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レビュー・評価の概要
本体重量1.1kgと持ち運びに優れる12インチのChromeOS搭載ノートパソコンで、本体価格が2021年5月28日時点で5万円以下とコストパフォーマンスも非常に高い機種。
プロセッサはintel系ではなく、スマートフォン用に近いARM型のMediaTek MT8183が搭載されており、Androidアプリとの親和性を高める構成になっています。
モバイル用のChromebookを探している人はぜひ第一候補に入れて欲しい一台です。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | MediaTek MT8183 |
RAM | 4GB |
ストレージ | 64GB eMMC |
画面サイズ | 12インチ |
GPU | 内蔵グラフィックス |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 非対応 |
重量 | 1145g |
Geekbench | 927(マルチ) |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではChromebook Flip CM3の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
12インチのコンパクトChromebook
市場に投入されているChromebookはその多くが14インチクラスか10インチクラスが多いのですが、今回のCM3は珍しい12インチクラスとなっています。画面はそこそこ大きく、かつコンパクトになったことで本体重量が軽い構成です。
3:2の縦長ディスプレイ
CM3ではノートパソコン全体で見ても珍しい3:2の縦長ディスプレイを搭載しています。これにより縦の情報量が増えネットサーフィンや書類作成などの実務をこなしやすくなっています。
USB-PD充電対応
CM3の充電器はUSB-PDとなっているため、Androidスマートフォン他と共通化することが可能でモバイル時に便利な構成となります。
5万円を切る価格
本体は税込で49,800円(ASUS公式ストア価格)からとなっており、リーズナブルで手に入れやすい価格帯となっています。
価格とコストパフォーマンス
Chromebookの市場では3万円台のノートパソコンも数多く見るため、約5万円の価格は一見高く見えるかもしれません。しかしながら、IPS液晶、12インチの3:2ディスプレイ、1.1kgの軽さ、USB-PD対応といった機能面を考えるとコストパフォーマンスが良いと考えます。
特に低価格帯の場合、VA液晶が使われていることが多く、液晶の見づらさがあります。外で長時間使うならIPS液晶の方がメリットが大きいと言えます。
スペック
今回レビューしたChromebook Flip CM3のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 215.8×269.2×16.8mm | |
重量 | 本体 | 1145g |
アダプタ | 170g | |
CPU | Mediatek MT8183 | |
GPU | Arm Mali-G72 MP3 | |
メモリ(RAM) | 4GB | |
ストレージ | 1st | eMMC 64GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 12インチ |
解像度 | 1366×912 | |
アスペクト比 | 3:2 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 92万画素 |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac | |
bluetooth | v4.2 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 2セル |
公称値 | 15.6時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
OCTANE 2.0
Chromebookのため、ウェブブラウザのベンチマークテストである「OCTANE」にて評価を行いました。スコアは9752でした。他の結果と比較したい方は、OCTANEベンチマーク一覧をご覧ください。

GeekBench 5
GeekBench 5にてスコアを計測しました。multiが927、Singleが261となっています。ちなみに同じプロセッサを搭載しているChromebook Detachable CM3よりも35%ほど低いスコアが出ています。
他のChromebookのスコアを比較したい場合はGeekbench5測定結果一覧をご覧ください。

通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 257 | 6 | 13 |
ポイント② | 229 | 9.66 | 7 |
ポイント③ | 254 | 8.99 | 9 |
ポイント④ | 256 | 57.7 | 10 |
ポイント⑤ | 254 | 163 | 8 |
ポイント⑥ | 142 | 110 | 37 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はアルミで仕上げられており、高級感があります。センターにロゴマーク、そして左上に Chromebookのマークがあります。

背面も同様にアルミで仕上げられています。ゴム足がグレーになっているため統一感があります。

開いた様子です。ディスプレイは3:2で縦長を採用しているため、パッと見た感じで違和感を感じる人も多いかもしれません。また画面は光沢になっており、ベゼル幅は比較的広めです。フロントカメラはディスプレイ上側に付いています。物理シャッターはありません。

フリップタイプのため、タブレット形式にすることが可能です。

本体キーボードです。12インチのコンパクト筐体ですが全てが独立しており打ちやすいです。ただし、エンターキーが小さめのため、気になる人はいるかもしれません。

ミツトヨのデジタルノギスで2点間のキーを測定し割り返してキーピッチを算出したところ、16.1mmとなりました。また、SINWAのデップスゲージでキースストロークを測定したところ、1.3mmとなっています。

