Xperia10 Ⅲのレビュー概要
2021年Xperiaのミドルレンジモデル
SONYから発売された2021年のミドルレンジXperiaです。Snapdragon 690 5G、メモリ6GB、ストレージ128GBとなっており、ミドルハイに位置するモデルです。アスペクト比21:9の縦長ディスプレイやサイドセンスを使った2画面アプリ同時立ち上げなどが特徴です。
本体の仕上がりとは裏腹にカメラの写りが悪く、かつ処理速度がなぜか遅くワンテンポ遅れるデメリットがあるモデル。購入するなら、その辺りの欠点を記事でまとめているので、十分に読んだ上で購入を検討してください。
簡易スペック表
発売日 | 2021年7月2日 |
SoC | Snapdragon690 5G |
RAM | 6GB |
ストレージ | 128GB |
画面サイズ | 6インチ |
重量 | 169g |
5G | 対応 |
※詳細スペックはこちら。その他性能は目次よりベンチマーク結果をご覧ください
Xperia10 Ⅲの目次
実際に使った感想(主観)はメリット・デメリットからご覧いただけるとわかりやすくなっています。購入を悩んでいる場合はおすすめかどうかをチェックください。
※Xperia 10 Ⅲはワイモバイル版をキャリアから購入し、テストを行っています。
Xperia10 Ⅲの特徴
ここではXperia10 Ⅲの一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
21:9で縦長のアスペクト比
Xperia10 ⅢはこれまでのXperia同様に21:9とかなり縦長のディスプレイを採用したモデルになっています。以下はiPhoneと一般的なアスペクト比のAndoirdスマホを比較したものですが、いかに細いかが分かると思います。
この形状により、縦の情報量が取れるネットサーフィンで強みを出せたり、2画面表示できる強みを活かして、YouTubeを見ながら、サイトをチェックするなどの使い方も可能です。
幅70mmを切るコンパクトボディ
ディスプレイサイズは6インチと大柄ですが、縦長なこともあって幅は70mmを切っており、かなりコンパクトです。片手持ちした時に端から端まで届くのでジェスチャー操作で使いたい人に向いています。
サイドセンス・マルチウィンドウを搭載
Xperia10シリーズはミドルレンジクラスに該当しますが、上位と同じソフトウェア機能のサイドセンスやマルチウィンドウに対応します。サイドセンスで事前に2画面設定を行なっておくことで縦長のディスプレイをより活かすことが可能になります。
防水・防塵に対応
日本製スマートフォンということもあり、防水・防塵に対応しています。
限定カラーが存在
Xperia 10 Ⅲはdocomo、au、Y!mobileの3つのキャリアで取り扱いがありますが、ドコモのオンラインショップのみ限定でイエローカラーが存在します。
Xperia10 Ⅲの価格とコストパフォーマンス
Xperia10 Ⅲの2021年7月8日時点での実勢価格は4~5万円台となっています。Xperiaのブランドとベンチマークスコアの結果を考えれば妥当ですが、カメラ性能を考えるとかなりコスパは悪いです(詳しくはカメラの項目で後述します)。
Xperia10 Ⅲのスペック
今回レビューしたXperia10 Ⅲのスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売日(月) | 2021年7月2日 | |
製品名 | Xperia10 Ⅲ | |
型式 | - | |
サイズ | 154×68×8.3mm | |
本体重量 | 169g | |
ディスプレイ | サイズ | 2520×1080 |
アスペクト比 | 7:3 | |
サイズ | 6 | |
形式 | 有機EL | |
リフレッシュレート | 記載なし | |
バッテリー | 容量 | 4500mAh |
ワイヤレス充電 | 無し | |
リバースチャージ | 無し | |
急速充電 | 無し | |
SoC(CPU) | Snapdragon690 5G | |
GPU | Adreno 619L GPU | |
メモリ(RAM) | 6GB | |
ストレージ | 128GB | |
コネクタ | USB-C | |
外部メモリ | 形式 | microSD |
最大容量 | 1TB |
通信速度 | 上り数字 | 110Mbps |
下り最大 | 1.8Gbps | |
Wi-Fi6 | ー | |
bluetooth | バージョン | v5.1 |
最大接続台数 | 記載なし | |
生体認証 | 指紋認証 | 対応 |
ディスプレイ内指紋認証 | ー | |
顔認証 | 対応 | |
光彩認証 | ー | |
おサイフケータイ | 有り | |
緊急避難速報 | 記載なし | |
防水 | IPX5・IPX8 | |
ワンセグ/フルセグ | IP6X | |
赤外線通信 | 無し | |
OS | 無し | |
OS | Android11 | |
SIMサイズ | nanoSIM | |
DSDV | 無し | |
5G通信 | 有り |
※レビュー機種以外やカスタマイズ内容などの詳細スペックはこちらからご覧ください。
対応バンドについて
キャリアモデルのため非掲載です。
Xperia10 Ⅲのベンチマーク
Antutu
