本サイトの記事は広告を含みます。
レビュー・評価の概要
2020年に登場しMacBookに搭載されたApple Silicon M1チップが乗った新しいiPad Pro。実際に使ってみて体感で違いを感じるレベル、かつ120Hzのハイリフレッシュレートディスプレイのおかげで快適そのものな一台となっています。
シリーズには11インチと12.9インチがありますが、細かく性能が異なり11インチではディスプレイが通常版であるのに対して、12インチ版はmini LEDと上位機種的な位置付けとなっています。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Apple Silicon M1 |
RAM | 8/16GB |
ストレージ | 128GB~2TGB |
画面サイズ | 11インチ |
重量 | 466g |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではiPad Pro 11インチ (2021年モデル・M1)の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
Apple Silicon搭載によりパフォーマンスアップ
これまでiPad ProにはAシリーズのAppleのプロセッサが搭載されていましたが、今回のメジャーアップデートによりMacBookと同様のM1チップを搭載するようになりました。
これによってパフォーマンスが大幅に向上しています(詳細についてはベンチマークやメリット部分を参照)。
120Hzディスプレイを搭載
iPad ProはApple製品の中でも珍しいハイリフレッシュレートのディスプレイを以前から搭載しています。より滑らかな画像遷移でiPad Proを楽しむことができます。
Thunderbolt3に対応
今回の2021年モデルの大きな変化として外部入力で使われるUSB-CがThunderbolt3に対応しました。カメラで撮影した画像・動画をそのままiPadに取り込む際のスピードが向上することになり、PhotoshopやLightroomなどとの連携性が高まったと言えます。
メモリは8GBと16GBが存在
今回のiPad Proではストレージ容量によってメモリに差があります。1TB以上のモデルでは連動して自動的にメモリは16GBに変更となります。
5G通信にも対応
これまでiPad Proは4G LTEのみでしたが今回から5G通信に対応。MacBookのパフォーマンスを持つ製品がLTE通信に対応したのは大きなメリットで外で作業をする人の利便性がより向上したと言えます。
P3ディスプレイに対応
Apple製品のディスプレイは色域が広くソフトウェアキャリブレーションが行われていることがメリットですが、iPad Pro 11インチ M1も同様でMacBookと同じP3の色域に対応しています。写真現像やイラストにおいて正確な色を出すことは重要なので、色域の広さは魅力です。
価格とコストパフォーマンス
iPad Proの最低価格は税込で94,800円からとなっています。筆者の考え方としては破格だと思います。ハイパフォーマンスを得るためにはストレージを1TB以上にして、メモリ16GBにするという考え方もありますが、Mac mini、MacBook Air、MacBook Proをそれぞれ異なるチップ、メモリで検証してきた身としては8GBモデルでも十分。
ディスプレイの色域とパワーが必要なAdobe向け製品を圧倒的なパフォーマンスで動かせるApple Siliconを搭載していて、10万円以下で買えてしまうのはまさにバーゲンプライスと言えるでしょう。
スペック
今回レビューしたiPad Pro 11インチ (2021年モデル・M1)のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 247.6×178.5×5.9mm | |
重量 | 466g | |
プロセッサ | Apple Sillicon M1 | |
メモリ(RAM) | 6GB | |
ストレージ | 128GB | |
ディスプレイ | サイズ | 11インチ |
解像度 | 2388×1668 | |
アスペクト比 | 199:139 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 120Hz |
bluetooth | Ver5.0 | |
コネクタ | USB Type-C | |
おサイフケータイ | × | |
防水 | × | |
OS | iOS14.5 | |
SIMサイズ | × | |
バッテリー | サイズ | 公式記載なし |
リバースチャージ | × | |
ワイヤレスチャージ | × |
外観
背面です。前モデルと全く同じデザインとなっており、角丸で、サイドはフラットな形状になっています。

表面です。ベゼル幅にも変化はありません。Apple Pencil第二世代はこれまで同様、サイドに磁石で固定することが可能になっています。無接点充電となっています。

カメラは広角・超広角・LiDARスキャナを搭載しています。

本体左側です。こちらにはなにもありません。

本体上側です。電源ボタンがあります。

本体左側です。ApplePencilを固定できるスペースと音量ボタンがあります。ペンと音量ボタンは重ならないようになっています。

下部はUSB-Cコネクタがあります。

ベンチマーク結果一覧
GEEKBENCH5
GEEKBENCH(ギークベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。
測定モード | 測定値 |
---|---|
シングル | 1722 |
マルチ | 7293 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 673 | 184 | 7 |
ポイント② | 647 | 124 | 8 |
ポイント③ | 667 | 130 | 7 |
ポイント④ | 651 | 259 | 9 |
ポイント⑤ | 246 | 115 | 11 |
ポイント⑥ | 279 | 90 | 10 |
通信スピードテストの評価
カメラのテスト
カメラスペック
タブからイン・アウトカメラスペックを切り替えられます。クリックしてご覧ください。
カメラ | 有効画素 | F値 | 光学手振れ補正 |
---|---|---|---|
①広角 | 1200万画素 | 1.8 | – |
②超広角 | 1000万画素 | 2.4 | – |
カメラ | 有効画素 | F値 | 光学手振れ補正 |
---|---|---|---|
① | 1200万画素 | 2.4 | 非対応 |
撮影作例
作例を掲載しています。最大ズーム倍率は5倍です。タブレット上で見ると画素数の関係でノイジーに見えますが、縮小すると綺麗に見えます。
0.5倍

