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レビュー・評価の概要
2021年に発売されたSurface Pro 8はキープコンセプトのまま、最大120Hzのリフレッシュレートディスプレイに対応したこと、プロセッサが第11世代にパワーアップしたことが主な特徴です。
特に今回のプロセッサのパフォーマンスアップは大きく、Cinebench R20で2000pts超えと1.3倍程度に実測値でパワーアップしたことが魅力です。
発売年度 | 2022年 |
プロセッサ | Core i5-1135G7 Core i7-1185G7 |
RAM | 8~32GB |
ストレージ | 512GB~1TB |
画面サイズ | 13インチ |
GPU | Iris Xe Graphics |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 非対応 |
重量 | 1185g |
Cinebench R20 | 2170pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではSurface Pro 8の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
第11世代intelプロセッサでパフォーマンスアップ
Surface Pro8は前モデルからキープコンセプトのまま、プロセッサがintel第11世代となり1.3倍程度パワーアップしています。Surfaceに限りませんが、第11世代と10世代は単純な処理能力、グラフィックス性能が別物となっており、パフォーマンスの違いを感じます。
これまで通りのキックスタンド形式
前モデルからナンバリングを上げていることからもわかるように、Surface Pro 8はキープコンセプトとなっています。キックスタンドとファブリックのマグネット吸着式キーボードの組み合わせでSurfaceらしさを演出してくれます。
スリムペン内蔵スタイルも選べる
今回のモデルでは、Surface Pro Xで採用されていたスリムペン内蔵型のキーボードが選べるようになっています。これにより、PC本体の収納厚みを大きく変えることなく、そしてデザインを損なうことなく使うことができます。

USB Type-Aは廃止されType-Cに統一
Surface Pro8ではUSB Type-C(Thunderbolt4)に端子が統一されており、Aが廃止される形となりました。人によっては不便に感じるかもしれません。
最大リフレッシュレートは120Hz
本モデルからリフレッシュレートが120Hzに変更となっています。ハイエンドスマートフォンやタブレットの高リフレッシュレートが当たり前になりつつあることを考えると嬉しい仕様変更です。初期設定は60Hzになっていますが、利用時には設定変更が必要です(設定⇒ディスプレイ⇒詳細設定から設定できます)。

価格とコストパフォーマンス
Core ii5モデルで148,280円から、Core i7モデルで215,380円からなのでプロセッサの性能から見てかなり割高です。またタイプカバーは別売りなので、この価格にさらに上乗せされる形になります。ただし13インチのタブレット型ハイエンドノートパソコンは他にあまりなく、仮に他メーカーであっても似た価格帯。
タブレットPCとしての価値にお金を出せるかどうかがコスパが良いかどうかを感じるポイントとなるでしょう。なお、Microsoft Officeがバンドルされる形になるので、もし購入前提で考えているならその分お得に買えます。
スペック
今回レビューしたSurface Pro 8のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 208×287×9.3mm | |
重量 | 本体 | 1185g |
アダプタ | 255g | |
CPU | Core i7-1185G7 | |
GPU | Iris Xe Graphics | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
ストレージ | 1st | 256GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 13インチ |
解像度 | 2880×1920 | |
アスペクト比 | 3:2 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 最大120Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 500万画素 |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 有り |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.1 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 51.5Whr |
公称値 | 公式記載なし |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 2170 |
シングル | 500 | |
Cinebench R23 | マルチ | 5265 |
シングル | 1300 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 2266.45 | 1074.12 |
SEQ1M Q1T1 | 1012.16 | 642.03 |
RND4K Q32T16 | 566.40 | 419.54 |
RND4K Q1T1 | 39.80 | 123.58 |
PC温度測定
平常時とCinebenchR23(multi)で10分負荷をかけた後にFLIR One Proのサーマルカメラを用いて温度測定を行いました。驚いたことに最高温度で33℃程度、しかも一部しか温まっておらずファン音がありません。
通常時

CinebenchR23(10分測定後)

モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] |
---|---|
sRGB | 100 |
Adobe RGB | 79.9 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 652.78 | 454.88 | 7 |
ポイント② | 627.14 | 353.91 | 7 |
ポイント③ | 675.96 | 444.99 | 7 |
ポイント④ | 524.13 | 396.84 | 6 |
ポイント⑤ | 530.8 | 320.12 | 7 |
ポイント⑥ | 351.88 | 248.21 | 6 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | △ | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | Anker 736 Charger |
外観
今回レビューしたSurface Pro8はシルバーモデルです。これまでとデザインとしては大きく変わらず、キックスタンドタイプになっています。スタンド部分にはWindowsマークがあります。キックスタンドではこれまで同様に無段階で好きな角度に調節できるようになっています。

開いた様子です。ベゼルは上部が厚め、左右は薄めとなっています。フロントカメラにはIRカメラも搭載し、Windows Helloに対応しています。

タブレットモードで利用できるため180°開閉が可能ですが、キックスタンドを使って立てた場合は170°となります。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。タイプカバーとちょうど重なる位置になるため下部ベゼルは隠れる形になります。

キーボード全体です。キーボード配置には癖がなく、打ちやすい印象を受けました。タイプカバー式なので、強く打つとたわみが出るのは過去モデルと変わりありません。

ミツトヨのデジタルノギスでキーピッチを算出したところ、19.09mmとなりました。また、SHINWAのデップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.2mmとなっています。タイプカバーなので剛性感は弱いですが、キーピッチ、キーストロークともに一般的なパソコンと同じレベルなので、使いやすいです。

