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レビュー・評価の概要
VAIOの中でフラッグシップに位置するフルカーボン軽量モデル。また軽いだけでなく、デスクトップにも用いられるntel Core Hシリーズプロセッサを搭載したハイパフォーマンスなノートパソコンです。
外でネット回線を多用する人向けに5G通信可能なセルラーモジュールをオプションで選択することも可能になっています。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Core i7-11390H Core i5-11300H |
RAM | 16~32GB |
ストレージ | 256GB~2TB |
画面サイズ | 14インチ |
GPU | Iris Xe Graphics |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 対応モデル有 |
重量 | 965g |
Cinebench R20 | 2503pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではVAIO Zの一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
Hシリーズを選べる軽量パフォーマンスモバイル
VAIO Zはフルカーボン素材を使うことでこれまでのSXシリーズと同じく軽量性を重視したモデルになっていることに加え、14インチとしては珍しいHシリーズプロセッサを搭載しています。ベンチマーク結果でも後述しますが、Core i5モデルでもCinebench R20でマルチ2500pts、シングル500ptsを超えておりノートパソコンとしては十分以上のパフォーマンスとなっています。

5Gモバイル通信でどこでも繋がる
今回レビューしたモデルはセルラーモデルではありませんが、VAIOストア、もしくはソニーストアではセルラーモデルのカスタマイズが可能になっています。5Gにも対応しており、通信環境さえ整えば自宅でWi-Fiに繋がっているのとほぼ同じ感覚で利用することができます。
4Kディスプレイも選択可
VAIO Zは4KもしくはフルHDディスプレイモデルから選択可能です。バッテリーの持続時間が大きく変わるため、筆者としてはフルHDモデルがおすすめですが、利用用途によってはより精細な画面で作業したい人もいると思うので、選択肢があること自体が嬉しいポイントと言えます。
電源ボタン一体型指紋認証、Windows Helloを搭載
生体認証は電源ボタン兼用の指紋認証とフロントカメラを利用したWindows Helloの二種類を搭載しています。
バッテリー駆動時間最大34時間
デスクトップパソコンにも使われるHシリーズを搭載しながら、バッテリー駆動時間は脅威の34時間(フルHDディスプレイの公称値)となっています。
価格とコストパフォーマンス
VAIO Zは最低価格が20万円台からと非常に高い価格設定になっています。VAIOの中でも最上級クラスになるので、しょうがない部分もありますがスペックの観点から見ると高いと言わざるを得ません。
ただし、Hシリーズを搭載しつつ、1kgを切るモデルは他にないことから価格以上の魅力を感じる人も多いだろうと感じます。
スペック
今回レビューしたVAIO Zのスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 220.8×320.4×12.2~16.9mm | |
重量 | 本体 | 965g |
アダプタ | 160g | |
CPU | Core i5-11300H | |
GPU | Iris Xe グラフィックス | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
ストレージ | 1st | 1TB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | インチ |
解像度 | 1920×1080 | |
アスペクト比 | 16:9 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 207万画素 |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.1 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 公式記載なし |
公称値 | 34時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 2503 |
シングル | 543 | |
Cinebench R23 | マルチ | 6501 |
シングル | 1380 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 6213.68 | 2649.51 |
SEQ1M Q1T1 | 2902.46 | 2640.95 |
RND4K Q32T16 | 2250.79 | 807.37 |
RND4K Q1T1 | 74.67 | 157.72 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | – | – |
高品質 | – | – |
軽量品質 | 2766 | やや重い |
モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] |
---|---|
sRGB | 99.7 |
Adobe RGB | 77.0 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 545.93 | 313.92 | 7 |
ポイント② | 510.38 | 347.29 | 8 |
ポイント③ | 486.95 | 370.13 | 7 |
ポイント④ | 438 | 282.64 | 8 |
ポイント⑤ | 391.87 | 50.28 | 9 |
ポイント⑥ | 260.96 | 160.72 | 7 |
通信スピードテストの評価
Wi-Fi6に対応していることもあり、500Mbpsを超える十分な通信速度が出ています。また、長距離でも安定した速度が出ています。
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | 〇 | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はVAIOの文字が控えめに刻印されています。また、ヒンジ部分にパーツがあしらわれている点もVAIO Zの特徴と言えます。

背面はすっきりとしたデザインで排熱用の通気口はありません(代わりに横側に用意されています)。今回はSIMフリーモデルではありませんが、モバイル通信可能なモデルの場合、ヒンジ部分にSIMスロットが搭載されます。

