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レビュー・評価の概要
ThinkPad X1 Extremeはシリーズの中でも数少ないGPUを搭載したPC。シリーズの快適な打鍵感はそのままにグラフィックボードを搭載することで、利用できるソフトウェアの幅を広げたモデルと言えます。
15.6インチでグラフィックボードを搭載しているため、他と比べると重く、大きなPCですが基本据え置きで、たまに持ち出すようなスタイルで使う場合、ユーザーにぴったりと合うモデルとなるでしょう。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Core i5-10400H Core i7-10750H Core i7-10850H |
RAM | 8~32GB |
ストレージ | 256~512GB |
画面サイズ | 15.6インチ |
GPU | GeForce GTX1650Ti Max-Q |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 非対応 |
重量 | 1670g |
Cinebench R20 | 2165pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad X1 Extreme Gen3の一般的な特徴に触れています。筆者が使用した感想については、メリット・デメリットからご覧ください。
GTX1650搭載のThinkPad
ThinkPadシリーズは各種ありますが、モバイルビジネスユーザーのものがメインストリームでグラフィックボード搭載のモデルは少なくなっています(Pシリーズのワークステーションモデルくらい)。そのため、ThinkPadシリーズでグラフィックボード搭載モデルを検討するとすれば実質Extreme一択になります。
シリーズの打鍵感や雰囲気はそのまま
ThinkPadの名前で登場しているように、シリーズのキーボードの打鍵感はそのままに高性能になっています。グラフィックボード搭載モデルはゲーミングな要素が追加されることも多いですが、このモデルはThinkPadらしいビジネスシーンで使いやすい落ち着いたボディを継承しています。
価格とコストパフォーマンス
ThinkPad X1 Extremeはグラフィックボードを搭載している分、他のThinkPadシリーズと比べると高くなっています。また、プロセッサの性能から考えてAMDとdGPUで組み合わせた15インチパソコンと比べ、コストパフォーマンスは劣ります。あくまでThinkPadシリーズのブランドやキーボードの打ちやすさといった別軸での評価をしている人こそ買うべきモデルです。
スペック
今回レビューしたThinkPad X1 Extreme Gen3のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 361.8×245.7×18.7mm | |
重量 | 本体 | 1670g |
アダプタ | 430g | |
CPU | Core i5-10400H | |
GPU | GeForce GTX1650Ti MAX-Q | |
メモリ(RAM) | 8GB | |
ストレージ | 1st | 1TB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 3840×2160 | |
アスペクト比 | 16:9 | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | 有り | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 最大16.7時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 2165 |
シングル | 459 | |
Cinebench R23 | マルチ | 5355 |
シングル | 1210 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 2895.43 | 1715.75 |
SEQ1M Q1T1 | 2185.32 | 1716.55 |
RND4K Q32T16 | 1044.66 | 468.06 |
RND4K Q1T1 | 4165 | 126.75 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | 3564 | 普通 |
高品質 | 4903 | やや快適 |
軽量品質 | 5780 | やや快適 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。どのエリアでも十分なPINGとダウンロード数値が出ています。特にWi-Fiのすぐ近くでは400Mbpsを超える結果が得られています。
1階部分

2階部分

USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | × | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | × | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | △ | RP-PC133 |
100W | △ | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はThinkPadらしいマットな質感となっています。

背面はスリットが入っています。

開いた様子です。ベゼルは一般レベルです。

本体を開いた様子です。180°まで開きます。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

キーボードです。一般的なキーボードの配置ですが、FnとCtrlが入れ替わっています。

ミツトヨデジタルノギスで2つのキーピッチから割返して計算したところ18.2mmとなりました。またキーストロークは2.0mmとなっています。

タッチパッドは100mmとなっています。

本体左です。電源コネクタ、USB-C×2、HDMI、ヘッドフォンジャックとなっています。

本体右側です。ケンジントンロック、USB-A×2、SDカードとなっています。

本体重量は1670gとなっています。

充電器込みの重量は2100g、充電器単体では430gとなっています。

メリット・魅力
ThinkPadの良さを継承
ThinkPad X1 Extremeの良さは何と言ってもキーボードの打ち心地にあります。ThinkPadにはグラフィックボード搭載がほぼないので、キーボードの打ちやすさとグラボの性能を兼ね備えているだけでも魅力になります。
意外と軽い
ThinkPad X1 Extreme Gen3は15.6インチで本体重量が1.8kgとなっています。軽くはありませんが、重すぎることもなく、モバイル性の観点でも扱いやすいモデルになっています。
デメリット・欠点
RTXシリーズが選択できない
ThinkPad X1 Extremeはシリーズでも珍しいグラフィックボード搭載のノートパソコンですが、残念なことにRTXシリーズのグラフィックボードがありません。RTXはXeon搭載のノートパソコンにはありますが、より高額になる点やソフトウェアの互換性問題を考えれば、一般性を高めるという意味でCore HシリーズとRTXの組み合わせが欲しいところです。
コストパフォーマンスでは他に劣る
ThinkPad X1 Extremeシリーズは割引適用後でも、20万円を下回ることはまずありません。2020年以降Ryzen4000シリーズとRTXの組み合わせで20万円以下のパソコンが多く出ているため、絶対性能だけでは選びづらい問題があります。性能にコストをかけるというよりも、ブランド力やキーボードなどの生産性の部分にコストをかけるという認識で購入する方が良いでしょう。
USB-PDには対応だが100Wでも低速充電
ThinkPad X1 Extreme Gen3ではUSB-PDで61W以上で充電可能ですが、低速充電表示となってしまいます。
おすすめなタイプ
ThinkPadで画像・動画処理をしたい人
ThinkPad X1 Extreme Gen3を購入するにあたり、最も大事なことは「ThinkPad」を選択する理由がある人です。会社で指定されている、生産性を向上するために打ちやすいキーボードを選択する、といったこのシリーズを選択する理由があり、かつグラフィックボード搭載モデルが欲しい人にこそお勧めしたいモデルです。
おすすめできないタイプ
絶対性能を優先する人
絶対性能を優先する場合は、他のモデルを購入する方が良いでしょう。特にキーボードやディスプレイを別体にして擬似デスクトップとして使うことが多い人なら、同じ価格でもより絶対性能に優れたモデルを購入することをお勧めします。
同レベルの性能でよりコスパに優れたPCが欲しい場合は、TUF DASH Gaming F15、同じ予算で性能を高めるなら、ROG Strix SCAR 17などが良いでしょう。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad X1 Extreme Gen3はカスタマイズすることで、メモリ、プロセッサ、そしてディスプレイ性能を変更することができます。ほぼ据え置きで使う人は4Kディスプレイ、Core i7を選択すると良いでしょう。最下位のCore i5モデルは、性能から見ると心許ないのであまりお勧めできません。
実機レビューのまとめ

ThinkPadシリーズの泣けでも珍しいGPU搭載のモデルです。画像編集や動画編集といったGPUを必要とする人で、かつThinkPadシリーズならではの打ち心地を求める人にはぴったりのモデルとなっています。
安く買う方法・コツ
ThinkPad X1 Extreme Gen3に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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