世界的に有名な情報機器・総合家電メーカー「LGエレクトロニクス」。世界シェアは伸び悩んでいる傾向にあるものの、韓国ではシェア第2位、アメリカやメキシコではAndroid端末のシェアで10%以上を獲得。
有機ELディスプレイなどの最先端技術にも秀でているLGが作り出す高性能スマホですが、日本国内での認知度は低めです。
LG電子とは?
LGエレクトロニクス(通称:LG電子)は、韓国に本社を置く情報通信メーカーで、大財閥であるLGグループのうちの一つ。世界各地118以上の拠点を持ち、韓国の電子事業業界ではサムスンに次ぐ大手メーカーです。
1958年の創業当時は「金星社」という社名でしたが、1995年にLGエレクトロニクスに社名を変更。スマートフォン以外にも、家電製品や液晶ディスプレイなど、様々な分野で事業を展開しています。
日本国内ではドコモの「ディズニーモバイル」やauの「isaiシリーズ」なども手がけているので、意識せずにLGのスマホを使っているという人も多いのではないでしょうか。
高い技術が使われたミドル~ハイエンドな端末が多く、品質や性能にこだわりたいユーザーに人気があります。
LG電子の事業ラインナップ
LG電子は世界でも大手の総合家電・情報通信メーカーとあって、事業ラインナップも多岐に渡ります。LG電子が展開している事業は、主に5つ。
モバイル・コミュニケーションズ事業
- スマートフォン
- タブレット
- ウェアラブル端末
- モバイルアクセサリー
- Wi-Fiルーター、モデム
モバイル・コミュニケーションズ事業では、スマホやタブレットなど移動通信機器の製造・開発を行っています。現在は激戦区となっているスマホ市場で苦戦を強いられており、2018年の営業利益は大幅な赤字に。
ホーム・エンターテインメント事業
- パソコン
- モニター
- テレビ
- ブルーレイ、DVDプレーヤー
- ホームシアター
- プロジェクター
ホーム・エンターテインメント事業で最も好調なのは、有機ELテレビなどの高級TV。2018年には高級テレビ市場で首位争いを繰り広げるなど、この分野では王者サムスンに負けない勢いを見せています。
2019年1月に発表された「巻けるテレビ」も、世界に衝撃を与えました。
ホーム・アプライアンス&エアーソリューション事業
- 冷蔵庫
- 洗濯機
- 空気清浄機
- 掃除機
- 調理家電
- エアコン
ホーム・アプライアンス&エアーソリューション事業は、LGが展開する事業の中で最も安定して利益を出している部門。
2018年の第4四半期には営業利益が過去最大を記録し、全部門中で唯一の黒字部門となりました。(参照:日本貿易振興機構JETRO)
ビークルコンポーネンツ事業
- 車両用機器
- 車両用空調、モーター
ビークルコンポーネンツ事業では、アメリカのゼネラルモーターズと共同で電気自動車の開発を進めるなど、近代の自動車における様々な部品製造を行っています。
ビジネス・ソリューションズ事業
- ソーラー事業
- エネルギーストレージ
- エネルギーマネージメント
LGの世界シェアは3%
世界に名を馳せるLGですが、Counterpoint社の調査によると、スマホ市場でのシェアは3%ととても低いものとなっています。
パーセンテージで見れば前年と変化はないものの、出荷台数ベースで見ると前年比は-25%。中国勢が大幅なプラスの成長を見せる中、大幅なマイナス成長は大きな痛手。世界のスマートフォン市場全体が停滞しつつある現在、勢いを伸ばし続ける中国勢にシェアを奪われる形となっています。
LGのスマホは技術力を活かしたハイスペックな機能が搭載されたものが多いのですが、それが結果として大衆向けではなく、一部マニア向けの指向が強くなってしまったのも、シェアを落ち込ませた原因の一つでしょう。
韓国ではシェア第2位を維持
NNA ASIA経済ニュースの調査では、韓国では予想通り、サムスンとLG、自国の2大メーカーが8割以上のシェアを得ており、国外メーカーがこの牙城を崩すのは難しいでしょう。
