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レビュー・評価の概要
価格が安いにもかかわらず、AMD Ryzenプロセッサを搭載することで高いパフォーマンスを誇るThinkPad E15 Gen3。ThinkPadブランドならではのタイピング性能も魅力。
格安モデルなので15インチとして重めであることや色域が狭い弱点はあるものの、オフィスソフトやネットサーフィンメインなら十分以上に使える一台です。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Ryzen7 5700U Ryzen5 5500U Ryzen3 5300U |
RAM | 8~24GB |
ストレージ | 256GB~1TB |
画面サイズ | 15.6インチ |
GPU | AMD Radeon Graphics |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 非対応 |
重量 | 1790g |
Cinebench R20 | 2552pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad E15 Gen3の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
15インチの格安ThinkPad
ThinkPadのモデルの中でも格安に位置するEシリーズの15インチ版です(同モデルは14インチ版も存在)。5~10万円で低価格で手に入りつつ、実用的なThinkPadとして人気があるモデルです。
Ryzen5000シリーズを搭載
格安ながら実用性に優れている点にRyzen5000シリーズを搭載していることが挙げられます。ベンチマーク結果で後述しますが、プロセッサのパフォーマンスが高く2,3年前の5~10万円台のノートパソコンとは思えないほどの実力があります。
テンキー搭載で事務用途にも
ThinkPadのモデルで15インチモデルは他にExtremeがありますが、こちらはテンキーレス。ThinkPad E15 Gen3ではテンキー搭載しているためエクセル等の入力が多い人にも向きます。ThinkPadならではの打ち心地も健在です。
価格とコストパフォーマンス
ThinkPad E15 Gen3に関わらず、Eシリーズはプロセッサ、タイピング性の良さから考えてコストパフォーマンスが高いモデルです。5~10万円クラスのパソコンを検討している場合は第一候補に入れても良いパソコンと言えるでしょう。
スペック
今回レビューしたThinkPad E15 Gen3のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2022年 | |
サイズ | ThinkPad E15 Gen3 | |
重量 | 本体 | 8g |
アダプタ | 256g | |
CPU | ||
GPU | ||
メモリ(RAM) | GB | |
ストレージ | 1st | GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | インチ |
解像度 | 1920×1080 | |
アスペクト比 | : | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 1080p |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.3 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | Whr |
公称値 | 時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 2552 |
シングル | 447 | |
Cinebench R23 | マルチ | 6574 |
シングル | 1187 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 2286.55 | 990.50 |
SEQ1M Q1T1 | 1492.86 | 990.56 |
RND4K Q32T16 | 679.30 | 667.72 |
RND4K Q1T1 | 41.99 | 132.25 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | – | – |
高品質 | – | – |
軽量品質 | 1119 | 動作困難 |
PC温度測定
平常時とCinebenchR23(multi)で10分負荷をかけた後にFLIR One Proのサーマルカメラを用いて温度測定を行いました。15インチで大柄なボディですが排熱は籠る印象です。特にキーボード上部が高温になるので注意して下さい。
通常時

CinebenchR23(10分測定後)

モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] |
---|---|
sRGB | 66.2 |
Adobe RGB | 49.6 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 487.06 | 509.8 | 7 |
ポイント② | 241.02 | 258.91 | 8 |
ポイント③ | 495.27 | 507.42 | 7 |
ポイント④ | 467.05 | 463.7 | 7 |
ポイント⑤ | 441.72 | 442.57 | 7 |
ポイント⑥ | 87.58 | 145.22 | 6 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | △ | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板は今までのThinkPadシリーズ同様にロゴとLenovoの刻印があるブラックタイプです。

背面はスリット多めですが、シンプルなデザインになっています。また、スピーカーはパームレスト裏に配置されています。

開いた様子です。ベゼル幅は少し広く感じますがThinkPadでは一般的なサイズ感です。フロントカメラは物理シャッター付で上位モデルを選択すればIRカメラ搭載モデル(Windows Hello対応)もあります。

最大角は180°でフルに開くことができます。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

キーボード全体を撮影した様子です。テンキー搭載でクセの少ないキーボード配置になっています。またファンクションキーには受話、終話ボタンが割り当てられています。

ミツトヨのデジタルノギスでキーピッチを算出したところ、18.69mmとなりました。

タッチパッド幅を計測したところ、100mmとなりました。15インチノートパソコンとしてはタッチパッド幅は狭めです。

本体右側にはケンジントンロック、有線イーサネットコネクタ、USB Type-Aが搭載されています。

本体左側にはUSB Type-C(PD対応)、USB Type-A、フルサイズHDMI、ヘッドフォンジャックが備えられています。

本体の重量を測定したところ、1790gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、2085gとなりました。充電器単体では295gとなります。