Antutuベンチマークスコアは271345という結果になりました。Snapdragon600〜700番台は並びがややこしくなってしまっていますが、690 5Gは720Gよりも性能が良い結果が得られています。ただし、後述しますがプロセッサ以外の問題でXperia10 Ⅲはよくカクツク挙動が見られます。
タブをクリックすると比較に利用した機種一覧が見れます。全て当サイトの計測値です。
検証機種名 | プロセッサ | メモリ | Antutuスコア |
iPhone12 Pro | A14 Bionic | 6GB | 626380 |
Galaxy S21 | SD888 | 8GB | 611411 |
Galaxy Note20 Ultra | SD865+ | 12GB | 606446 |
ZenFone7 | SD865+ | 8GB | 598223 |
AQUOS zero2 | SD855 | 8GB | 469568 |
Reno 5A | SD765G | 6GB | 323615 |
Xperia10 Ⅲ | SD690 5G | 6GB | 271345 |
OPPO A54 5G | SD480 5G | 4GB | 256038 |
AQUOS sense4 lite | SD720G | 4GB | 252606 |
Galaxy A32 5G | Dimmensity 720 | 4GB | 237746 |
Android One S8 | Helio P65 | 4GB | 167025 |
OPPO A5 2020 | SD655 | 4GB | 150705 |
※その他の機種比較についてはAntutu測定データまとめをご覧ください。
GEEKBENCH5
GeekBench 5の値は以下の通りです。その他の機種比較についてはGeekbench 5測定データまとめをご覧ください。画像はクリックで拡大できます。
Xperia10 Ⅲの通信環境(WI-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
検証結果
スピードテストを行った結果です。ポイント⑥になるほど実質的な距離が大きくなります。
ダウンロード数値比較
アップロード、PING、ジッターを計測した数値を表にまとめています。
測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 422 | 470 | 6 |
ポイント② | 268 | 218 | 8 |
ポイント③ | 434 | 429 | 6 |
ポイント④ | 163 | 323 | 6 |
ポイント⑤ | 339 | 246 | 5 |
ポイント⑥ | 102 | 49.8 | 7 |
通信スピードテストの評価
Xperia10 Ⅲは全体的に安定した通信速度結果が得られています。特にPINGの数値がよく5msが出るスマートフォンはあまりありません。Wi-Fi6に対応している割にMAXスピードが遅い点が気になりました(テスト環境ではWI-Fi6対応の最新端末だと600Mbps程度になるケースが多いため)。とはいえ、十分過ぎるほどの速度が出ているので、一般利用に関して問題になることはないでしょう。
Xperia10 Ⅲのカメラスペック
カメラスペック
タブからイン・アウトカメラスペックを切り替えられます。クリックしてご覧ください。
有効画素 | F値 | 光学手振れ補正 | |
広角 | 1220万画素 | 1.8 | ー |
超広角 | 800万画素 | 2.2 | ー |
望遠 | 800万画素 | 2.4 | ー |
有効画素 | F値 | 光学手振れ補正 | |
広角 | 800万画素 | 2 | ー |
Xperia10 Ⅲで撮影した作例
作例を掲載しています。各画像はクリックで拡大することができます。ズームの最低倍率は0.6倍から、最大は10倍となっています。
被写体によるホワイトバランスの変化を検証しました。驚くほど変わります。
明るい色、暗い色の花の撮影による変化を検証しました。それぞれにピントを合わせるとこちらも大幅に色が変わります。
接写能力を検証しました。マクロカメラを搭載していないこともあり、接写は弱いです。
前後でピントを調整し撮影しました。フォーカスを合わせるとしっかりとボケ味が出ます。
キャンドルライトを使って夜景モードテストをしました。夜景はノイジーな上に色合いがおかしくなっています(かなり緑っぽい色合い)。夜景モードで撮影した様子も同様でした。
超広角モードで夜景を撮影した様子です。こちらの方が色味が近くなっています。また夜景モードを利用することでより自然な光量に抑えられています。
Xperia10 Ⅲの外観
背面はガラス素材になっています。表面加工はされておらず、指紋がかなり着きます。気になる方はシートを張り付けるなどを行う方が良いでしょう。
背面カメラは縦並びの3眼となっています。望遠・超広角・広角の標準的な組み合わせです。
表面です。上下にベゼルがあるタイプとなっています。ノッチは有りません。フロントカメラは上部に一つだけとなっており、IRカメラの搭載は有りません。
本体上側はヘッドフォンジャックがあります。サイドの素材はしっとりとした質感のプラスチックです。指紋はあまりつきません。
本体左側はSIMスロットがあります。上下にそれぞれnanoSIMとmicroSDカードを仕込めるタイプです。
本体右側は音量ボタン、電源ボタン、Googleアシスタントボタンがあります。電源ボタンとアシスタントボタンは少し窪んでいます。そのため、押し間違いをすることがありません。
