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レビュー・評価の概要
ThinkPad X1 Carbon Gen9はこれまでのモデルと同様に作業効率の高い14インチノートパソコンです。大きめの画面にも関わらず軽量で持ち運びがしやすく、優れたキータイピング性かつ豊富なインターフェイスを持つ一台。
さらに2021年モデルになって、集音マイクが4つへ強化されたことによってテレワークにも強みを持つPCとなっています。
外出が多いビジネスパーソンはもちろんのこと、ノートパソコン中心でタイピング作業が多い人には強い味方になってくれる一台と言えるでしょう。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Core i5-1135G7 Core i7-1165G7 |
RAM | 8~32GB |
ストレージ | 256GB~2TB |
画面サイズ | 14インチ |
GPU | Iris Xe Graphics |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 対応モデル有 |
重量 | 1145g |
Cinebench R20 | 1769pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
過去モデルを踏襲した正当進化モデル
ThinkPad X1 Carbon Gen9は名前の通り、第9代目となるモデルです。本モデルもこれまで同様に基本コンセプトを変えずにプロセッサの進化を中心に正当進化したモデルとなっています。
14インチで1kg台
ThinkPad X1 Carbonの最大の特徴はカーボンの名前の通り、14インチで1.13kgと非常に軽量なことにあります。また次でも書いていますが、このモデルは生産性を欠くことなく軽量化を実現している点が特徴。外出先でのPC作業の強い味方になってくれます。
生産性の高いキーボード
どのもメーカーでも軽量モデルは剛性が低かったり、キーストロークが薄かったりしますがThinkPad X1 Carbonではしっかりとした打鍵感を持つ素晴らしいキーボードになっています。タイピングが多い仕事をするなら非常に魅力的となるでしょう。
LTE・5G通信にも対応
過去モデルからLTEには対応していましたが、2021年モデルで5Gにも対応しました。外出先でストレスフリーにインターネット接続が可能になります。
集音マイクが変更に
目立ちませんが、大きな仕様変更として集音マイクがディスプレイトップの4つ配置される設計に変更されています。オンライン会議中に自分だけでなく、他の人の声を聞き取りやすくなるようなアップデートとなっています。
ヒンジとファンが変更に
Gen9モデルからヒンジ部分がより高めに、さらにファンが強化されており背面から見えるようになっています。
価格とコストパフォーマンス
ThinkPad X1 Carbon Geb9の価格設定は2021年6月26日時点ではプロセッサの視点から考えると高めとなっています。似たコンセプトで同メーカーから、Yoga Slim 750i Carbonという機種が出ていますが、こちらも同様に1kg台でありながら、価格はさらに控えめ。
ただし、ThinkPad X1 Carbonにはキーボード、及びLTE・5G通信の点でメリットがあるのでそこをどう捉えるかどうかと言えるでしょう。また、例年長期間販売されるため場合によっては型落ちの前モデルも検討しておくと良いでしょう。
スペック
今回レビューしたThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 221.6×314.5×14.9mm | |
重量 | 本体 | 1145g |
アダプタ | 300g | |
CPU | Core i7-1185G7 | |
GPU | Iris Xe Graphics | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
ストレージ | 1st | 256GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 14インチ |
解像度 | 1920×1080 | |
アスペクト比 | 16:9 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 26時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 1769 |
シングル | 416 | |
Cinebench R23 | マルチ | 3654 |
シングル | 1103 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 3438.85 | 2314.70 |
SEQ1M Q1T1 | 1681.89 | 1697.89 |
RND4K Q32T16 | 918.18 | 481.24 |
RND4K Q1T1 | 70.70 | 165.60 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | – | – |
高品質 | – | – |
軽量品質 |
モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] |
---|---|
sRGB | 100 |
Adobe RGB | 83.6 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 652.39 | 436.7 | 8 |
ポイント② | 385.78 | 288.27 | 7 |
ポイント③ | 644.49 | 393.44 | 7 |
ポイント④ | 480.19 | 384.47 | 8 |
ポイント⑤ | 261.08 | 291.6 | 8 |
ポイント⑥ | 192.81 | 105.43 | 8 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板は今までのThinkPad X1 carbonを踏襲したモデルになっており、ThinkPad X1のロゴ、そしてLenovoのプレートが埋め込まれています。

背面はセンターに小さな通気口が空いたタイプになっており、ファンが見えます。背面のゴム足は高めに設計されており、背面と設置面の空間が開くようになっています。

前モデルよりもゴム脚が高いものに変更されています。

開いた様子です。ベゼル幅は広い訳ではありませんが、ThinkPad X1 Carbonは大きくモデルチェンジしていないため、古さを少し感じます。フロントカメラは本体上部に設置されており、物理シャッターを備えています。

