のガラス繊維に送ることで、データのやりとりを行う仕組み。

それに対して、メタルケーブルでは芯線に変調させた電圧を流すことで、データのやり取りを行います。

データの送受信には1と0の2つの数字を使った2進法が使われますが、電気信号の場合は高い電圧が1、低い電圧が0を表現(または電流がONの状態を1、OFFの状態を0とするケースや、位相の角度などで1と0を区別することもあります)。

それに対して、メタルケーブルでは芯線に変調させた電圧を流すことで、データのやり取りを行います。

データの送受信には1と0の2つの数字を使った2進法が使われますが、電気信号の場合は高い電圧が1、低い電圧が0を表現(または電流がONの状態を1、OFFの状態を0とするケースや、位相の角度などで1と0を区別することもあります)。

電気(電波)は光とほぼ同じ速さで進むことができるのですが、光の点滅に比べると高⇔低、ON⇔OFFのスピードが遅いため、同じ時間で送受信できるデータ量は少なめです。

メタルケーブルは取り扱いやすい

通信速度や情報量などの面では光ファイバーに劣ってしまうメタルケーブルですが、その真骨頂は丈夫さと扱いやすさです。

ガラス繊維を使っている光ファイバーは、折れや極端な曲げ、圧力、牽引などに弱いですが、メタルケーブルはそういった外的損傷に強いメリットがあります。

メタルケーブルが70年近くに渡り使われ続けてきたのは、こうしたメタルケーブルの丈夫さや扱いやすさが一役買っているのは間違いありません。

メタルケーブルは減衰率が高く情報が届きにくい

メタルケーブルは光ファイバーに比べると、取り扱いがしやすいという利点があります。

しかしその反面、電気信号は光信号に比べて減衰率が高く、遠くまで届きにくいというデメリットも。

例えば、メタルケーブルで通信が行われるADSLでは、基地局から2~3kmも離れると、ガクンと通信速度が落ちてしまいます。

また、メタルケーブルは光ファイバーに使われている「ガラス」よりも電気をよく通すため(当然ですが)、外部の電磁波等に干渉されやすいという弱点もありますね。

今後のメタルケーブルの利用は?

NTTは、2025年を目処に固定電話のアナログ回線を廃止すると発表しています。それに伴い、ISDNやADSLといった固定電話回線を使った通信サービスも順次終了予定。

今後、電線の地中化などの工事が行われる際には、新たにメタルケーブルが埋め込まれることはなく、光ファイバーや無線通信が代わりとして使われることになります。

それでは、メタルケーブルはもう一切の役目を終えてしまうのか…と言えば、そうではありません。

現在利用されている固定電話回線のメタルケーブルは、中継部分のみをIP化した「メタルIP電話」に流用される形となります(参考:メタルIP電話に関する総務省資料)。

メタルIP電話は、現在提供されている固定電話サービスの受け皿となる(電話機そのまま、工事もなく使える)サービス。メタルケーブルそのものは、まだまだ引退しないということですね。

まとめ

メタルケーブルと光ファイバーを比較すると、後発である光ファイバーのほうが圧倒的に性能は上。

今後もしインターネット回線を利用するならば、メタルケーブルを使ったADSLなどではなく、光ファイバーを使った光回線一択でしょう。

しかしすぐにメタルケーブルそのものが無くなるというわけではないので、知識としてメタルケーブルとはどういうものかを知っておいて損はありません。

楠リカ
楠リカ

メタルケーブルの進化版である光ケーブルの技術の仕組みはこちらで解説してるので、ぜひ見てみてね。

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Wi-Fiのビームフォーミングの原理・仕組みをやさしく解説 https://simpc.jp/rikatech/beam-forming/ https://simpc.jp/rikatech/beam-forming/#comments Wed, 30 Oct 2019 00:45:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6156

スマートフォンやノートパソコンでWi-Fiルーター(やWiMAX:ワイマックス)を使う時、従来よりも高速かつ遠くまで届く通信を実現したのが、「ビームフォーミング」機能。 ビームフォーミング機能を使えば、「2階の部屋では電 ... ]]>