メリット・魅力
信じられないほど安い
ThinkPad E15シリーズは第一世代からコンセプトが変わっていませんが、安くてパフォーマンスが高いパソコンになっていることが特徴で、Gen3でもその流れを踏襲する形になっています(一部ではキーボード付きパソコンと言われるほど)。プロセッサだけでなく、ブランド性やタイピング性まで考慮するとこれを選ばない選択肢がないほどです。
安いが性能は十分
ThinkPad E15シリーズは過去からintelモデルとAMDモデルがありますが、AMDモデルの性能が特に抜きん出ています。安いパソコンですが、向こう5年は十分使えるパフォーマンスを持っている点が嬉しい一台です。
廉価モデルだがタッチパッド性能が良い
ThinkPadは上位モデルと買いモデルでタッチパッドの触感が異なります。上位モデルの方が滑らかで、下位モデルにはこれまで違和感を強く感じていましたが、今回レビューしたThinkPad E15 Gen3はその違和感が抑えられていました。
タイピング性能は健在
ThinkPadらしい深くて、打ち心地のあるタイピング性能は健在です。テンキーも搭載しているため、キータイピングが多い人にはメリットが大きいでしょう。
インターフェイスが豊富で据え置きに向く
シリーズの上位モデルと下位モデルを比較した時、ThinkPadは下位モデルの方がインターフェイスが充実化する傾向にあります。E15もその一つで、有線イーサネットコネクタがあったりと家庭・事務所などの据え置きで使う環境でより活躍します。
デメリット・欠点
最新規格に対応させる場合コストアップ
ThinkPad E15 Gen3は安いモデルですがWi-Fi6に対応させたり、ディスプレイをTNからIPSに変更する場合カスタマイズ対応となりコストアップします。
例えば、Wi-Fi6は無くても特に困ることはありませんが、最新規格に対応させたいならカスタマイズ後の価格と他モデルで標準搭載しているものと比較する必要があります。
タッチパッドが左寄りでクセがある
筆者が最もデメリットに感じた点はタッチパッドの位置。写真を見ていただくとわかるようにかなり左に寄っています。筆者は右手メインでタッチパッドを触るのでセンターからズレると使いづらくなります。
音質は期待できない
廉価モデルだけあってスピーカー音質は高くないので注意して下さい。
おすすめなタイプ
家庭用として据え置きで使う人
ThinkPad E15 Gen3は家庭用として据え置きで使うパソコンをできるだけ安く手に入れたい人にぴったりです。特に家計簿をつける際にテンキーを入力に利用は非常に便利でしょう。
従業員向けのノートパソコン
有線イーサネットコネクタを備え、かつタイピングしやすい筐体のため事務所で利用するノートパソコンとして使い勝手が良い点も魅力です。安くてもパフォーマンスが高く、ThinkPadブランドを備えつつ従業員用とできるメリットは大きいと考えます。
おすすめできないタイプ
クリエイティブ作業をする人
格安ノートパソコンということもあり、ディスプレイの色域は狭いです。クリエイティブ作業をする人にとっては本来の色を確認できないため、向きません。
持ち運びが多い人
15インチノートパソコンの中でも重めの部類に入るため、持ち運びには向きません。同じEシリーズであれば14インチのAMDモデルを候補に入れることをおすすめします。
カスタマイズ・モデルの選び方
デメリットの部分でも書きましたが、最新規格に対応させることを前提に進めるとコストアップする欠点があります。
E15シリーズは標準モデルでも十分使えるので、本当にコストをかけてまで必要かどうかをよく考慮して購入するようにしてください。
実機レビューのまとめ

安くて実用性の高いノートパソコンの代名詞になりつつある「ThinkPad Eシリーズ」。
安いなりのデメリットはありますが、それをカバーできるだけの数多くのメリットを持つので、安さと実用性を両立させたい人にぜひ候補に入れて欲しいノートパソコンです。
安く買う方法・コツ
ThinkPadのEシリーズは過去から割引対象になりやすいモデルです。購入前にセールページは必ずチェックするようにして下さい。
ThinkPad E15 Gen3に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめているので、ぜひご覧ください。
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