開いた様子です。上部ベゼルは少し大きめのデザインで非光沢ディスプレイとなっています。今回はフルHDのディスプレイを評価していますが、色合いとしては普通です。

フロントカメラには物理シャッターが付いています。

最大開き角は180°となっています。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

キーボード全体です。全て独立しており、クセのないキーボード配置となっています。電源ボタンは右上に配置されており、指紋認証を兼ねています。

ミツトヨのデジタルノギスでキーピッチを算出したところ、19.15mmとなりました。また、SHINWAのデップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.5mmとなっています。キーは剛性感があり、非常に打ちやすいです(VAIOの他モデルと比べてもダントツの打ちやすさです)。

タッチパッド幅を計測したところ、110mmとなりました。タッチパッドは他のVAIOと比べると広めの設計になっており、かつサラサラとしており非常に扱いやすい印象です。

本体右側はUSB Type-CとフルサイズHDMIコネクタの構成となっています。

本体左側はUSB Type-Cとヘッドフォンジャックの構成になっています。

本体の重量を測定したところ、965gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、1125gとなりました。充電器単体では160gとなります。

メリット・魅力
軽量ノートとしてはトップクラスの性能
1kgを切る軽量ノートパソコンでHシリーズのプロセッサを搭載している時点で、唯一無二であり、非常に珍しいハイパフォーマンスパソコンです。人によってはこれだけで大きな魅力を感じる人もいるでしょう。
剛性のあるキーで打ちやすい
他のVAIOシリーズと異なり、本モデルではプラスチックのキーボードが採用されています(他モデルはゴム質が多い)。そのため、打鍵に剛性感がありうちやすい印象を受けました。
タッチパッドの広さと感触が良い
他のVAIOモデルと比較して、特に良いと感じた点が「タッチパッド」。同じ14インチのSXと比較してタッチパッド幅がかなり広く、またサラサラとした触感で非常に使いやすい印象を受けました。
英字や隠し刻印キーも選べる
VAIO Zにはカスタマイズでキーボードの種類をいくつか選ぶことができます。日本語配列だけでなく、英字配列や隠し刻印も選べるのでよりスタイリッシュさを求める人にはピッタリでしょう。
デメリット・欠点
価格は高め
VAIOの最上級モデルということもあり、価格は強気設定です。Core i5モデルでも20万を超えますし、5G対応にすればさらにコストがかかるため欲しい人のみが選ぶモデルと言えそうです。
VAIOにしてはインターフェイスが少ない
VAIOはどのモデルもインターフェイスが多いことが強みでしたが、VAIO Zは通気口がサイドに来ているため、インターフェイスがUSB Type-Cに偏っています(純正ハブもありますが、約1万円のオプション)。フルサイズHDMIでの出力以外を使うことが多いのであれば、ハブを持ち運ぶ必要性が出てきます。
おすすめなタイプ
モバイル通信と性能を両立したい人
VAIO Zの強みはなんといってもHシリーズのプロセッサの強さと5Gのモバイル通信ができる飛び道具的な魅力です。フルHDモデルを選択すればバッテリー駆動時間も(公称値上は)長いため、モバイルに適しています。
軽量性と性能を両立したい人
上記と重複するところもありますが、1kgを切るハイパフォーマンスモデルとしては珍しい存在です。Ryzen5000シリーズを搭載して1kgを切るモデルは存在しますが、intelプロセッサ搭載で考えると他に選択肢がありません。
おすすめできないタイプ
グラフィックス性能を求める人(ゲームをする人)
VAIO Zはプロセッサの性能は良いですが、ゲームベンチマークでスコアが出ていないようにグラフィックスの性能はイマイチです。
ゲーミングPCにも使われるプロセッサとのアピールポイントではあるものの、実際に使うならdGPUが搭載されているモデルを選ぶ方がコスト的にも満足度的にも良くなるでしょう。
カスタマイズ・モデルの選び方
VAIO Zはカスタマイズで細かく自分好みにスペックを変更できます。筆者の考えとしては、5Gを付けるかどうかとストレージ容量を好みで選び、それ以外は標準スペックで良いと考えます。
気になる点はディスプレイを4KにするかフルHDにするかですが、バッテリーの持続時間を考えるとフルHD一択です(電力的な問題だけでなく、プロセッサの負荷も少なくなります)。
実機レビューのまとめ

価格は高いですが、それに相応しいパフォーマンスとモバイル性を兼ね備えた唯一無二のノートパソコンです。実用性に加え、デザイン性も非常に高く、所有欲を満たしてくれる一台となっています。
安く買う方法・コツ
VAIO Zに限らず、VAIO(バイオ)のパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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