デュアルカメラ(多眼カメラ)の原理と組み合わせ別の効果を分かりやすく解説

年々スマートフォンのカメラは高性能になっていますが、それでもまだまだデジタルカメラに比べると性能がいまいち…と感じている人も多いでしょう。

そんな悩みを解決してくれるのが、「デュアルカメラ」のスマートフォン。デュアルカメラは、スマートフォンなのに一眼レフカメラ並の素晴らしい写真がバンバン撮れちゃうという優れもの。

ここではカメラの組み合わせパターンによる特徴を、メリット・デメリットを含めながら解説していきます。

楠リカ
特に、デジカメは持たずにスマホのカメラだけできれいな写真・目的に合った写真を撮影をしたいという人は必見だよ!

 

そもそもデュアルカメラ(多眼カメラ)とは?

デュアルカメラとはその名の通り、役割の異なる2つ以上のカメラが付いている機能のことを指します。

従来のスマートフォンのカメラでは単体のカメラでのみの撮影なので、デジタルカメラに比べるとズーム機能や画像の鮮明さなど、撮影する対象やシーンによっては物足りない点も多くありました。

しかしデュアルカメラを搭載することにより、従来のスマートフォンのカメラでは実現できなかった望遠ズームやより鮮明で美しい写真の撮影など、一眼レフカメラ並の撮影が可能となったのです。

楠リカ
デュアルカメラにはいくかの違ったパターンの組み合わせがあって、どんな組み合わせかによって撮れる写真の特徴も異なるんだよ。

 

単にデュアルカメラといっても、すべてのデュアルカメラが同じ機能というわけではありません。どんなカメラを組み合わせているかは、機種によって様々。

組み合わせには主に4つのパターンがあるので、ここからはそれぞれの特徴を見ていきましょう。

 

望遠レンズと広角レンズ

まず1つ目のパターンは、望遠レンズカメラと広角レンズカメラが組み合わされたデュアルカメラ(この場合、広角レンズは一般的なスマートフォンに使われているものとほぼ同じ程度のもので、次で紹介する超広角レンズとは別物です。)

 

望遠レンズのカメラと広角レンズのカメラを切り替えながら使うことができるので、例えば遠くのものを撮りたい時には望遠レンズ、通常の写真を撮りたい時には広角レンズといったように、シーンごとに適した機能が使い分けられるというメリットがあります。

楠リカ
iPhoneをはじめ、多くのスマホで採用されている組み合わせだよ。

 

望遠レンズの特徴

一般的なスマートフォンのカメラの場合、ズーム機能は「デジタルズーム」という技術が使われています。

デジタルズームは拡大したい場所を切り取って引き伸ばしているだけなので、ズームすればするほど画質が悪くなってしまうのが特徴。

デジタルズームは引き延ばしてるだけなので荒れる

 

一方、望遠レンズの場合、虫眼鏡のように遠くのものに焦点を当ててズームする「光学ズーム」ができるので、画質を落とすことなく遠くのものを撮影できる仕組みになっているのです。

 

広角レンズと超広角レンズ

次に紹介するのは、一般的な広角レンズと超広角レンズを組み合わせたデュアルカメラ。

一般的に使われているスマートフォンのカメラの多くにも広角レンズは使われていますが、さらに広範囲の撮影が可能な超広角レンズを搭載することで、写真の撮り方が大幅に広がります。

こちらも、普段の撮影と超広角レンズでの撮影を切り替えて使えるタイプのデュアルカメラで、代表的な機種はASUSのZenFone5やLGのV20Proなどがあります。

 

超広角レンズの特徴

超広角レンズの特徴は、より広範囲を1枚の写真に収められること。

広角レンズを使えばもっと広く撮影できる

 

例えば大人数での集合写真を撮りたいときにも活躍しますし、大空や大自然の風景など広がりのある写真を撮る目的でも重宝します。

また、広角レンズは手前のものはより大きく、奥のものはより小さく写る性質があるので、遠近感の強調された奥行きのある写真を撮ることができるという特徴も。

まるで一眼レフカメラのように、美しい写真を撮りたい人におすすめです。

楠リカ
iPhone11 Proなどはまさに超広角レンズが用いられています。

 

カラーセンサーカメラとモノクロセンサーカメラ

もう一つのパターンは、通常のカラーセンサーのカメラに加えて、モノクロ専用のモノクロセンサー搭載のカメラを組み合わせた方式。代表的な機種はHuaweiのハイエンドモデル。

honor9などはカラーとモノクロの組み合わせ

 

モノクロセンサーとカラーセンサーのカメラを組み合わせることにより、より鮮明で色がくっきりはっきりとした美しい写真になります。もちろん、モノクロ写真も通常のスマホカメラよりも美しく撮ることができます。

 

モノクロセンサーで写真が鮮明になる仕組み

モノクロセンサーでモノクロ写真がきれいになるというのはわかりますが、どうしてカラー写真まで色がより鮮明になるのか不思議ですよね。モノクロセンサーには、光の明暗をより細かく認識できるという特徴があります。

撮影時にはカラーセンサーカメラとモノクロセンサーカメラで同時撮影を行い、モノクロセンサーカメラで認識した明暗のデータをカラー写真に反映させることで、より鮮明ではっきりとした写真になるという仕組みです。

モノクロを撮ることで鮮明さアップ

 

また、明暗を認識しやすいということは暗い場所での撮影にも強く、肉眼よりも鮮明に暗い場所の写真が撮れるものもあります。

 

動画専用カメラと写真専用カメラ

AQUOS R3などに代表されるデュアルカメラは、動画専用カメラと写真専用カメラの組み合わせ。従来のスマホカメラでも動画と写真の同時撮影は可能でしたが、これは撮影された動画の一部を静止画として切り取ったものに過ぎません。

そのため、写真単体で撮影したときほどの高画質にはならず、どうしても画質が粗くなってしまうのが難点でした。

しかし動画専用カメラが搭載されたデュアルカメラなら、動画の一部を切り取るのではなく、写真は写真としてもう1つのカメラで撮影することができます。

動画カメラと写真カメラが別々に機能

 

そのため、動画撮影中でも普段と同じように高画質な写真を撮ることができるのです。

 

まとめ

一言でデュアルカメラと言っても、上で紹介したようにカメラの組み合わせによって得意とする撮影方法は異なります。

最近ではデュアルカメラのみならず、Huawei P40 ProGalaxy S10など「トリプルカメラ」を搭載した機種まで登場してきているので、カメラの組み合わせによる特性はより重要です。

単に「デュアルカメラだからいい写真が撮れる」ではなく、自分の用途や目的にあった特性を持つデュアルカメラ選びをしましょう。