Motorola(モトローラ)と言えば、かつては携帯電話メーカーとしてだれもが名前を聞いたことのある大手企業。
そんなMotorolaが、近年日本でも続々と新機種を投入し、注目を集めています。今一度、Motorolaとはどんな企業なのか、詳しく知っておいて損はありません。
Motorola(モトローラ)とは?
Motorola(モトローラ)は1928年にアメリカで設立された、電子・通信機器メーカー。設立当初の社名は「Galvin Manufacturing Corporation(ガルビン・マニュファクチャリング・コーポレーション)」でしたが、1947年にブランド名であった「Motorola」に社名を変更されました。
設立から90年という歴史ある企業ですが、2011年には「モトローラ・モビリティ」と「モトローラ・ソリューションズ」という2つの会社に分割され、さらにモトローラ・モビリティは2014年に中国大手メーカーである「Lenovo」の100%子会社へ。
Motorolaは世界初の商用携帯電話を開発した通信機器メーカーの牽引者であり、1990年台には携帯端末の市場シェアトップを独走。
日本でもdocomoやauなど大手キャリアから端末が発売され、注目を集めました。
Motorola(モトローラ)の社名の由来と会社概要
Motorolaは、「Motor(モーター・自動車)」と「Ola(オーラ・音)」を合体させて作られた社名だよ。元々はカーラジオの開発をしていたことから、このような社名になっています。
Motorolaの事業ラインナップ
現行の事業はモビリティ部門とソリューション部門
Motorolaは現在「モトローラ・モビリティ」「モトローラ・ソリューションズ」の2つに分割されており、さらにそれぞれ別企業の子会社となっています。まずは、モトローラ・モビリティの事業から見てみましょう。
モトローラ・モビリティ
- スマートフォン
- タブレット
- スマートウォッチ
モトローラ・モビリティでは、スマホ・タブレット・スマートウォッチを展開。Lenovoの子会社となったものの、ブランド自体は「Motorolaブランド」をそのまま利用しています。それでは次に、モトローラ・ソリューションズの事業について。
モトローラ・ソリューションズ
- アナログ、デジタル2ウェイラジオ
- 音声通信
- データ通信
- モバイルコンピューティング製品
- セキュリティシステム
など、現在モトローラ・ソリューションズで展開されているのは、政府向けのソリューションサービスです。かつては無線ネットワークインフラも取り扱っていましたが、無線ネットワークインフラについては、現在ノキアに買収されています。
というわけで、私達に直接関わってくるのは、主にモトローラ・モビリティの通信機器事業のほうですね。
過去の事業ラインナップ
現在はモビリティ部門とソリューション部門の2つの柱のみとなったMotorolaですが、過去には様々な分野で事業を展開していました。
過去の事業分野
- テレビ・ラジオ事業
- 衛星通信事業
- 半導体事業
- 生体認証事業
- 車載システム事業
- 政府・防衛事業
現在ではいずれも事業の不振などを理由に、他社へ売却されたり分社化の末に別ブランドとなったりしています。
世界シェアはLenovoも含めて3%
Counterpoint社の調査データまとめによると、2018年のMotorolaのシェアは、親会社であるLenovoと合わせて3%。Motorolaブランドのみに限定すると、もう少し低い数字になるでしょう。
しかしMotorolaブランドは今でも世界中でネームバリューがあるため、根強いファンは多いです。Lenovoも、日本や欧米などMotorolaのブランド力が高い場所では、Motorolaブランドの名前を継続して使っています。
中南米ではシェア第2位
Motorolaのお膝元であるアメリカでの人気も、現在は下火。2017年のデータになりますが、Motorola(Lenovo)のシェアは全体のわずか5%となっています。順位で言えば第5位ではありますが、トップを走るAppleやそれを追いかけるサムスンとは大きな差。同じようにヨーロッパ圏においても、シェアは4%ほどにとどまっています。
しかし、注目してもらいたいのは中南米におけるMotorolaのシェアの高さ。中南米ではトップであるサムスンについで第2位、シェア16%という高い数字となっており、人気の高さがうかがえますね。