スマートフォンやノートパソコンでWi-Fiルーター(やWiMAX:ワイマックス)を使う時、従来よりも高速かつ遠くまで届く通信を実現したのが、「ビームフォーミング」機能。

ビームフォーミング機能を使えば、「2階の部屋では電波が弱い」「動画のダウンロードに時間がかかる」なんて問題をサクッと解決できちゃうんです。

楠リカ
楠リカ

より快適なWi-Fi環境を作るためには絶対に知っておきたいビームフォーミングについて、仕組みをわかりやすく解説していきます。

ビームフォーミングとは「特定の危機に強く電波を飛ばす技術」

アパートやマンションなどの集合住宅では、左右や上下の部屋のWi-Fiを受信できちゃったりしますよね。

これは受信側がどこにいるかというのは関係なく、親機であるWi-Fiルーターから360度全方位に電波が発信されているためです。

必要ない場所にまで電波を発しているので、普通に考えれば効率が悪いことこの上なく、必然的に届く距離が短く、電波も弱いものになってしまいます。

そこで、受信側がどこにいるのかを見極めて、その場所にのみ電波を飛ばすために開発された技術が「ビームフォーミング」

ビームフォーミングを使うことで、今までよりも遠い場所まで電波を飛ばしたり、通信速度を上げたりすることが可能となるのです。

「マルチパスフェージング」を利用した仕組み

電波というのは、その名の通り「波」のような性質を持っています。

実際の海の波を想像してみるとわかりやすいですが、波と波がぶつかる場所では、ぶつかり方によって波がより強くなったり、逆に打ち消されて弱くなったりしますよね。

電波でも同様に、電波同士が干渉し合う事によって、強くなったり弱くなったりする性質があるのです。

このような現象のことを「マルチパスフェージング」と呼ぶのですが、本来は通信の不安定さを引き起こすマイナス要因であるこのマルチパスフェージングを、うまく利用したのがビームフォーミングの技術。

電波の位相(波長のタイミング)をコントロールすることによって、電波を増幅したり打ち消し合わせたりするのです。

本当にビームのように電波がでるわけではない

ビームフォーミングはその名前から、受信側の端末に向けてビームのように一直線に電波を出すようなイメージがありますね。

しかし実際のところ、本当にビームのように電波を発するというわけではありません。

ビームフォーミングは複数のアンテナから別々の電波を発信することにより、特定の場所で電波が増幅されるようになっています。

これにより、電波は周囲360度一帯に発信されるのではなく、指向性を持って発信される…つまりは電波が必要なところには電波を増幅させてより強く、そして逆に電波が必要ない場所では打ち消し合う電波を発信することにより、特定の方向・場所に対してのみ電波が届くという仕組みになっているのです。

通信速度アップのカギは空間多重効果

通常のWi-Fi通信では、複数の端末と同時に通信が行われているように見えても、じつは

  • Aの端末の電波を360度発信する
  • →Bの端末の電波を360度発信する
  • →Aの端末の電波を360度発信する
  • (以降繰り返し)

というように、高速で電波を切り替えながら、各端末との通信が行われています。

電波の届く空間を、一度に一つの電波でしか利用できないということですね。

その結果、接続されている台数が増えれば増えるほど効率が悪くなっていき通信速度が落ちることに。

それに対してビームフォーミングは、360度に同じ電波を発するわけではないので、空間を多重的に利用することができます。

電波がない場所に、別の電波の通り道を作ることができる、と考えるとわかりやすいですね。

楠リカ
楠リカ

そのため複数台の端末と同時に通信を行うことが可能となり、接続台数が増えても通信速度が落とすことを減らし、効率的に通信ができるという仕組みなのです。

ビームフォーミング対応の端末が必要

ビームフォーミングを行うには、親機であるルーターにビームフォーミング機能が搭載されていることが必須条件。

それに加えて、子機(スマートフォンやノートパソコン)側も、ビームフォーミングに対応した端末であることが必要です。

ビームフォーミングで通信を行うためには、事前に親機と子機の間で位置情報を確認しなければなりません。

そのため、受信側である子機がビームフォーミング非対応の場合、基本的にはビームフォーミングを行うことができないのです。

楠リカ
楠リカ

ただし、一部のWi-Fiルーターでは、ビームフォーミング非対応端末に対して、ルーター側で機能を補完してくれるものもあるんだよ!