1倍

2倍

5倍

明るい色、暗い色の花の撮影時にピントを合わせ、ホワイトバランスによる変化を検証しました。
明るい花の写真

黒い花の写真

被写体によるホワイトバランスの変化を検証しました。
黒のカメラに焦点

緑の葉に焦点

ピントの合う位置で接写能力を検証しました。マクロカメラを搭載しているわけではないため、接写は弱いです。
注意書きを撮影

50に合わせて撮影

前後でピントを調整し撮影しました。
前の花にピント

後ろの花にピント

キャンドルライトを使って夜景モードテストをしました。iPhoneと異なり、ナイトモードが無いためノイジーな仕上がりになります。
1個

4個

8個

12個

メリット・魅力
明らかにスピードアップした本体
ベンチマーク結果でも大幅にパフォーマンスが上がっていますが、それ以上に体感でスピードアップしていることを感じます。Lightroomなどの写真現像といったアプリを使う挙動はもちろんのこと、普段の画面遷移やキーボード入力でも感じるほど。現状iPadの速度感にストレスを感じているのであれば、新型に乗り換えることでそのストレスはほぼゼロにできるでしょう。
優れたスピーカー性能
おそらくサイレントアップデートですが、iPad Pro 2021年モデルではスピーカー性能がかなり良くなっていると感じました。大音量にしても音が割れにくいですし、その上で上から下まで音がしっかりと出ています(音圧が強くボディが揺れるほど)。後述するハイリフレッシュレートと合わせて、ゲームをより楽しめるセットアップになっていると感じます。
120Hzリフレッシュレートでゲームを楽しめる
対応コンテンツが限られますが、ハイリフレッシュレートディスプレイを搭載していることで、60fp以上出るコンテンツを楽しむことができます。特にFPSゲームにおいては、高駆動ディスプレイは重要視されるところでもあるため、それだけのために購入するのも良いでしょう。
サイドカーでMacの使い方が広がる
以前から搭載されている機能ですが、iPadシリーズにはMacのディスプレイを接続してセカンドディスプレイ化できる「サイドカー」機能があります。iPad Pro 11インチでももちろん使えますし、この方法を使えば、1ディスプレイ拡張の制限があるM1 MacBookでも拡張ができるため便利です。
優れた発色のディスプレイ
iPad Pro 11インチでは、P3の高色域ディスプレイを採用しています。ストレージを問わず同じディスプレイを搭載しており、色域と価格を考えると本当にコストパフォーマンスが良いと感じます。
Adobe製品がより使いやすく
今回M1チップを搭載した事により、Adobe製品が最も恩恵を受けているのではないかと感じます。ベースの処理能力が上がっていることで明らかにスムーズになっています。レイヤー数が多くなるほどチップセットの能力に依存することになるため、M1チップの能力を最大限活かせるのは大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット・欠点
最低モデルでも価格は高い
コストパフォーマンスが良い話とは裏腹になりますが、タブレットというカテゴリで見ると価格が高いことは事実です。特にAppleが出しているiPad(第10世代)の価格が驚くほど安く、3万円台で買えてしまいます。タブレットに何を求めるかにもよりますが、Proというだけあってコストがかかる点はデメリットと言えます。
ケース付きでは重さが気になる
iPad Pro 11インチをケースから出した際、軽く感じましたが本体にケースを付けると途端に重さを感じました。2021年5月22日時点でAmazonにて最軽量で販売されているケースはPIKATAですがそれでも90gを超えています。持ち運びを前提にする場合は注意が必要です。
おすすめなタイプ
Photoshop、lightroomなどAdobe製品、イラストソフトを頻繁に使う人
何度も繰り返しになりますが、今回のiPad ProでM1チップを搭載したことで恩恵を受けられるのはクリエイターソフトを使う人達です。動作が劇的に快適になっている上にP3の高色域ディスプレイを搭載しているため、MacBookでやっていたことがタブレットでできる時代がやってきたとも言えます。
動画をよく見る人
iPad Pro 11インチはスピーカー音質が良くなっているため、動画をよく見る人にもおすすめです。VODコンテンツを見るなら、QOLが上がるので価格を出してもiPad Proの2021年モデルをお勧めします。
おすすめできないタイプ
ネットサーフィンのみの人
ネットサーフィンだけで使うのであれば、明らかにオーバースペックです。サイズ感も大きく変わらないのでiPad Air Gen4をおすすめします。
外出先で使う人
iPad Pro 11インチ Gen4はFace IDモデルとなっています。外出先で使うのであれば、指紋認証が欲しくなります。iPad Air Gen4は指紋認証なので、ライフスタイルに合わせて選ぶと良いでしょう。
実機レビューのまとめ

M1チップを搭載して動作がスムーズになっていること自体ももちろん評価できますが、それ以上にスピーカーの質感、120Hzのディスプレイ、Apple Pencilの使用感、MacBookのサイドカーとしてもつかえるなど総合的な能力が非常に優れた一台です。
特に色域とプロセッサ能力からイラストレーター、写真現像などで使うクリエイターの人には特におすすめしたいモデルに仕上がっています。
安く買う方法・コツ
iPad Pro 11インチ (2021年モデル・M1)に限らず、iPadを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。