もう少し詳しいデータが載っているのがCheetacGrobalLabのデータ。特にブラジルでは、Android端末の中でMotorolaが24%超という数字を叩き出しています。
インドでも7%以上のシェアを獲得
CheetacGrobalLabの調査によると、インドのAndroid端末のシェアでは、Motorolaは7.72%で第4位という結果となっています。3位のHTCとは本当に僅差であり、親会社であるLenovoと合わせると実質HTCを大幅に抜いて第3位。
インドはこれからまだまだ拡大していくスマホ市場なので、この勢いに乗ったままシェアを上げていけるのかどうかに注目したいですね。
日本での利用率は0.3%と低め
MMD研究所の調査によると、2018年8月時点で日本でMotorolaの端末を利用している人は、わずかに0.3%。調査対象3762人中、11人ほどの割合という結果に。日本のスマホ市場への本格参入は2016年のことなので、まだ結果を出すには日が浅いというのも一因でしょう。
しかしモトローラ・モビリティの会長兼社長であるランクザン氏は日本市場に対する強い意欲を見せており、今後も新機種の投入などでどんどん巻き返していくことも十分考えられます。(CNET Japan)
今後の日本でのシェアの動きが、Motorolaが再び世界を席巻するための重要な足がかりとなる可能性も高いですね。
Motorolaのスマホの特徴は「個性」
Motorolaのスマホで特筆すべきは、やはり個性的な「Moto Z」シリーズでしょう。「moto mods」というアクセサリーと組み合わせることで、スマホを超えた様々な機能を利用することができるようになります。
(moto mods公式より引用)
例えば、その場ですぐに写真が印刷できるポラロイドパーツや、高音質で出力できるステレオスピーカーなど。Motorolaの端末は全体的に、万人受けする端末というよりは個性や独創性を強く押し出したものが多い印象。
しかし低価格で誰にでも手が出しやすいローエンド・ミドルエンドの機種から、上記のような個性的なハイエンド機種まで幅広く揃っています。
Motorolaのここに注目!
iPhoneよりも先にスマホを発売していた
Motorolaはスマホ事業への参入に出遅れた、というイメージを持っている人も多いのではないでしょうか。しかし、Motorolaがスマホ事業の展開に出遅れていたわけではありません。
日本でスマホが注目を集め始めたのは、やはりiPhone発売以降ですが、じつはiPhoneが発売される以前からMotorolaはスマホを手がけていたのです。
iPhoneが初めて発売されたのは2007年(アメリカ)ですが、日本で発売されたMotorola製のスマホ、ドコモ「FOMA M1000」の発売は2005年。
なんとiPhoneの2年以上前からMotorolaのスマホは販売されていたんですね。しかし当初、Motorola製のスマホは主に法人向けとされていたため、iPhoneのように個人向けとしての爆発的な人気を得ることはできませんでした。
もし初動の時点で個人向けにフォーカスしたスマホの開発に力を入れていれば、現在もスマホ市場を牽引する存在になっていた可能性も高いですね。
折りたたみスマートフォンも開発か
Motorolaの特徴と言えば、やはり長い歴史に裏打ちされた確かな技術力。日本参入時、最初に発売したMoto G4 Plusは本格的なデュアルスタンバイ対応であることが大きな注目を集めましたし、カメラやスピーカーなど様々なオプション機器と組み合わせて使えるMoto Zなども評判でした。
また、近年ではスマホの次世代スタイルとして「折りたたみスマートフォン」が話題となっていますが、CNETの記事によると、Motorolaもかつて人気を博した「RAZR」を復刻した折りたたみスマートフォンを手がけるという噂もあります。
Motorolaがこれまで積み上げてきたブランド力、そして技術力が合わされば、今後世界のスマホ市場でランク上位に食い込んで来る可能性も大いに期待できるでしょう。
まとめ
スマホ市場は現在デザインや機能についても一時的に頭打ちで、どのメーカーの端末でもある程度の性能があるのが当たり前の時代となりました。その中から一歩先に抜け出るためには、個性や独創性がカギの勝負となるでしょう。
その点、Motorolaは今も昔も変わらず「Motorolaらしさ」を大切にしているブランドです。これから5G(第5世代)へと切り替わっていく中、1G・2G時代の栄光を再び取り戻す日も近いかもしれませんね。