本体下側にはUSB-Cコネクタがあります。またスピーカーも下部にあり、モノラルとなっています。最大音量にすると音が割れてしまうわりに、音が小さめです。スピーカー単体としての機能はあまり期待しない方が良いでしょう。
SIMスロットを外した様子です。
Xperia10 Ⅲのメリット・魅力
細くて握りやすいボディ
Xperia独特の縦長ディスプレイと10ならではのコンパクトさで細く、握りやすい筐体が特徴です。本体の軽さも相まって、長時間スマホを持つ人にとってメリットが大きいと言えるでしょう。
ネットサーフィン向きの筐体
この端末だけでなく、Xperiaシリーズ全てに言えることですが、21:9のアスペクト比はネットサーフィンにとにかく向いています。
縦の情報量が多いため、スクロール量を減らすことができるからです。ブラウザを使ったネットだけでなく、Twitterやinstagramなどの縦スクロールを必要とするものは効率的にできます。
2画面同時使いが便利
Xperia10 Ⅲではサイドセンスから2画面同時利用が簡単にできます。YouTubeを見ながら、ネットを見るという人は多いと思いますが通常YouTubeをバックグラウンド再生するためには課金が必要。ところが、2画面使いなら課金が必要ないメリットがあります。
ミドルレンジとしてはボディに高級感がある
ミドルレンジの中でも上位に位置するため、ボディに高級感があります。感覚的に言えば、背面はXperia Z1を彷彿とさせるスタイル。特に背面の仕上がりは、Xperia独特ということもあり安っぽさは一切ありません。
Xperia10 Ⅲのデメリット・欠点
カメラ性能が悪すぎる
Xperia10 Ⅲの最大の欠点はカメラ性能。はっきりいって2021年のスマートフォンとは思えないほど悪いです。Antutuベンチマークの結果から考えると処理性能自体は悪くないにも関わらず、カメラの起動や倍率変更で処理の遅れが発生します。さらに、カメラの写りも悪く(色味がおかしく)、カメラを多用する人にとっては買わない方が良い端末です。
コストパフォーマンスが低い
Xperia10 Ⅲだけで見ると価格的には2020年クラスだと普通レベルでしたが、2021年に入りMi 11 Lite 5Gをはじめミドルレンジクラスのプロセッサ能力が一気に向上していること、さらに同じY!mobile取扱端末ではLibero 5Gのように同じくらいの性能でかなり安いモデルが出てきています。これらが原因でXperia 10 Ⅲは相対的に値段が落ちる傾向にあります。
漫画を読みづらい
縦長ディスプレイの弊害とも言えますが、画面サイズが固定されてしまう漫画は横幅基準になってしまうことで非常に読みづらい欠点があります。漫画を読むならおすすめできません。
みんなの口コミ
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特徴がないのが特徴です。
カメラ以外はいいのに、、
カメラ性能は最悪で、自分もPixel 3aと比較しましたが相当悪い
次回作ではカメラが改善していることを祈ります。
本体価格を考えれば、カメラ以外のスペックは充分。
しかし、カメラの質は驚くほど悪い。他の方もレビューされている通り、特に色合いは最悪。以前使用していたスマホがSOV40ですが、そちらのカメラの方が圧倒的によかったです。
新機種でスペックが著しく落ちるのはいかがなものかと思います。
Xperiaとしてのコンセプトはしっかりしているのに、カメラが全てを台無しにしている端末。ソフトウェアアップデートなりでカメラの性能が改善されることを期待しています。
女性目線の口コミ
妻からコメントをもらいました。ライトユーザーとしての一意見として捉えて頂ければと思います。
女性目線のコメント
- 軽くて握りやすくて良い
- 縦長ディスプレイは違和感が大きい
Xperia10 Ⅲがおすすめな人
ネットサーフィンが主な人
ネットサーフィンが中心の人は縦長のディスプレイを搭載しているXperiaは非常に向いています。ブラウザだけでなく、SNSなど縦スクロールするものは情報が取りやすく一回の閲覧量が増えるため楽に使うことができます。
動画を見ながらネットを見る人
Xperia10 Ⅲは2画面で見やすいメリットがあることに加えて、サイドセンスを用いてワンタップで2アプリの同時起動が可能になっています。YouTubeやAmazonプライムビデオ、U-NEXTなど動画配信アプリとの相性はとても良い端末です。
Xperia10 Ⅲがおすすめではないタイプ
カメラ性能を求める人
Xperia10 Ⅲはカメラで買ってはいけません。過去沢山のスマートフォンを触ってきましたが、このモデルは断言できるほど厳しいです。特に夜景モードにおける写りは極めて厳しく、カメラ性能を求めるなら別の端末をおすすめします。ミドルレンジであれば、Mi 11 Lite 5G、AQUOS sense4シリーズが良いでしょう。
漫画を読む人
Xperia10 Ⅲは縦長のため、横幅が規制されてしまい漫画が非常に読みづらいです。漫画主体であればアスペクト比が普通のスマホをおすすめします。
安くて性能の良いスマホを求める人
コスト評価の項目でも書いたように、Xperia10 Ⅲは性能の割に価格が高いためおすすめができません。auであれば、OPPO A54 5G、Y!mobileであればLibero 5GもしくはAQUOS sense4 basicを検討して下さい。どちらのモデルも当サイトでレビューを行っていますので、ぜひ参考にしてください。
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