スマートフォンの指紋認証の仕組み・原理をやさしく解説

現在では多くのスマートフォン(スマホ)に搭載されている指紋認証機能。じつはどの端末でも同じ技術が使われているわけではなく、採用されている技術方式により、それぞれに違った特徴を持っています。

指紋認証には大きく分けて、「静電容量式」「光学式」「超音波式」の3種類があります。

楠リカ
この記事では指紋認証機能について、それぞれの仕組みを詳しく解説するとともに、より快適に指紋認証を使いこなすべく、方式ごとの違いをまとめてみました。

 

多くのスマホで採用される「静電容量方式」

現在指紋認証の主流となっているのは、「静電容量方式」という方法。画面以外の部分(ホームボタンや電源ボタン、背面・側面など)で指紋認証を行うタイプの多くが、静電容量方式です。

静電容量式の指紋認証の仕組み・原理

 

iPhone8までのモデルで搭載している指紋認証は静電容量式ですね。

 

静電容量方式は、人や物に含まれる電子が、接触により移動する性質を利用した仕組み。センサー部分にはとても小さな電極が何万個も並べられており、指紋がセンサーに触れると、指紋の凸部分に電気が反応します。

つまり指紋の凸部分だけに、より多くの電荷が溜まっていくというわけですね。この量の変化をマッピングすることで、指紋をデータとして検出することができるのです。

 

静電容量方式のメリット・デメリット

静電容量方式は、センサーの感度が良く認証精度が高いのがメリット。それに加えて他の方法に比べると消費電力も少ないため、頻繁に指紋認証をする人にとっては、わずかですがスマホのバッテリー節約に繋がります。

しかしその反面、汗や水で手が湿りすぎている場合は凹部分にも電荷が集まりやすくなり、正確なデータが取れなくなることも。逆に、乾燥しすぎている場合も、電気が通らず認証に失敗してしまうこともあります。

 

画面内認証が可能な「光学方式」

光学方式は、画面内で指紋認証を行うタイプのスマホの多くに採用されている方式。日本ではOPPO R17Neoが一番最初にその機能を搭載していますね。以下の動画は実際に画面指紋認証を撮影したものです。

楠リカ
40秒くらいの短い動画なので、ぜひ見てね。

 

プリズム面の下から指紋に光を当てると、指紋の凸部分と凹部分では反射の仕方が異なります。凸部分では皮膚表面の水分(汗)の影響で乱反射、凹部分ではプリズムと指の間に空気があるので、全反射…といった具合。

光学式指紋認証の仕組み

 

このように様々に反射した光の陰影をレンズで集めることで、写真のように指紋を検出することができるという仕組みになっているのです。

 

光学方式のメリット・デメリット

光学方式は画面内にセンサーを内蔵できるので、スマホのディスプレイをより広くでき、そして全体的にスッキリとしたデザインが可能となります。

ただし写真のように二次元で指紋を認識するため、偽造された指紋の写真などで突破されてしまうという点に気をつけなければなりません。

また、手がひどく湿っている場合には凹部分でも乱反射をしてしまうため、うまく認識できないことがあるので気をつけましょう。

 

安全性を高めた「超音波方式」

超音波方式は、光学方式の弱点を克服した最先端の指紋認証技術です。光学方式では二次元的に指紋を読み取るため、指紋の写真などで認証を突破されてしまうというリスクがありました。

しかし超音波方式では、指紋に超音波を当てて、帰ってくる超音波の強さや角度などによって立体的に指紋を検出。超音波は皮膚の中を通ることもできるので、皮膚表面だけでなく血流など指の内部まで認識することが可能です。

超音波式指紋認証の仕組み

 

お腹の内部を見る超音波検査などと同じですね。そのため、単純な写真等での指紋偽造は不可能であり、より安全性の高い認証が可能となっているのです。

楠リカ
Galaxy S10で指紋認証を搭載しています。

 

超音波方式のメリット・デメリット

まずメリットとしては、やはり偽造されにくく安全性が高いという点。音波で血流を感知することも可能なので、仮に切断された指で認証を行おうとしても、エラーが起こり認証は不可能です。

さらに、超音波は水分や汚れに影響されないという特徴があるため、汗をかいた手や汚れたてで認証を行っても、正常に機能します。また、直接指が触れていなくても、指紋認証が可能という特徴も。

現時点ではまだ超音波方式の指紋認証機能が搭載されている端末はごくわずかなので、その点がデメリットと言えばデメリットですね。

 

特徴点を抽出して照合

人の指紋には、様々な「特徴点」があります。

指紋の特徴点

  • 中心点(模様の中心にある点)
  • 三角州(三方向から線が集まっている部分)
  • 分岐点(線が枝分かれしている部分)
  • 端点(線が行き止まりになっている部分)

 

これらの特徴点を登録された指紋データと照合し、特徴点同士の相関関係(距離や角度)を記録。一つの指紋には平均で30~50個ほどの特徴点があるそうですが、その中の5~8個の相関関係が一致すると認証成功となります。

スマホの指紋認証で見る特徴点について

 

指の状態(湿り具合や細かな傷)や指の置き方は、登録時と完全に同じということはまずありえません。ということは、登録データと一致しない部分が出るのも当然ですよね。

それが完全に一致するということは…ハッキング等で指紋情報が盗まれ、それによって認証が行われたと判断されるのです。

 

「スマホの指紋認証の仕組みと種類」まとめ

指紋認証はとても手軽、そして安全性の高いセキュリティですから、一度使うともう暗証番号を入力していた時代には戻れません。ただし指紋認証にも弱点が無いわけではないので、仕組みについてしっかりと理解した上で、対策をしましょう。

多汗症や手荒れなどで、静電容量方式や光学方式ではどうしても認証しづらいという人は、超音波方式の認証機能を搭載したスマホが一般的に出回るまでは、顔認証に買い換えるのも一つの手ですね。

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