BUFFALOの「ビームフォーミングEX」や、エレコムの「ビームフォーミングZ」などの機能がそうです。

これらの機能が搭載されたWi-Fiルーターであれば、ビームフォーミング非対応の端末であっても、ビームフォーミングが利用できます(※全ての端末で利用できるというわけではなく、ビームフォーミング非対応機種のうち、一部で利用することができます)

まとめ

ビームフォーミングはWi-Fiだけではなく、今後は次世代通信である5Gにも活用されると言われている技術です。

ビームフォーミングによって、家庭内でも外出先でも、より快適に通信が行えるというのは素晴らしいことですね。

これからWi-Fiルーターを選ぶなら、ビームフォーミング機能のついたものを選ぶことをおすすめします。

楠リカ
楠リカ

ビームフォーミングと一緒に知っておきたい機能が「2.4GHzと5GHzの違い」について。これ知ってるだけで、日々の快適さ全然違うのでぜひ読んでみてね。

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Wi-Fiの2.4GHzと5GHzの違いと仕組みを解説 https://simpc.jp/rikatech/musen-chigai/ https://simpc.jp/rikatech/musen-chigai/#comments Tue, 29 Oct 2019 11:04:00 +0000 http://simpc.jp/?p=6162

無線LANでは、2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯が使われています。しかし,、どちらを使うほうがいいのかわからず、初期設定のまま2.4GHzを使っているという人は多いのではないでしょうか? また逆に、単純に5GHzの ... ]]>

無線LANでは、2.4GHzと5GHzの2つの周波数帯が使われています。しかし,、どちらを使うほうがいいのかわからず、初期設定のまま2.4GHzを使っているという人は多いのではないでしょうか?

また逆に、単純に5GHzのほうが快適だと考えて、常に5GHzを使っているケース。どちらの場合も、使う場所やタイミングによっては電波が届きにくかったり通信速度が遅くなってしまったりといった悪影響があることも!また、5GHzには法律が絡んできます。

楠リカ
楠リカ

5がない理由は、IPV5は実験的に使われたプロトコルだからだよ。一般的には使われずV6が採用されたんだ。ちなみに、IPV4以前のV1・2・3も欠番なんだよ。

2.4GHz無線のメリットとデメリット

2.4GHzは障害物に強く、より遠くまで届くことが長所

電波は、利用している周波数が高いほど障害物に弱く、低いほど障害物に強いという性質があります。周波数の低いほうが障害物に対する透過性が高く、さらに障害物を回り込みやすいため。

つまり壁や家具のある家の中、特に一戸建てで1階でも2階でも通信を行いたいという場合などは、5GHzよりも2.4GHzのほうが向いているケースも多いということですね。2.4GHzは無線LANで使われる基本的な周波数帯のため、現行のほぼ全ての端末(子機側)が対応しているというメリットも。

対応しているWi-Fi規格
  • IEEE802.11b
  • IEEE802.11g
  • IEEE802.11n

通信が不安定になりやすいのが欠点

2.4GHzはルーターだけではなく、例えばコードレス電話や電子レンジなど、様々な機器・家電で利用される周波数帯です。

そのため、他の機器・家電との電波同士の干渉により、通信が不安定になりやすいのがデメリット。家庭内で2.4GHzが使われている機器・家電には、以下のようなものがあります。

2.4GHzの家電
  • コードレス電話
  • 電子レンジ
  • ワイヤレスマウス、キーボード
  • 無線プリンター
  • ワイヤレスインターホン(ドアホン)

これらの家電の近くでは、通信が不安定になることがあります。

楠リカ
楠リカ

特に電子レンジを付けている時は速度がガクッと落ちることも多いのでとてもわかりやすいよ。

5GHz無線のメリット・デメリット

長所は高速かつ安定した通信

2.4GHzはチャンネルが13、それぞれのチャンネル幅が5MHzなのに対し、5GHzはチャンネルが19、チャンネル幅は20MHz。つまり5GHzのほうが電波の通り道が多いし、さらに一本一本の道が広いということですね。

