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レビュー・評価の概要
ThinkPad X1 Foldはこれまでにない革新的な折り畳み型ノートパソコンです。半分に折り畳んだままも使えますし、完全に開いた状態で13インチノートパソコンとして利用することも可能。
またSnapdragonのチップセットを載せて5G通信にも対応しています。世界初のギミックを搭載していることもあり、価格は約30万円と超高額なモデルになっているアーリーアダプター向けのノートパソコンとなっています。
発売年度 | 2020年 |
プロセッサ | Core i5-L16G7 |
RAM | 8GB |
ストレージ | 512GB~1TB |
画面サイズ | 13.3インチ |
GPU | 内臓グラフィックス |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 対応モデル有 |
重量 | 1155g |
Cinebench R20 | 514pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad X1 Fold(2020年モデル)の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
革新的な折りたたみ機構
ThinkPad X1 Foldではこれまでになかったパソコンでの画面折り畳みを実現したモデルになっています。13インチのディスプレイを折りたたみできるのはまさに圧巻。

折り畳めてコンパクトになるという実用面だけでなく、オタク心をくすぐるロマンモデルになっています。
キーボードとディスプレイを別体にできる
ThinkPad X1 Foldはおりたたみできるという特徴だけでなく、ノートパソコンというカテゴリながらPCとキーボードを別体にできるというメリットを持っています。なお、PC自身にキックスタンドがあるため、PCスタンドは必要ありません。

これによりノートパソコンのように限られた距離感ではなく、自分に合った距離感でワークスペースを確保することが可能になります。
厚みはあるがコンパクト
折り畳み機構があるため当然ディスプレイ分の厚みが出る格好にはなりますが、縦横で見るとかなりコンパクトな寸法。PCバッグの持ち運び概念が変わりそうなサイズ感になっています。
5G対応
ThinkPad X1 Foldではintelプロセッサを採用しながら、5Gにも対応した珍しいモデルになっています。
前モデルとの違い
ThinkPad X1 Foldはこのモデルが初めてで前モデルはありません。
価格とコストパフォーマンス
コストパフォーマンスで計るべき機種ではありませんが、性能と値段から考えるとかなり割高です。プロセッサの性能ではなく、折りたたみできるという付加価値に対して値段を払うべきモデルと言えるでしょう。また、5G対応モデルを選択するとさらに価格アップするので注意して下さい。
スペック
今回レビューしたThinkPad X1 Fold(2020年モデル)のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2020年 | |
サイズ | 158.2×236×27.8mm | |
重量 | 本体 | 1155g |
アダプタ | 付属無し | |
CPU | Core i5-L16G7 | |
GPU | 内蔵グラフィックス | |
メモリ(RAM) | 8GB | |
ストレージ | 1st | 1TB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 13.3インチ |
解像度 | 2048×1536 | |
アスペクト比 | : | |
形式 | OLED | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 500万画素 |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 11.7時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 514 |
シングル | 174 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 1774.90 | 1123.46 |
SEQ1M Q1T1 | 1003.49 | 701.96 |
RND4K Q32T16 | 359.92 | 158.90 |
RND4K Q1T1 | 30.47 | 55.11 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 555.01 | 180.39 | 10 |
ポイント② | 544.15 | 412.66 | 8 |
ポイント③ | 626.36 | 417.62 | 7 |
ポイント④ | 517.65 | 291.22 | 10 |
ポイント⑤ | 414.15 | 277.21 | 8 |
ポイント⑥ | 189.56 | 146.36 | 8 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | 〇 | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板は革仕様になっています。またキックスタンドがついており、本体とキーボードを分離して使う場合に便利な仕様になっています。

キーボードを置いた状態での開いた様子です。小型PCでかなりコンパクトです。またキーボードを外してキックスタンドで立てた状態です。こちらだとディスプレイをフルに生かすことができます。

上部ベゼルです。かなり大きめです。

下部ベゼルも上部ベゼル同様にかなり大きめです。

フロントカメラを搭載していますが、コンパクトPC時は左側となり、かなり特殊な位置となります。ディスプレイを立てるとセンター位置になります。

キーボード全体はこちらです。コンパクトPCとしては珍しいクセのないキーボードになっています。ただし、小型化していることもあってか、ThinkPadらしい打ち心地は失われています。

ミツトヨのデジタルノギスで2点間のキーを測定し割り返してキーピッチを算出したところ、16.7mmとなりました。また、SINWAのデップスゲージでキーストローを測定したところ、0.8mmとなっています。

