本サイトの記事は広告を含みます。
レビュー・評価の概要
ThinkPadシリーズの中でも低価格で高性能なパフォーマンスを誇るEシリーズの2021年発売モデル。AMDのRyzen5000シリーズを搭載することで、前機種同様に優れたパフォーマンスを誇ります。
14インチで小柄なサイズのため、自宅内でのパソコンを持ち運んだり、ちょっとした持ち出しにも使えるモデルです。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Ryzen7 5700U Ryzen5 5500U Ryzen3 5300U |
RAM | 8~24GB |
ストレージ | 256GB~1TB |
画面サイズ | 14インチ |
GPU | AMD Radeon Graphics |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 非対応 |
重量 | 1565g |
Cinebench R20 | 2640pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad E14 Gen3の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
持ち出しやすい14インチ
ThinkPad E14 Gen3は名前の通り、14インチサイズのノートパソコンです。ベゼル幅がこの価格帯にしては狭いため、持ち出しやすいコンパクトな筐体になっています。
低価格なのに高性能
本モデルではAMDのRyzen5000シリーズのプロセッサ(APU)が用いられています。このシリーズは当サイトで過去から評価している通り非常に高性能でランクが最も低いRyzen3モデルでも十分快適に動作する能力を持っています。
USB-PDや有線イーサネットコネクタなどが充実
ThinkPadシリーズは上位にいくほど軽く、薄くなる傾向がありますが逆にインターフェイスが減る傾向もあります。本モデルはThinkPadのモデルの中で中位に当たることもあり、インターフェイスが充実しています。特に有線イーサネットコネクタを持つ点はビジネスパーソンにとっては強みになるでしょう。
価格とコストパフォーマンス
本モデルのコストパフォーマンスは非常に高く、最低グレードのRyzen3モデルなら6万円台で買うことができます。ThinkPadはスペック以上にタイピング性能だけでも価値があるので、ノートパソコンで文字入力が多い人にとってはよりお買い得になると言えるでしょう。
スペック
今回レビューしたThinkPad E14 Gen3のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 220×324×20.9mm | |
重量 | 本体 | 1565g |
アダプタ | 285g | |
CPU | Ryzen5 5500U | |
GPU | AMD Radeon Graphics | |
メモリ(RAM) | 8GB | |
ストレージ | 1st | 256GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 14インチ |
解像度 | 1920×1080 | |
アスペクト比 | 16:9 | |
形式 | IPS液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.0 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 3セル |
公称値 | 17.7時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 2640 |
シングル | 456 | |
Cinebench R23 | マルチ | 6817 |
シングル | 1173 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 2293.84 | 964.97 |
SEQ1M Q1T1 | 1344.25 | 966.87 |
RND4K Q32T16 | 694.26 | 728.32 |
RND4K Q1T1 | 35.82 | 80.70 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | – | – |
高品質 | – | – |
軽量品質 | 1127 | 動作困難 |
PC温度測定
平常時とCinebenchR23(multi)で10分負荷をかけた後にFLIR One Proのサーマルカメラを用いて温度測定を行いました。ベンチマークテストにより負荷をかけた状態でもパームレスト側の温度が高くならない設計になっています。
通常時

CinebenchR23(10分測定後)

モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] |
---|---|
sRGB | 62.7 |
Adobe RGB | 47.0 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 490.63 | 511.94 | 8 |
ポイント② | 302.34 | 67.13 | 9 |
ポイント③ | 452.24 | 288.22 | 9 |
ポイント④ | 395.94 | 391.89 | 8 |
ポイント⑤ | 340.68 | 172.5 | 8 |
ポイント⑥ | 72.73 | 47.41 | 9 |
通信スピードテストの評価
全エリアで良好な結果が得られています。
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | △ | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はThinkPadシリーズを踏襲しており、黒にロゴが入ったデザインになっています。上位モデルとは異なり、ツルッとした外観になっています。

背面もツルッとした表面になっています。天板と同様に指紋がつきやすい点が気になります。スピーカーは背面パームレスト裏に設置されています。高音から低音まで聞きやすく、特にノートパソコンとしては珍しく低音が出ているモデルです。

開いた様子です。低価格帯モデルですがベゼル幅は普通です。カメラは物理シャッター付きです。IRカメラは付属しません。

他のThinkPadモデル同様に180°まで開くことができます。

上部ベゼルです。上側14mm、左右が6.5mとなっています。

下部ベゼルです。こちらは大きめで17mmとなっています。

キーボード全体です。ファンクションキーを除き全て独立となっています。またファンクションにはテレワーク需要に対応するため電話キーが配置されています。

ミツトヨのデジタルノギスでキーピッチを算出したところ、19.2mmとなりました。また、SHINWAのデップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.7mmとなっています。ThinkPadらしいキーボードの深さになっています。

