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レビュー・評価の概要
AQUOS R6はSharpが新しく2021年に発売したスマートフォンで、Leicaとコラボした1インチセンサーカメラを搭載したモデルです。カメラに特徴はあることはもちろん、AQUOSが培ってきたディスプレイ技術や、今回から搭載された2本で解錠する超音波式ディスプレイ指紋認証などを搭載しています。
カメラが特徴でそれを目当てにしている人も多いとは思いますが、かなりクセのある端末なので、購入時はデメリットを理解した上で購入した方が良く、デメリットやおすすめしない人の項目は必ず目を通して頂きたいです。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Snapdragon888 |
RAM | 12GB |
ストレージ | 128GB |
画面サイズ | 6.6インチ |
重量 | 206g |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事は製品を実際に購入し、テストを行っています。
特徴
ここではAQUOS R6の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
1インチイメージセンサーの最強カメラスマートフォン
AQUOS R6の最大の特徴はなんといってもLeicaと共同開発した1インチのイメージセンサーを搭載したカメラと言えます。
1枚で超広角から望遠までこなすことができるズミクロンのレンズを搭載しており、昨今のトレンドである複眼カメラの概念を取り払うようなモデルになっています。
240HzのIGZOディスプレイ
カメラの他に知っておくべきポイントがSHARPがこれまで培ってきたIGZOディスプレイをさらにスマートフォン向けにしているディスプレイ。しかも今回からOLED(有機EL)が採用されています。
その上で120Hzのディスプレイにさらに黒を挟んで疑似的に240Hzにすることで、より滑らかな映像を楽しむことができます。またAQUOSトリックという項目で、アプリによってリフレッシュレートの切り替えができるので、電池の消耗を押さえる調整ができることもポイントです。
タッチ範囲の広い超音波式指紋センサー
AQUOS R6から新たに搭載された超音波式指紋センサーはこれまで発売されたスマートフォンの概念を覆す、「広い範囲で認証できる」タイプ。
以下の枠線内で認証が可能になります。しかも、登録された2本の指を使って認証することも可能なため、セキュリティを向上させることも可能です。
指紋認証長押しで起動できるPayトリガー
AQUOS独自の機能として便利なのがPayトリガー。長押しで指定したアプリを起動させることが可能です。初期設定でd払いが設定されているように、電子マネーを設定しておくことで支払いをよりスムーズにさせることが可能です。
価格とコストパフォーマンス
AQUOS R6はドコモで定価で11万円台、ソフトバンクで13万円台となっています。2021年7月12日時点でSIMフリーモデルはありません。購入するなら、ドコモの方が割安なのでおすすめです。1インチセンサーカメラや新しいディスプレイ型指紋認証などの技術コストを考えると11万円台でかなり安く感じます。
ただ、カメラを意識しないのであれば、同じくらいの性能のハイエンドスマホ(例えばGalaxy S21)などの方がコストパフォーマンスが高くなるので、自身がカメラに魅力を感じるかどうかが分かれ目となるでしょう。
スペック
今回レビューしたAQUOS R6のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 162×74×9.5mm | |
重量 | 207g | |
プロセッサ | Snapdragon888 | |
メモリ(RAM) | 12GB | |
ストレージ | 128GB | |
ディスプレイ | サイズ | 6.5インチ |
解像度 | 2176×1812 | |
アスペクト比 | 13:6 | |
形式 | OLED | |
リフレッシュレート | 1~120Hz |
bluetooth | Ver5.2 | |
コネクタ | USB Type-C | |
おサイフケータイ | 〇 | |
防水 | IP5/IPX8 | |
OS | Android11 | |
SIMサイズ | nanoSIM | |
バッテリー | サイズ | 5000mAh |
リバースチャージ | × | |
ワイヤレスチャージ | × |
外観
今回購入したのはホワイト。白く美しい筐体が特徴です。

背面カメラは1インチセンサーを搭載していることもあり、非常に大きくなっています。こちらは筐体白を選んでも黒を選んでも、ブラックになるので、一体感を求める人は黒の方が良いでしょう。