タッチパッド幅を計測したところ、65mmとなりました。

トップは通気口、及び、USB-C端子を備えています。

側面はスピーカーになっています。逆側も同様でステレオ式になっています。

下部には電源ボタン及び音量ボタンが備わっています。

本体右側を撮影した様子です。

本体左側を撮影した様子です。

キックスタンドを使って立てた様子です。

本体の重量を測定したところ、1155gとなりました。

タブレット単体では965gとなっています。

メリット・魅力
折り目が全く見えない素晴らしいディスプレイ
ThinkPad X1 Foldを初めて見ると明らかに感じる魅力が折りたたみとは思えないディスプレイの出来。当サイトでは過去スマートフォンのGlaxy Foldをレビューしていますが、これらは同じOLEDディスプレイを搭載しながら折り目がほんのりと見えるくらいでした。ところが、このThinkPad X1 Foldではディスプレイはさらに大きいこと、またコンパクトPCとして使う場合に折り目がついた状態で使うことを考えると、折り目が全く見えないことにメーカーの技術力を感じました。

コンパクトPCとしての魅力
ThinkPad X1 Foldは折りたたみPCに注目が集まりがちですが、筆者としてはコンパクトPCに魅力を感じました。本体サイズが小さいPCは使い所が限られてしまいますが、普段はコンパクトPCでありながら広げると大型PCになるという考え方の方が使いやすいのではないかと思います。
SIMフリーで5G対応した事による機動性アップ
本検証ではテストしていませんが、本モデルは5G通信にも対応しています。ahamoをはじめ各社の通信サービスが5GのSIMのみで提供を始めていることからも5Gでの使いやすさが広がりつつあり、導入ハードルが下がっています。
大画面でスタイラスペンが使える
ThinkPad X1 Foldには購入時にスタイラスペンが付属します。ThinkPadシリーズでスタイラスペンが使えて、フラット入力がしやすいモデルはThinkPad X1 detacable、Yogaシリーズがありますが、このX1 Foldは13インチとなっているためシリーズで2番目の大きさになります。
デメリット・欠点
プロセッサの性能は低い
ThinkPad X1 FoldにはCore i5の特殊なモデルが搭載されていますが、このプロセッサの性能はかなり低めです。値段なりのパフォーマンスを求めている人にはおすすめできません。
コンパクトだが軽い訳ではない
本モデルはサイズ的にかなりコンパクトですが、機能(ギミック)が詰まっていることもあってか、決して軽い訳ではありません。持ち運び前提にするのであれば、パフォーマンス、軽さともに兼ね備えたモデル(例えばThinkPad X1 Nano)などがあるのでそちらを選ぶ方が無難です。
価格が最大のボトルネック
ThinkPad X1 Foldの大きな弱点はやはり価格。約30万円という価格は購入するのに大きなネックになります。ただ、メーカーもたくさん売れる機種と捉えてはいないと思いますし、チャレンジングなコンセプトモデルに近い形だからこそ、次モデルでコストダウンしたりしたモデルを期待したいところです。
キーボードの質感はThinkPadではない
ThinkPadといえば、深く打ちやすいキーボードが魅力のシリーズですが、ThinkPad X1 Foldのキーボードは構造が優先されていることもあってか打ちづらい印象でした。またmicroUSB充電式となっています。

自動充電ではないため、別途充電しないといけませんが本体はUSB-Cでキーボードはmicro-USBなので使いづらさがあります。
スピーカーは籠った音がする
ThinkPad X1 Foldのスピーカー音は残念なほどクオリティが低く、こもった音がします。さらにコンパクト時にはステレオになるので問題ありませんが広げた際には地面側にスピーカーが来るため、口が塞がれてしまいより籠った音でモノラルのような音になってしまう弱点があります。
おすすめなタイプ
新しい物好きの人
上で書いた通り、ThinkPad X1 Foldは市場には出てきていますがほぼコンセプトモデル的な扱いで値段は約30万円とかなり高価です。またそれに見合ったプロセッサの性能もないため、一般用途のパソコン目線で買うことはおすすめできません。折り畳みという最新鋭ギミックに惹かれる人のみが購入すべきモデルと言えるでしょう。
おすすめできないタイプ
外での作業性を目的にしている人
ThinkPad X1 Foldのコンパクトな見た目に惹かれ、外で作業をするために購入検討している人はやめておいた方が無難です。プロセッサはまだしも、キーボードの入力性が他のThinkPadに比べると弱いことが作業性に影響を及ぼすでしょう。また、キーボードの充電器はmicroUSBのため仮にバッテリーが切れてしまった時に本体充電から取れないこともおすすめできないポイントです。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad X1 Foldにはカスタマイズはほぼなく、Snapdragon X55 5G搭載した5G対応の可否及びWindows OSを選べるかどうかがポイントになります。購入経路は公式サイトに加え、Softbankからも購入可能となっていますが自身の環境と照らし合わせて、目的に叶う方で購入ください。
実機レビューのまとめ

世界初の折り畳みパソコンで非常に本体クオリティが高く、過去評価してきた折り畳みスマートフォンと比べてもさらに高い質感を誇るマシンでした。
ただし、価格がついてきておらず一般用途ではありません。新しいモノ好きで、折り畳みを試してみたいというアーリーアダプター向けのデバイスと言えるでしょう。
安く買う方法・コツ
ThinkPad X1 Fold(2020年モデル)に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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