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レビュー・評価の概要
第4世代Ryzenプロセッサを搭載した超ハイパフォーマンスPCでありながら、10万円以下から買える驚異的なコスパのパソコン。処理能力が優れるだけでなく、16インチで画面アスペクト比が16:10で縦長ディスプレイとなっておりワード、エクセルなどの作業に向いていたり、色域カバー率が高いためクリエイティブ用途でも使える一台です。
なお今回はゲーミングエディションをレビューしていますが、特徴やメリットデメリットでは通常モデルについても触れつつ比較しています。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Ryzen7 5800H Ryzen5 5600H |
RAM | 8~16GB |
ストレージ | 512GB |
画面サイズ | 16インチ |
GPU | GeForce GTX1650 AMD Radeonグラフィックス |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 非対応 |
重量 | 1975g |
Cinebench R20 | 4593pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではIdeaPad Slim 560 Pro Gamingの一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
Ryzen5000シリーズ搭載でパワフル
IdeaPad slim 560シリーズはRyzen5000シリーズのGen3モデルを搭載したノートパソコンです。
Gen3アーキテクチャになったことで更にパフォーマンスが向上しており、今回のベンチマークではCnebench R20でマルチで4000ptsを超える結果とシングルでも550ptsを超える結果が得られています。
ゲーミングエディションはGTX1650搭載
今回のレビュー品もそうですが、本モデルにはグラフィックボード搭載モデルと非搭載モデルの2種類があります。グラフィックボードはGeForce GTX1650を選ぶことができます。
作業に便利な縦長ディスプレイ
IdeaPad Slim 560はディスプレイに特徴があり、2560×1600の高解像度で縦長アスペクト比が採用されています。ディスプレイサイズは16インチとなっており、ノートパソコンとしては中途半端なサイズです。しかしながら、この縦長ディスプレイは書類作業をする時なと非常に便利です。
価格とコストパフォーマンス
本モデルはグラフィックボード搭載モデルと非搭載モデルがありますが、非搭載モデルのコストパフォーマンスが異常に高くなっています。
縦長アスペクト比を採用しているパソコンのほとんどが高価格帯になること、そしてプロセッサのパフォーマンスから考えれば本モデルを選ばない選択肢がないほどです。
グラフィックボード搭載モデルもコストパフォーマンスはトップクラスですが、TUF Gamingなど他社製品も同ランクになるものがいくつか存在します。
スペック
今回レビューしたIdeaPad Slim 560 Pro Gamingのスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2022年 | |
サイズ | 251×356×16.9mm | |
重量 | 本体 | 1975g |
アダプタ | 480g | |
CPU | Ryzen7 5800H | |
GPU | GeForce GTX1650 | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
ストレージ | 1st | 512GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 16インチ |
解像度 | 2560×1600 | |
アスペクト比 | 16:10 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 公式記載なし |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.1 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 11時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 4593 |
シングル | 555 | |
Cinebench R23 | マルチ | 11612 |
シングル | 未測定 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 3425.59 | 2716.75 |
SEQ1M Q1T1 | 2211.16 | 2183.89 |
RND4K Q32T16 | 1235.26 | 559.84 |
RND4K Q1T1 | 42.84 | 128.61 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | 3489 | 普通 |
高品質 | 4911 | やや快適 |
軽量品質 | 6431 | 快適 |
PC温度測定
平常時とCinebenchR23(multi)で10分負荷をかけた後にFLIR One Proのサーマルカメラを用いて温度測定を行いました。
このパソコンの凄いところはパームレスト部分含めほとんど温度が上がらないことです。タイピングが多い人でも快適に使えるでしょう。
通常時

CinebenchR23(10分測定後)

モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] | カバー比[%] |
---|---|---|
sRGB | 96.5 | 100.5 |
Adobe RGB | 74.1 | 74.5 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 646.18 | 377.23 | 7 |
ポイント② | 306.3 | 263.49 | 6 |
ポイント③ | 544.24 | 390.88 | 8 |
ポイント④ | 478.94 | 336.96 | 7 |
ポイント⑤ | 430.14 | 381.64 | 10 |
ポイント⑥ | 155.25 | 187.29 | 6 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | △ | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はプラスチック素材のシルバーでLenovoのロゴが控えめに配置されています。

背面にはセンタースリットの通気口が設けられています。

開いた様子です。IdeaPadはいわゆる廉価グレードにあたりますが、ベゼル幅が狭く安っぽさはありません。

IdeaPadにしては珍しく180°まで開くタイプではありません。とはいえ最大角が165°となっており一般的なクラムシェルモデルと比較するとかなり開きます。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

キーボード全体です。テンキーまで搭載しています。またキーボード上部にはスピーカーが配置されています。一部エンターキー、スペースキー、シフトキーが横と接合したタイプですが、利用ではあまり気にならないでしょう。入力のカチカチ音はほぼなく、剛性感は普通です。ストロークが浅めなので気になる人はいるかもしれません。

