光回線の戸建てと集合住宅における分配の仕組みと速度への影響をやさしく解説

光回線は、住んでいる建物によって契約できるプランが異なります。一戸建ての場合は戸建てタイプ、マンションやアパートの場合は集合住宅タイプ。

戸建てタイプと集合住宅タイプでは料金に大きな違いがありますし、集合住宅タイプは速度が遅いなんて言われることもあって、何がどう違うのか疑問に思う人も多いと思います。

特に集合住宅であっても戸建てタイプのプランが選べるケースもあるので、選択の参考にしてみてください。

楠リカ
ここでは、光回線の戸建てタイプと集合住宅タイプについて、配線の仕組み、速度の違い、料金の違いなど様々な視点から詳しく解説するよ!

 

戸建てタイプと集合住宅タイプの違いは配線方式

戸建てタイプの場合、電柱から光ファイバーを直接家庭内に引き込み、契約家庭のみで利用するのが一般的です。

それに対して、集合住宅タイプでは、電柱からマンションやアパート内に引き込まれた光ファイバーは、一旦共有スペースにある「光スプリッタ」や「集合型回線終端装置」などの分岐装置に接続されます。

そこから、利用したい家庭の数だけ回線を分岐して、LANケーブルや光ファイバー、電話回線などを使って各戸までの接続が行われるのです。

つまり、1本の光回線をマンションやアパート全体で共有しているということですね。

「1本の回線を複数の家庭で共有して使うってことは、戸建てタイプに比べて通信速度が落ちるんじゃない?」と思われる方も多いです。

楠リカ
確かに、集合住宅タイプは戸建てタイプに比べて通信速度が安定しない傾向があるね。その理由は、次で詳しく説明するよ。

 

回線分岐による通信速度の低下について

よく「集合住宅タイプは1本の回線を分岐させて複数の家庭で共有しているから、通信速度が遅い」と言われますが、これは正解でもあり不正解でもあります。じつは集合住宅タイプに限らず、戸建てタイプでも全く同じ事は起こり得るのです。

例えばNTT回線の場合、まずは基地局内で4分岐され、その後局外のスプリッタで8分岐…つまり1本の光ファイバーに対して共有できる最大数は32ユーザーまでと決まっています。

戸建てだろうが集合住宅だろうが、最終的に各家庭に使われている回線は最大32分岐のうちの1分岐、ということ。唯一異なるのは、集合住宅タイプは最終的な32分岐を建物内で行っているという点だけです。

 

戸建の場合は家の近くにある電柱のスプリッタで8分岐が行われますが、引き込めるケーブルの長さには限りがあるので、民家がそれほど密集していない場所では8分岐すべてが埋まらないこともあります。

しかし集合住宅、特に世帯数の多いマンションなどでは確実に多くの分岐が埋まります。となると、必然的に戸建てよりも集合住宅のほうが、アクセスが集中して通信速度が落ちてしまう可能性が高い、ということになるのです。

 

ただし32ユーザー以上で共有する物件も

基本的には、集合住宅タイプのプランでも最大32分岐というのは前述の通り。しかし例外として、元からインターネット完備で大家さんや管理会社が一括でインターネット契約をしている場合には、32ユーザー以上で回線を共有する形になっていることも。

こういった物件はインターネット料金が無料だったり、格安で利用できることが多いのですが、できるだけコストを抑えるためにより多くのユーザーで1本の回線を利用する仕組みになっていることがあります。

その場合は、当然ながら戸建てに比べて通信速度は大幅に落ちてしまいます。

 

分岐後の配線方式にも速度低下の原因

集合住宅タイプが遅いと言われるのには、もう一つ理由があります。それは分岐装置以降の配線の方式の違い。

配線方式の種類

  • 光配線方式:集合装置から各戸までを、光ファイバーケーブルを使って配線
  • VDSL方式:集合装置から各戸までを、電話回線を使って配線
  • LAN配線方式:集合装置から各戸までを、LANケーブルを使って配線

 

つまりいくら高速通信が可能な光回線であっても、分岐装置以降の配線が電話回線やLANケーブルの場合は、そこで通信速度がガクッと落ちてしまう…ということです。

楠リカ
VDSL方式やLAN方式の場合、通信速度は最高でも100Mbps程度になってしまうんだよ。

 

集合住宅タイプの場合は、光配線方式、VDSL方式、LAN配線方式のどれが使われるのかも、しっかりと確認しましょう。

特に古めの集合住宅や、世帯数の多い大型マンションでは、VDSL方式やLAN配線方式が採用されている確率が高いです。

「マンションだけど、戸建てタイプのプランに変更したら速度が劇的に上がった」という場合は、「1本の光ファイバーを独占できるから」という理由ではなく「電話回線やLANケーブルを経由せずに直接部屋まで光ファイバーを引き込めるから」というのが大きな理由です。

 

集合住宅タイプは料金がお得

集合住宅タイプの場合、同じ集合住宅内での利用者の数が多いほど、料金が安くなります。例えばフレッツ光をモデルケースに挙げてみると、戸建てタイプの場合は月額料金5,700円(割引前)。

それに対して集合住宅タイプの場合、同じ集合住宅内で4契約以上の場合月額4,350円(割引前)、16契約以上の場合は3,350円(割引前)です。

楠リカ
戸建てタイプと比較すると、じつに2,350円もの差額があるんだ。

 

利用者が増えれば増えるほど回線が混雑する可能性は高くなりますが、その分月額料金が安くなるというのはとても大きなメリットですね。

さらに、集合住宅では工事費が抑えられるケースも多くあります。通常では15,000円前後かかる工事費ですが、集合住宅で既に屋内に回線が引き込まれている場合には、必要なのは各部屋までの配線工事のみで、工事費が半額以下で済むこともあります。

また、工事不要で壁のコンセントにケーブルをつなぐだけで使える場合などは、2,000円ほどの工事費(というよりも手数料的なものですね)だけで済むこともあるので嬉しいですね。

 

まとめ

料金面で見るなら、集合住宅タイプのほうがお得になるケースが大多数。ただし、通信速度の面から見ると、やはり戸建てタイプの方に軍配が上がります。

基本的に一戸建ての場合は戸建てタイプのプランしか選べませんが、マンションやアパートで集合住宅タイプと戸建てタイプのどちらかが選択できる場合は、料金と速度、どちらに重点を置くかで選びましょう。

楠リカ
最近では「NURO光マンションミニ」のように、集合住宅でも階数制限や利用人数制限が無しで戸建てプランと同様に利用できるプランも登場しているから、集合住宅での選択肢の幅が広がっているのでこちらも検討してみてもいいかもね。