タッチパッド幅を計測したところ、101mmとなりました。タッチパッドは滑らかですが、上位モデルと比べると若干スムーズさが劣ります。

本体右側にはケンジントンロック、フルサイズ有線イーサネットコネクタ、USB Type-Aポートが搭載されています。

本体左側にはUSB Type-C(充電兼用)、USB Type-A、フルサイズHDMI、ヘッドフォンジャックが搭載されています。

本体の重量を測定したところ、1565gとなりました。14インチノートパソコンとしては重めの部類に入ります。

充電器込みの重量を測定したところ、1850gとなりました。充電器単体では285gとなります。

メリット・魅力
安さと性能のバランスが魅力
ThinkPad E14 Gen3は6万円台で買える価格でありながら、プロセッサの能力としては2世代前のデスクトップPCと同じレベルを持ちます。性能をより重視して最上位モデルのRyzen7を選んでも価格は約10万円と激安と言って良いレベルの代物です。
タイピング性は健在
ThinkPadシリーズはブランドイメージがあるため、高級グレードだけに良さが継承されていると思われがちですが実は低価格モデルでもシリーズならではの生産性の高いタイピング性能を実感することができます。カフェなど外で仕事をする際に使い勝手が良いPCです。
低価格モデルでありながらコンパクトなサイズ感
メーカーを問わず10万円以下のノートパソコンでは筐体にお金をかけないため、本体が大きくなる傾向があります。しかしながら、本モデルはそういった制約の中でもベゼル幅を抑え持ち運びしやすいサイズ感に仕上げています。
USB-PD対応
ThinkPad E14 Gen3はUSB-PDに対応しており、標準で付属する電源アダプタ自体もUSB Type-Cとなっています。AndroidスマホやiPadなどType-Cユーザーにメリットが大きくなります。
低音が出る
ノートパソコンのスピーカーは性能が低いものが多い中、低音が割としっかりと出るパソコンです。過度な期待は禁物ですが、一般的なノートよりも音質は良く、ちょっとした動画鑑賞に向いています。
デメリット・欠点
14インチクラスとしては重め
ThinkPad E14 Gen3の最大の弱点は同クラスで見た時に重めの設計になっていることです。1.6kg程度あり、15インチクラスに迫る勢いとなっています。
生体認証がない
本モデルでは指紋認証、顔認証がありません。パスワードの入力が面倒な人は上位モデルの検討が必要になります。
タッチパッドは上位モデルに劣る
あくまで主観的な内容になりますが、ThinkPad E14 Gen3のタッチパッドは上位モデルに劣るサラサラ感になっています。
マウスを使わないのであれば、店頭で触れてみて上位モデルと比較してみると良いでしょう(ただし、E14そのものが悪いわけではありません。平均レベルから考えれば十分なほど使い勝手は良いです)。
おすすめなタイプ
自宅用でタイピングが多い人
ThinkPad E14 Gen3の魅力はなんと言っても、タイピング性の良さと安さにあります。自宅でライトに使いつつ家計簿などの入力で使う人にとっておすすめです。特にエクセルを使う人には多コアのAMD搭載した本モデルはマッチします。
宅内でパソコンの固定位置がない人
本モデルは14インチサイズでコンパクトなサイズ感のため、宅内で持ち運びする際に便利です。
従業員向け
個人的に最もおすすめなのが法人で従業員向けのパソコンを用意する場合です。ThinkPadのブランドがありつつも低価格、しかもプロセッサの性能がよく14インチで取り回しが良いバランス感は他メーカーも含めほとんど見当たりません。さらにタイピング性能が高く、資料作成の多いビジネスパーソンにとってもメリットが大きいと言えるでしょう。
おすすめできないタイプ
頻繁に持ち運びをする人
ThinkPad E14 Gen3はバランスの取れた低価格パソコンですが、14インチとしては重い欠点を持ちます。頻繁に持ち運びをするならお金を出してでもThinkPadの上位モデル(X13やX1 Carbon)を選択することをおすすめします。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad E14 Gen3のカスタマイズ幅はあまりありませんが、もし可能ならメモリを16GBにしておくと良いでしょう。また液晶はIPSとVAから選べますが、視野角が広く綺麗に映りやすいIPS液晶モデルを選択することをおすすめします。
実機レビューのまとめ

ThinkPad E14 Gen3はEシリーズの3代目で基本的な部分を抑えつつ、プロセッサの性能アップにより魅力を熟成させています。
生産性の高いキーボードが魅力のため、低価格帯で探しつつ書類作成に使いたい人にはぴったりの一台と言えるでしょう。
安く買う方法・コツ
ThinkPad E14 Gen3に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
関連記事・公式リンク一覧
以下の関連記事もぜひご覧ください。