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レビュー・評価の概要
ThinkPad P1シリーズはXeonまで選択できるモバイルワークステーションモデルでグラフィックボードにQuadroを選択できるノートパソコン。CAD・CAEを使ったりするユーザー向けの業務用となっています。
また15インチのモバイルワークステーションとしては1.7kgと比較的軽量になっているため、CADユーザーで客先にて情報共有するようなシーンで使いやすいセットアップとなっています。
発売年度 | 2020年 |
プロセッサ | Core i7-10750H Core i7-10850H Core i9-10885H Xeon W10885H |
RAM | 8~64GB |
ストレージ | 256~2TB |
画面サイズ | 15.6インチ |
GPU | Quadro T1000 Quadro T2000 |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 対応モデル有 |
重量 | 1710g |
Cinebench R20 | 3130pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad P1 Gen3の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
Xeonを含む複数のプロセッサから選択可能
ThinkPad P1 Gen3では、プロセッサに第10世代Core i7、Core i9、Xeonを選ぶことが可能となっています。プロセッサの性能はもちろんのこと、コア数が変化するため並列計算が必要なCAEにおいて強みを発揮します。
グラフィックボードにはQuadro系
ワークステーションということもあり、グラフィックボードにはQuadroを搭載しています。4GBモデルのT1000、6GBモデルのT2000から選択可能となっています。
カラーマネジメントされたディスプレイ
ThinkPAd P1 Gen3ではPANTONE認証を受けており、カラーマネジメントされたモニターとなっています。後述しますが、色域測定の結果、広い色域と自然なトーンカーブが得られています。
価格とコストパフォーマンス
ThinkPad P1 Gen3は本体価格が20万円を超えており、非常に高額ですが用途を考えれば限定的なため当然の価格と言えるでしょう。欲しい人(会社)が業務用として購入すべきモデルと言えます。
スペック
今回レビューしたThinkPad P1 Gen3のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2020年 | |
サイズ | 235.7×361.8×18.4mm | |
重量 | 本体 | 1710g |
アダプタ | 475g | |
CPU | Core i9-10885H | |
GPU | Quadro T2000 | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
ストレージ | 1st | 512GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 3840×2160 | |
アスペクト比 | 16:9 | |
形式 | OLED | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 無し | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.1 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 17.1時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 3130 |
シングル | 460 | |
Cinebench R23 | マルチ | 7752 |
シングル | 1199 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 3303.55 | 2928.79 |
SEQ1M Q1T1 | 2209.81 | 1855.69 |
RND4K Q32T16 | 792.12 | 419.13 |
RND4K Q1T1 | 47.98 | 120.44 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | 3716 | 普通 |
高品質 | 5173 | やや快適 |
軽量品質 | 6590 | 快適 |
モニター評価(色域)
モニターの色域カバー率は以下の通りです。測定はi1 Display Proを用いてデータ測定後、Color ACにてIICプロファイルからカバー率などのデータを作成しています。
測定項目 | カバー率[%] |
---|---|
sRGB | 99.4 |
Adobe RGB | 97.9 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 628 | 306.6 | 7 |
ポイント② | 464.38 | 54.27 | 8 |
ポイント③ | 489.41 | 343.23 | 9 |
ポイント④ | 597.9 | 210.67 | 9 |
ポイント⑤ | 385.83 | 206.76 | 8 |
ポイント⑥ | 166.7 | 133.64 | 9 |
通信スピードテストの評価
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | × | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | × | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | × | RP-PC133 |
100W | × | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はこれまでのThinkPadと同じようなブラックになっています。よく見ると、カーボン調となっています。

背面もブラックとなっています。

開いた様子です。

ThinkPad P1 Gen3は180°まで開くことができます。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

フロントカメラはディスプレイ上に搭載しており、物理シャッターがあります。

キーボード全体です。15.6インチということもあり余裕があり、クセのないキーボードとなっています。

ミツトヨのデジタルノギスで2点間のキーを測定し割り返してキーピッチを算出したところ、17.87mmとなりました。また、デップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.5mmとなっています。ThinkPadらしいキーストロークの深さとなっています。

タッチパッド幅を計測したところ、100mmとなりました。15.6インチのタッチパッドとしては狭めです。

本体右側はケンジントンロック、USB-A×2、4in1メディアリーダーを備えています。

本体左側は電源アダプタ、USB-C×2、HDMI、ヘッドフォンジャックを備えています。

本体の重量を測定したところ、1710gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、2185gとなりました。充電器単体では475gとなります。

メリット・魅力
Core i9で高いパフォーマンス
今回レビューしたThinkPad P1 Gen3はCore i9を搭載したモデルを検証しています。ハイパワープロセッサを搭載しているため、実際のベンチマーク結果としても十分な魅力的な数値が得られています。
画像系も十分な性能
Quadro系でFFベンチマークを回した結果、本来OpenGLでは苦手と言われるものの十分な数値を得られています。業務用のカテゴリに近いものの、たまにゲームをしたい人でも使える数値と言えそうです。
美しく輝度の高いディスプレイ
ThinkPad P1 Gen3はブライトネスを最大値まで上げると600cd/m2を超える輝度が出ています。元々PANTONE認証されたディスプレイが使われていることもあって、美しい画面をより良い環境で使用することができます。
持ち運びしたい人
15.6型はそもそも重く、ワークステーションとなるとさらに厳しくなりますが、このパソコンは1.7kg台と軽量になっているため持ち運びしやすくなっています。
デメリット・欠点
Core i7第10世代の差が意外と小さい
Core i9自体のパフォーマンスは高いですが、他機種で計測したCore i7との差が小さい結果が得られました。プロセッサパワーを必要としない作業においては、Core i7モデルを選択しつつ他のカスタマイズオプションでグレードアップさせるという方法もあります。
VRmarkの数値が低くVRデバイスとしては考えもの
Quadro系のソフトはVRクリエイトにもおすすめされることがよくありますが、VRmarkの結果としては同価格帯から見ると低めです。RTX3060の方がパフォーマンスが出るので、注意しておきましょう。
おすすめなタイプ
CAD・CAEなど限定的な用途を使う人
ThinkPad P1 Gen3はやはり特殊な用途で使われるノートパソコンなので、選択としてはXeonとQuadroの組み合わせになるはず。そういった意味でもCADやCAEをはじめとした特殊な用途で使う人向けのノートパソコンです。
おすすめできないタイプ
一般の人
一般的な用途ではこのパソコンは向きません。もし買うなら、GTXやRTXなどのグラフィックボードを搭載したパソコンを購入して下さい。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPadのモバイルステーションモデルはほぼ全てそうですが、ベースラインナップからかなり細かくカスタマイズすることが可能です。特にメモリは64GBまでパワーアップできるので、自分の予算・用途に合わせてチョイスしていくと良いでしょう。
実機レビューのまとめ

ThinkPad P1 Gen3はXeonを選択できることやQuadro系のグラフィックボードを搭載していることでCAD、CAEといった用途にマッチするモバイルワークステーションとなっています。
もちろんその分値段は高いですが、ThinkPadならではの打ちやすさや落ち着いた外観と相まって外でのビジネス用途で使いやすいパソコンです。
安く買う方法・コツ
ThinkPad P1 Gen3に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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