そのため、5GHzは2.4GHzに比べて通信速度が速いのが特徴です。さらに2.4GHzとは違い、ルーター以外で家庭内で5GHz帯が使われることはほとんどありません。

結果、電波同士の干渉が起こりにくく、常に安定した通信が可能というメリットに繋がります。

欠点は障害物に弱いこと

5GHzは2.4GHzに比べると、透過性が低く、直進性が高い(障害物を回り込みにくい)という性質があります。そのため、壁や家具などの障害物が多い場合、届く範囲が狭く、さらに届く電波が弱くなる場合も。

ワンルームで使う場合などは5GHzのメリットを最大限に享受できますが、ルーターがある場所とは別の階の別の部屋で使いたいという場合には、2.4GHzのほうが向いていることもあります。

楠リカ
楠リカ

それに、中には元々5GHzに対応していない端末もあるから要注意だよ!

対応しているWi-Fi規格
  • IEEE802.11a
  • IEEE802.11ac
  • IEEE802.11ax
  • IEEE802.11n

2.4GHzと5GHzの同時利用も可能

2.4GHzと5GHzに対応しているルーターでは、2.4GHzと5GHzのどちらも同時に発信することができます。つまり、ノートパソコンとは5GHzで通信、スマートフォンは2.4GHzで通信、ということも可能。

ただし、子機(パソコンやスマートフォン)側で、同時に2つの周波数帯と接続することはできません。

5GHzは屋外での使用は法律(電波法)により禁止なので注意

ルーターを5GHzに切り替えた時、「この帯域は屋内のみでご利用ください。屋外で利用すると電波法に抵触する可能性があります。」といったメッセージが出ることがあります。

周波数帯を選択する時に「5GHz(屋内)」「5GHz(屋外)」と分けられている場合も。

5GHz帯というのは、人工衛星や航空無線など、人々の生活や安全に欠かせない通信を担っている周波数帯。もし万が一、ルーターからの電波が人工衛星や航空無線などに干渉してしまうと、思いもよらない悪影響を与えてしまう可能性もあります。

基本的に5GHz帯の使用は、他に影響を与える可能性の少ない屋内に限られるということですね。

楠リカ
楠リカ

例えば、ポケットWi-Fiなどのモバイルルーターを5GHzでの通信にしたまま、うっかり出掛けて屋外で通信をしてしまったりするのも法律面でアウトです。

電波法について

5GHz帯の利用については「電波法」に定められており、違反した場合は最大で1年以下の懲役または100万円以下の罰金となるので気をつけましょう。

「DFS機能」つきなら屋外でも使用可

DFSとは、「Dynamic Frequency Selection(ダイナミック・フリークエンンシー・セレクション」の略で、直訳すれば「動的周波数選択」。

DFS機能がついているルーターでは、まず通信の1分前から周囲にレーダー等がないかを確認。たとえば、ポケットWi-Fi「603HW」にはDFS機能が付いています。

そして通信中にレーダー等を感知すると自動的にチャンネルが切り替わることで、電波干渉を起こさない仕組みとなっているのです。

「無線LANの2.4GHzと5GHzの違い」まとめ

2.4GHzと5GHzは、単純に「5GHzのほうが速いから5GHzのほうが優秀」というわけではありません。もしも「なんだか電波のつながりが悪いな」「通信速度が遅いな」と感じたら、2.4GHzと5GHzを切り替えてみるのも一つの手です。

2.4GHzが向いているケース
  • ルーターから離れた場所での利用
  • 屋外での利用(DFS機能が無い場合)
  • 子機側がどの周波数に対応しているかわからない場合
5GHzが向いているケース
  • ワンルームなど障害物が少ない場所での利用
  • 動画ダウンロードなど、多容量の通信を行う場合
  • 近くに電波干渉する機器や家電がある場合
楠リカ
楠リカ

このように使用する場所やシーンによって、2.4GHzと5GHzを使いこなせるようになるのがベストだよ。うまく使ってみてね。

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