ただしLGもシェア16.8%で2位につけてはいますが、サムスンの65.9%には遠く及ばず、第3位のAppleとの差はわずか1%ほど。サムスンの一人勝ち状態となってしまっています。
アジア圏全体で見ても、中国市場からの撤退を報じられたり、韓国国内の生産拠点もベトナムへ移したりするなど、先細り感が否めません。
南米、北米ではランキング内
Cheetah Global LabによるAndroid端末の国別ランキングを見てみると、LGはアメリカで10.61%、メキシコで10.49%、ブラジルで8.64%と、いずれもランキング上位に食い込んでいます。爆発的な人気というわけではありませんが、堅実にシェアを掴んでいるという感じがしますね。
南米・北米でLGのスマホが人気なのは、スマホ以外の生活家電等でのLGブランドの人気が高いことが理由の一つと考えられます。
アメリカの顧客満足度評価の家電部門では常に上位にランクインするなど、LGブランドは確固たる地位を獲得しているのです。
日本での利用率は0.6%とかなり低い
MMD研究所の調査では、LGそのものの知名度に対して、日本でのLGスマホの利用率は0.6%とかなり低め。その背景として、やはり日本ではAppleのiPhoneが46.7%とダントツのシェアを誇っているのに加え、大手キャリアから販売される日本メーカーのスマホ人気もまだまだ根強いことが挙げられます。
海外メーカーのスマホは、Appleを除くと、世界シェア第1位のサムスンですらわずか4.9%。LGが日本でのシェアを上げるには、今ひとつ武器が足りない結果となってしまいました。
LGのスマホは最先端かつ個性的
LGは有機ELディスプレイの製造・開発も手がけているため、その技術を活かしたディスプレイの美しさには定評があります。また、カメラやオーディオの性能にこだわるなど、常に最先端の技術を投入した端末を提供しています。
LGのここに注目!
最先端技術と新しい提案
数字だけでシェアを見れば勢いは落ち込んでいるものの、まだまだ逆転のチャンス、そして意欲は失われていないと感じさせるLG。現在のスマホカメラはデュアルカメラ搭載のものが増えてきて、中にはトリプルカメラで高品質な写真を撮れるものも登場してきました。
しかしLGが現在開発しているのは、トリプルカメラの性能を大幅に超える「16レンズカメラ」。単純にカメラのレンズが増えれば増えるほど写真は高品質になり、3D撮影や望遠・広角などできることが大幅に広がります。
もし16レンズカメラのスマホが実現すれば、ぜひとも一度試してみたいという人は多いでしょう。ディスプレイにも自信のあるLGだからこそできる提案です。
韓国国内でのサムスンとの戦い
LGを語る上で避けて通れないのは、やはり同じ韓国メーカーであるサムスンとの戦いです。スマホ市場においては、世界シェア不動の第1位であるサムスンとLGでは、大きく差がつく結果となっていますが…
しかし有機ELディスプレイや白物家電など、LGがサムスンを凌駕している部門も数多くあり、企業としての勝敗を簡単につけることはできません。また、現在はまだスマホ市場でナンバーワンの座を保っているサムスンですが、その地位は決して安定したものではありません。
中国や台湾などの新興メーカーでも一定のクオリティを持ったスマホの提供が当たり前となってきて、他社との差別化がどのメーカーにおいても難しくなってきているからです。
その点、LGはサムスンに比べて長い歴史を持ち、サムスンに負けない高い技術力を使った個性的なアイデアを打ち出していくことを続けています。
まとめ
韓国の歴史あるメーカー、LG電子。スマホ市場では低迷が続いているものの、テレビや白物家電などでは世界各国の大手メーカーを凌駕する勢いを見せています。
かつては「日本製」というのがブランドの一つだったように、今や「韓国製」のスマホや家電製品は、それだけで一定のステイタスを持つ時代。きっとLGはスマホ市場においても、最先端技術を駆使した逆転劇を見せてくれる予感がしますね。
公式サイト:LG電子(モバイル部門)