タッチパッド幅を計測したところ、105mmとなりました。

本体右側には音量ボタンと電源ボタンがあります。

本体左側にはUSB-CとmicroSDスロット、そしてUSB-A、ヘッドフォンジャックがあります。

本体の重量を測定したところ、1415gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、1315gとなりました。充電器単体では170gとなります。

メリット・魅力
縦長でシングルタスクの作業性が高い
Chromebook Flip CM3で感じた最大のメリットは縦長ディスプレイで作業性が良いことです。特にGoogleドキュメントやネットサーフィンで使う場合、閲覧領域が広がり作業性が向上するメリットがあります。
キーボードが打ちやすく入力性が高い
12インチの薄型ノートパソコンはキーストロークが浅く打ちにくいモデルも多いですが、本モデルは打ちやすく入力性が高いメリットを持っています。ドキュメント作成ユーザーに良いでしょう。
リーズナブルなのにスピーカーが比較的良い
ASUSのノートパソコン全般に言えることですが、リーズナブルな値段帯の割にスピーカー性能が高いことがメリットとして挙げられます。Flipタイプでテントモードとしても使えるので動画を見たりするのに便利です。
十分快適な速度
このモデルで搭載しているプロセッサは一般的なパソコンから見れば性能は低いですが、Chromebookという括りであれば、通常利用においては全く問題ありません。また、もともとスマートフォン向けのプロセッサなので、Androidアプリとの親和性が高いこともメリットです。
インターフェイスが充実
薄型のChromebookは全般的にインターフェイスが不足していることが多いですが、12インチで1.1lg台のノートパソコンとしてはインターフェイスが多くなっています。
バッテリー性能が高い
長時間持ち運ぶ人に知っておいて欲しいこととして、Chromebookは全体的にバッテリーの公称値が低いという問題があります(10~13時間が多い)。ところが、Chromebook Flip CM3のバッテリー持続時間は15時間と非常に長くなっています。持ち運びが多い人には大きなメリットとなります。
デメリット・欠点
タッチパッドの質感が低い
Chromebook Flip CM3のタッチパッドは引っかかりを感じるタイプで質感はあまり良くありません。外で使うのであれば我慢するか、タッチパッドを使う、もしくはマウスを使うことを前提とすると良いでしょう。
ASUS USIペンは別売りなので注意
Chromebook Flip CM3はASUSの純正スタイラスペンが付属しません。別売りになっているので注意してください。
1.1kgだが見た目よりも重い
本体は1.1kgで12インチノートパソコンとしては軽いですが、本体が小さいこともあって密度が高く感じます。ただ、実際カバンに入れてしまえば関係ないので、見た目だけでのデメリットに近いです。
おすすめなタイプ
持ち出し用の安いパソコンが欲しい人
Chromebook Flip CM3が最もマッチするのはやはり外でドキュメント作成、メール返信などを中心とする人です。Chromebookとしては長いバッテリー持続時間、軽量性、そして何よりも縦長のディスプレイがユーザーにマッチします。また、紛失した際に外部からログアウトできる、GoogleChromeならではのセキュリティ性も魅力です。
Googleドキュメントを使う人
上でも書いていますが、Googleドキュメントを使う人にとっては、持ち出し外でもメリットがあります。縦長のディスプレイで小さい画面は集中できるので、書き物が多いユーザーはチェックしておくべき端末と言えるでしょう。
おすすめできないタイプ
より高速性を求める人
Chromebookなのでこのプロセッサでも十分動きますが、それ以上に高速性を求める人にとってはCore i3以上のモデルをおすすめします。重いアプリでも動かせるようになるため、もともと快適なOSをさらにスピーディに使うことが可能となります。ただ、価格とはトレードオフになりChromebookの良さの一つが失われるので注意して下さい。
カスタマイズ・モデルの選び方
本PCにカスタマイズモデルはありません。
実機レビューのまとめ

12インチで購入できるChromebookは数が限られている中で、質量とバッテリー持続時間を考えると2021年上期ではベストに近い選択肢です。
格安さがウリの中では少し高めになりますが、買って後悔しないモデルの一つと言えるでしょう。スタイラスペンを使う人は別途購入が必要なのでその点のみ注意してください。
安く買う方法・コツ
Chromebook Flip CM3に限らず、ASUSのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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