ディスプレイは180°まで開くことが可能です。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

キーボード全体です。キーボードが刷新されておりキーの形状が変わっています。ThinkPad X1 Nanoと同じものが使われているようです。また電源ボタンは指紋認証と兼用されておりパームレストがスッキリする形となりました(以下は指紋認証シールを剥がしていません)。

キーピッチは18.64mmとなりました。また、デップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.5mmとなっています。

タッチパッド幅を計測したところ、110mmとなりました。

本体右側にはケンジントンロック、USB-A、ヘッドフォンジャックがあります。

本体左側はUSB-Cが2つとUSB-A、そしてフルサイズHDMIがあります。

スピーカーは背面に2基、そしてキーボード側に2基搭載されています。

本体の重量を測定したところ、1145gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、1445gとなりました。充電器単体では300gとなります。

メリット・魅力
プロセッサパワーがアップ
ThinkPad X1 Carbon Gen9では例年通りプロセッサが更新され、第11世代となりました。Cinebench R20のスコアは第10世代のintel Core i7プロセッサと大きく変わっていませんが、グラフィックス性能が向上しています。
スピーカー音質が良い
本モデルでは底面スピーカー、及びキーボード上スピーカーを備えており、ノートパソコンとしては比較的良好な音質となっています。仕事用だけでなく、たまにYouTubeを見たりする場合にも適しています。
サラサラのタッチパッドで入力性が高い
あまり知られていないことですが、ThinkPadシリーズは上位モデルと下位モデルでタッチパッドの入力性が異なります。上位モデルの方がサラサラとした質感になっており、淀みなくスムーズに入力できるメリットがあります。
入力インターフェイスが多い
ThinkPad X1シリーズの上位モデルにはThinkPad X1 Nanoがありますが、それと比較してインターフェイスが多めになっており、どんな環境でも対応しやすいPCと言えるでしょう。
色域が広め
ベンチマーク結果でも書いているようにsRGBカバー率100%でAdobe RGBカバー率も高めです。本格的なクリエイターパソコンには敵いませんが、色域が広いことは間違いなくメリットです。
デメリット・欠点
キーボードが変更されたため好みが分かれるかも
ThinkPad X1 Carbonは正当進化モデルのためほとんど変わりませんが、Gen9で大きく変わったのがキーボードです。ThinkPad X1 Nanoと同じものが使われているようですが、キーストロークはあるもののキー表面がフラットな形状に変更されています。これまでThinkPad X1 Carbonユーザーだった人は違和感を感じると思います。一方、これから使う人はあまり気にしなくても良いでしょう。
マルチタッチモデルは充電器容量がアップするので注意
ThinkPad X1 Carbon Gen9では非光沢ディスプレイのモデルとタッチパネルに対応したモデルの2種類が存在します。通常モデルは45W、マルチタッチモデルでは65Wとなります。弱点という訳ではありませんが、より持ち物を減らしたい場合は通常モデルを選択する方が良いでしょう。
おすすめなタイプ
ThinkPad X1 Carbonの買い替えに
本モデルはGen9の名前の通り、数多く出ています。そのため、過去モデルから買い替えを検討している人もいるでしょう。今回キーボードが変わった点はあるもののその他においては正当進化モデルであり、買い替えの候補としてあげておくと良いでしょう。
外出先での入力作業が多い人
ThinkPad X1 Carbonのキーボード入力性はピカイチです。そのため、外出先で書類作成、メールを見たりするような作業が多い人にはうってつけと言えるでしょう。
おすすめできないタイプ
軽量性と価格を重視したい人
ThinkPad X1 Carbon Gen9は同メーカーの中でも最上位クラスに位置するノートパソコンのため、強気設定の価格です。一方、軽量モデルという意味合いなら、Yoga Slim 750i Carbonがより低価格で購入できます。
また、集音マイクや最新プロセッサに拘らないなら前モデルを検討しておくことで、より低価格での購入ができるでしょう(時期によって、前モデルとの価格が逆転することもあるので価格差は必ず比較してください)。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad X1 Carbon Gen9はCPUプロセッサの種類で値段が変わります。Core i5モデル、およびCore i7モデルがあるので自分の用途に合わせてスペックを選びましょう。
基本的に書類作成・ネットサーフィンが中心ならCore i5モデルでも十分です。また注意しておきたいポイントがマルチタッチを選ぶかどうか。これによって充電器のW数が変わり、持ち運びサイズが変わります。持ち出し環境でLTE・5G接続が必要な場合はWWANをオプションで選択するようにしておきましょう(標準ではありません)。
実機レビューのまとめ

ThinkPad X1 Carbonシリーズは筆者も愛用していますが、作りがよく、特にキータイピングが多い人にとって価値のある素晴らしいモデルです。
軽量モデルは多数あっても、打ち心地の優れるパソコンは他はなく、買って後悔しないパソコンの一つと言えるでしょう。
安く買う方法・コツ
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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