タッチパッド幅を計測したところ、101mmとなりました。タッチパッドはサラサラで使いやすくなっています。縦方向が小さめですがタッチパネルと併用できるので、あまり不満はありません。

本体右側には電源ボタン、USB Type-Cポートが2つ、Surfaceコネクタがあります。

本体左側には音量ボタン、ヘッドフォンジャックを備えています。

上部、下部にはインターフェイスは何もありません。背面上部側を見ると排熱用に通気口が備えられています。

本体の重量を測定したところ、1185gとなりました。また充電器込みの重量を測定したところ、1440gとなりました。

メリット・魅力
キープコンセプトでパフォーマンスアップ
Surface Pro8自体は過去モデルからコンセプト、筐体を大きく変えずに熟成を重ねてきています。そのため、過去ユーザーも違和感なく乗り換えられる特徴を持ちつつ、ベンチマークの結果からもわかるようにパフォーマンスは前モデルから大幅に進化しました。さらにSurface Pro8のタブレットとしての魅力をさらに際立たせる形でグラフィック性能がパワーアップしているのもポイントと言えるでしょう。
スリムペンで収納がよりスマートに
今回レビューしているタイプカバー(Signature)を選べるようになったことで、より収納しやすいスリムペンを使えるようになりました。持ち運び時にマグネットだと不安があったところが大きく改善されています。
スリムペン自体が使いやすい
筆者はイラストレーターではないので、あくまで素人感想ですがスリムペンはこれまでのSurfaceペンよりも握りやすく、使いやすい印象を受けました。

またペン先がよりハードなので書き心地が良かったです。

ファン音がほぼない
今回Cinebench R23を10分間回してベンチマークテストを行ないましたが、温度上昇は見られるもののファン音がほぼ聞こえませんでした。タブレット形状で外出先でも使うケースが多いことを考えると大きな利点です。
120Hzが素晴らしい
今回から120Hzディスプレイに対応したため、テスト時はその設定で使っていましたが明らかに違いが感じられます。タブレットとして使う場合、スマホでハイリフレッシュレート対応のものを使っていると違和感を覚えることがあります。そういった小さな違和感を無くしてくれるという点でも魅力的でしょう。
スピーカー性能がタブレットとは思えないレベル
Windows機のノートパソコンは一般的にスピーカーが弱い印象がありますが、Surface Pro 8はその概念が吹き飛ぶほど良い音になっています。高音から低音までしっかり出るので、動画鑑賞が楽しくなるパソコンです。
デメリット・欠点
USB Type-A廃止は不便
Surface Pro8からUSB Type-Aが廃止になりました。Surfaceをビジネス用途で使う人も多いと思うので少し不便です。データ転送のためにUSB Type-AとType-Cを搭載したUSBメモリを用意したり、ドッキングステーションを準備する必要があるでしょう。
モバイル通信には非対応
Surface Pro 8でも過去モデル同様にモバイル通信には非対応となっています。ネット常時接続を求める場合は別モデルを選ぶ方が良いでしょう。
おすすめなタイプ
タブレットユースする人
Surface Pro 8をフルに使えるのはパソコンとしてでなく、タブレットユースする人です。例えば、電子書籍(kindle)を見たりAmazonプライムを視聴するためのデバイスとしては非常に便利。キックスタンドが使えるので、その場で立てかけて使うことができます。
単独でスタンド付属のタブレットはあまりありません。パソコンとタブレットを別々に買う方法もありますが、単一デバイスとして統一することでそれぞれにかけるお金を分散させずに、高パフォーマンスなタブレット兼パソコンとしてまとめておくことが出来ます。
デザイン性とパフォーマンスを追求する人
Surfaceシリーズ全般に言えることですが、筐体デザインはやはり素晴らしいです。全体的なフォルムだけでなく、背面の加工なども含めてこだわりを感じます。その上で、第11世代になったことでCinebench R20のスコアが2000ptsを超え始め、パフォーマンスが大きく向上。
Surfaceはデザイン先行というイメージを持っていましたが、それを完全に払拭する仕上がりとなっています。
おすすめできないタイプ
スピーカー音を求める人
Surface Pro8がスピーカー音が悪いのではなく、Surface Laptopの方がスピーカー音がダントツで良いのでもしスピーカー性能を求めるなら、絶対にこちらをお勧めします。もしbluetoothなどで外部接続を前提とするなら、Surface Pro8でも良いでしょう。
常時接続性を求める人
デメリットでも書いた通り、Surface Pro8にはモバイル通信による常時接続性がありません。Always Conecttedな端末を求めるなら、Surface Pro Xを選択するようにして下さい(たたし、intelプロセッサではなく、Microsoft SoCなので動かないソフトウェアがあることに注意です)。
カスタマイズ・モデルの選び方
Surface Pro8にはCore i5モデルとCore i7モデルがあり、それぞれで搭載メモリによって価格差があります。個人的にはCore i5,16GBで十分と思いました。また、一緒にタイプカバーを購入する必要もありますが、通常モデルとSingnatureタイプで1万円以上違うので、価格に注意して下さい。
なお、Microsoft Officeソフトを搭載しているので追加で買う必要はありません。
実機レビューのまとめ

2021年モデルはディスプレイのリフレッシュレート強化、プロセッサの強化されつつファン音がほぼ無くなっている点から見て、型落ちと新型で明確な差があります。
USB Type-Aポートが無くなったことはビジネスシーンで困ることがあるかもしれませんが、逆に言えば型落ちを検討するのはそういった人だけとなるくらい、新型が魅力的な機種となっています。
安く買う方法・コツ
Surface Pro 8に限らず、Surfaceのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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