表面です。上下ともにギリギリまで削られたベゼルが特徴です。

本体上側にはスピーカーとSIMスロットがあります。

本体左側には何もありません。

本体右側は音量ボタン、Googleアシスタントボタン、電源ボタンがあります。

本体下側はヘッドフォンジャック、USB-C、スピーカーがあります。スピーカーは上下でステレオとしてありますが、音質レベルは低めです。こもったような音が聞こえます。

手に持った様子です。6.6インチあることもあって、大柄なディスプレイとなっています。

ベンチマーク結果一覧
GEEKBENCH5
GEEKBENCH(ギークベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。
測定モード | 測定値 |
---|---|
シングル | 1129 |
マルチ | 3660 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 526 | 3.32 | 6 |
ポイント② | 454 | 6.13 | 6 |
ポイント③ | 632 | 17.4 | 305 |
ポイント④ | 416 | 20.3 | 11 |
ポイント⑤ | 340 | 5.34 | 6 |
ポイント⑥ | 142 | 15.4 | 120 |
通信スピードテストの評価
ダウンロード速度としては十分な数値が得られていますが、アップロードの速度が低い結果が得られています。またPINGの数値もブレが見られており、安定性という意味で今一つという結果となりました。
カメラのテスト
カメラスペック
タブからイン・アウトカメラスペックを切り替えられます。クリックしてご覧ください。
カメラ | 有効画素 | F値 | 光学手振れ補正 |
---|---|---|---|
①広角 | 2020万画素 | 1.9 | 〇 |
カメラ | 有効画素 | F値 | 光学手振れ補正 |
---|---|---|---|
①広角 | 1260万画素 | 2.3 | 非対応 |
撮影作例
作例を掲載しています。ズームは最大6倍まで、超広角は0.7倍となっています。
0.7倍

1倍

2倍

5倍

6倍

明るい色、暗い色の花の撮影時にピントを合わせ、ホワイトバランスによる変化を検証しました。黒い被写体に合わせることで全体的に白飛びしやすくなります。
明るい花の写真

黒い花の写真

被写体によるホワイトバランスの変化を検証しました。黒にフォーカスを合わせると写真全体が淡い色合いになります。
黒のカメラに焦点

緑の葉に焦点

ピントの合う位置で接写能力を検証しました。通常撮影ではかなり離れないとピントが合いませんが、最大ズームした上で撮影を行うと以下のようにマクロ撮影が可能です。
硬貨を撮影

50に合わせて撮影

前後でピントを調整し撮影しました。イメージセンサーが大きいこともあって、ボケ味は他のスマートフォンとは一線を画しています。
前の花にピント

後ろの花にピント

キャンドルライトを使って夜景モードテストをしました。AQUOS R6の強みは夜ではないかと思うほど、オートでシャッターを切るだけで輪郭を捉えた写真が撮影できています。1倍も超広角(0.7倍)も同じレンズを使用していることもあってか、ほぼ変わらない雰囲気で撮影できます。
1個