キーピッチは18.4mmとなりました。

タッチパッド幅を計測したところ、120mmとなりました。タッチパッドは広め、かつサラサラ感があり使いやすいです。クリック時はカチカチと音が鳴るタイプです。

本体右側にはUSB Type-A×2と4in1メディアリーダーがあります。

本体左側には電源コネクタ、HDMI、USB Type-C、ヘッドフォンジャックが備わっています。

背面には何もありません。

スピーカーはキーボード上とパームレスト裏側にあります。全体的に音が軽く、低音があまり出ていない印象を受けました。音楽を楽しむなら別途スピーカーを用意した方が良いでしょう。

本体の重量を測定したところ、1975gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、2455gとなりました。充電器単体では480gとなります。

メリット・魅力
低価格でハイパフォーマンス
IdeaPad Slim 560の最大の特徴はなんといっても低価格で高性能であること。Gen3のRyzenプロセッサのパフォーマンスは異常といっても良いほどで、向こう5年間は安心して使えるくらいの性能を持っています。
グラフィックボード非搭載モデルも魅力的
特徴でも書いた通り、本モデルはグラフィックボード非搭載モデルがあります。こちらも同じGen3のRyzenプロセッサを搭載していて、しかも低価格。ワード、エクセル、ネットサーフィンをはじめ、グラフィックボードをあまり使わないソフトウェアが中心なら、価格が安い事もあり非搭載モデルを選ぶメリットが生まれます。
縦長ディスプレイで作業効率が高い
2560×1600で縦長のディスプレイはエクセル、ワードなどの書類作業を行うときに強い味方になってくれるでしょう。16インチで大きなディスプレイを搭載しており、縦長アスペクト比をより活かせる点もメリットです。
USB-PDにも対応
USB-PDのテストでも検証した通り、PD充電にも対応しています。サイズ感が大きく、2kg近い質量があるため持ち運びを積極的に行うことはほぼないかもしれませんがいざという時のためにPD充電に対応していることは大きなメリットです。
パソコンが熱くならない
ベンチマークテスト時の温度計測の結果から、PC全体が熱くなりにくいことがわかりました。パームレスト部分に熱がほぼ来ないため負荷がかかる作業中でも快適にパソコンを扱うことができます。
デメリット・欠点
スピーカー音が心もとない
スピーカーを検証したところ、音が若干心許なく、特に低音の迫力はほぼない印象を受けました。動画鑑賞等をするのであれば、別途スピーカーを用意する方が良いでしょう。
PC全体の安っぽさがある
IdeaPad全体に言えることですが、価格の安さが筐体に現れているのも事実です。PCに高級感を求めるなら、別モデルを選ぶ方が無難です。
ゲーミングエディションだが高リフレッシュレート非対応
本モデルはゲーミングを名乗っていますが、残念ながら高リフレッシュレートには非対応となっています。グラフィックボードを搭載したモデルで165Hzリフレッシュレートモニターを搭載した同価格帯のモデルがあるため、FPSゲームなどリフレッシュレーどが重要視されるゲームをするならそちらを選択する方が良いでしょう。
おすすめなタイプ
自宅やオフィスでの据え置き作業用
据え置き機として作業するためのノートパソコンとしてはこれほどぴったりなパソコンはありません。高いパフォーマンス、縦長ディスプレイ、テンキー搭載と作業効率を向上するための要素が詰まったノートパソコンと言えます。
安さとパフォーマンスを求めるユーザー
IdeaPad Slim 560はRyzen Gen3を搭載していることで安さとパフォーマンスを両立したモデルです。マルチコア4000ptsごえ、かつシングルコア500pts超えで9万円台から手に入るのは驚異的と言わざるを得ません。
従業員用PCとして
低価格で高パフォーマンス、しかもテンキー搭載で16インチとなっており従業員用のノートパソコンとしてはこれ以上ないほどちょうど良いパソコンと言えます。
有線イーサネットコネクタがない点が従業員用PCとしては気になるポイントですが、そこのみクリアできるならベストな選択肢になりうるでしょう。もし仮に有線で接続したい場合、USB Type-Aタイプなら1000円台、USB Type-Cタイプなら2000円台で購入可能なため出費が少なくて済みます。
おすすめできないタイプ
FPSゲームユーザー
グラフィックボード搭載、非搭載にかかわらずどちらのモデルも高リフレッシュレートには非対応です。FPSゲームユーザーにはお勧めできないので、他のモデルを選ぶことをお勧めします。
10万円前後で高リフレッシュレートかつRyzenとdGPU搭載モデルの用件を満たすなら、TUF Gamingがおすすめです。
カスタマイズ・モデルの選び方
本モデルはグラフィックボード有無で選べますが、個人的におすすめはグラフィックボード無しタイプです。
理由はRyzen Gen3が搭載されていること、ディスプレイが上位モデルと同じものが採用されている点です。これで9万円台で買えるのはお値打ちといっても過言ではありません。
実機レビューのまとめ

IdeaPad Slim 560は低価格ながらパフォーマンスが高く、しかもディスプレイが大きいため作業をより効率的に進められるモデルです。
エクセル、ワードなどを使って書類作成をしたりする人にとっては、ベストに近い選択肢のパソコンでしょう。
安く買う方法・コツ
IdeaPad Slim 560 Pro Gamingに限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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