4個

8個

12個

メリット・魅力
バチっと合った時のカメラ性能がとにかく強力
1インチセンサーカメラを搭載しているだけあって、バチっとハマった時の写真が驚くほど綺麗に撮れます。また、一般的なスマートフォンでは、物撮影する場合にポートレートモードを使って写真を撮ることで写真の綺麗さを出すケースがよく見られますが、AQUOS R6では素の状態で背景がしっかりとボケるので、より自然な風合いで撮影が可能です。
高リフレッシュレートとバッテリー持ちの良いディスプレイ
AQUOS R6では240Hzディスプレイを搭載しつつ、IGZOディスプレイになっているため省電力性が高くなっています。AQUOSシリーズの240Hzの滑らかさは一度使うと手放せなくなるほど快適です。
テザリングオートが便利
AQUOS R6には指定したスポットに入ると自動でテザリングを起動するテザリングオート機能があります。例えば、カフェのノマド環境など使う状況がいつも決まっている人にとってはテザリングオートは強い味方になってくれるでしょう。
デメリット・欠点
エッジディスプレイでない方が良かった
AQUOS R6ではディスプレイのエッジが落ち込むタイプになっています。エッジディスプレイになっていることで、持ちやすさに貢献している部分はあるものの、好みが分かれるところです。
重心が高く数値よりも重く感じる
本体が207gと重量級であることに加え、大型レンズが本体上部に来ていることもあり、数値よりも重く感じます。必要に応じてバンカーリングなどを付けて対処する方が良いでしょう。
指紋認証は早くなったが静電式には敵わない
AQUOS R6では指紋認証がかなり速くなったという話をよく聞くものの、実際静電式には敵いません。ディスプレイオフ状態では認証解除ができない問題もあり、何度も取り出して使うことが多い人にとってはストレスに感じることも多いでしょう。
フィルムをつけると指紋認証感度が大きく落ちる
筆者はAQUOS R6にTPUのフィルムを張り付けて利用していますが、この状態では明らかに指紋認証速度が落ちます(当然ですが)。こういった問題もあり、静電式の方が実用性が高いと感じます。必要に応じて顔認証と併用する方が良いでしょう。
オートフォーカスが遅い
AQUOS R6の新しいカメラを使うにあたって、おそらくほとんどの人が感じるデメリットが「オートフォーカスが遅いこと」です。このスマホを購入する人は、タッチで被写体にピントを合わせて撮影するような人がほとんどだと思いますが、他機種に比べるとワンテンポ遅れます。
F値が調整できない
実際に使ってみて、最も驚いたポイントですが、AQUOS R6はf値の調整項目がありません。そのため、被写体が全てボケて撮影されていまいます(正確には明瞭度という項目がありますが、最大数値にしてもかなりボケる)。全体にピントを合わせて撮影することが苦手なことは覚えて置いた方が良いポイントです。
おすすめなタイプ
光学ボケを意識した物の写真が撮りたい人
AQUOS R6の最大の魅力はカメラであり、それを最大に活かせるのが「自然な光学ボケを意識した写真」です。instagram、Twitter用などで美しい写真をアップしたい人にとっては非常に魅力的。一眼レフで撮影してからアップするとなると一手間も二手間もかかりますが、AQUOS R6なら写真を撮影してから、一つのデバイスでアップロードにまで持っていけます。
Lightroomなど現像できる環境がある人
上記に加え、Adobe Lightroomのような現像環境がある人は撮影した写真をスマホ上で加工・現像することも可能。Snapdragon888の強力なプロセッサのおかげで効率的に編集が可能になります。
大画面で省電力性の高いスマホが欲しい人
大画面OLEDディスプレイを採用すると、トレードオフとしてバッテリー持続性が低下しますが、筆者の利用環境ではAQUOS R6は比較的電池持ちが良いイメージです(リフレッシュレート240Hzで利用)。リフレッシュレートを60Hz設定したり、アプリによって変則的に変える(例えばマンガアプリではリフレッシュレートを落とす)などをすれば、より実用性が増すでしょう。
おすすめできないタイプ
マクロを積極的に撮影したい人
AQUOS R6のコンセプトは1眼で全てをカバーすることのため、マクロレンズが設定されているわけではなく弱めになっています。
これはミドルレンジカメラでマクロレンズを搭載したカメラの方が寄れる印象を持ちました。Mi 11 Lite 5Gなどを選択する方が良いでしょう。
長時間スマホを持つ人
本体が207gと重量級な上、11万円を超えるスマートフォンのためカバーを付けて運用する人も多いでしょう。通勤・通学で長時間持つ人にとってはあまりおすすめはできません。
子供の撮影を考えている人
デメリットでも書いた通り、AQUOS R6はオートフォーカスが遅くなっています。そのため、動き回る被写体向きではありません。子供の撮影ベースで考えている人は、本機を検討から外すか、ソフトウェアアップデートで改善されるまで待ちましょう(改善されるかどうかは不明ですが)。
実機レビューのまとめ

AQUOS R6はLeicaとの共同開発でカメラという切り口で他社と大きく差別化を図ってきたモデルです。エッジが効きすぎている分、デメリットも大きくなっていますが、それは試金石的でパイオニア的な存在だからこそ。
LeicaとSHARPは長期的に共同開発するようなので、これからのモデルでさらにブラッシュアップされたスマートフォンが出てくることへの期待が膨らむモデルと言えるでしょう。面白さはあるモデルですが、万人受けする端末ではないのでデメリットを理解して買うことをおすすめします。