ThinkPad P1 Gen3のレビュー概要
XeonとQuadro選択可能なワークステーション
ThinkPad P1シリーズはXeonまで選択できるモバイルワークステーションモデルでグラフィックボードにQuadroを選択できるノートパソコン。CAD・CAEを使ったりするユーザー向けの業務用となっています。
また15インチのモバイルワークステーションとしては1.7kgと比較的軽量になっているため、CADユーザーで客先にて情報共有するようなシーンで使いやすいセットアップとなっています。
簡易スペック表
発売日 | 2020年8月18日 |
CPU | Core i7-10750H Core i7-10850H Core i9-10885H Xeon W10885H |
RAM | 8~64GB |
ストレージ | 256~2TB |
画面サイズ | 15.6インチ |
GPU | Quadro T1000 Quadro T2000 |
USB-PD | 非対応 |
LTE | 選択可能 |
MSオフィス | 選択可能 |
重量 | 1710g |
Cinebench R20 | 3130pts |
※詳細スペックはこちら。その他性能は目次よりベンチマーク結果をご覧ください
ThinkPad P1 Gen3の目次
実際に使った感想(主観)はメリット・デメリットからご覧いただけるとわかりやすくなっています。購入を悩んでいる場合はおすすめかどうかをチェックください。
※本記事ではメーカーより貸出を受けて、テストを行っています。
ThinkPad P1 Gen3の特徴
ここではThinkPad P1 Gen3の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
Xeonを含む複数のプロセッサから選択可能
ThinkPad P1 Gen3では、プロセッサに第10世代Core i7、Core i9、Xeonを選ぶことが可能となっています。プロセッサの性能はもちろんのこと、コア数が変化するため並列計算が必要なCAEにおいて強みを発揮します。
グラフィックボードにはQuadro系
ワークステーションということもあり、グラフィックボードにはQuadroを搭載しています。4GBモデルのT1000、6GBモデルのT2000から選択可能となっています。
カラーマネジメントされたディスプレイ
ThinkPAd P1 Gen3ではPANTONE認証を受けており、カラーマネジメントされたモニターとなっています。後述しますが、色域測定の結果、広い色域と自然なトーンカーブが得られています。
ThinkPad P1 Gen3の価格とコストパフォーマンス
ThinkPad P1 Gen3は本体価格が20万円を超えており、非常に高額ですが用途を考えれば限定的なため当然の価格と言えるでしょう。欲しい人(会社)が業務用として購入すべきモデルと言えます。
ThinkPad P1 Gen3のスペック
今回レビューしたThinkPad P1 Gen3のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売日(月) | 2020年8月18日 | |
製品名 | ThinkPad P1 Gen3 | |
型式 | - | |
サイズ | 235.7×361.8×18.4mm | |
重量(実測) | 本体 | 1710g |
電源アダプタ | 475g | |
CPU | Core i9-10885H | |
GPU | Quadro T2000 | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
保存(ROM) | 1st | 512GB |
2nd | - | |
ディスプレイ | サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 3840x2160インチ | |
形式 | OLED | |
リフレッシュレート | 記載なし | |
生体認証 | 指紋 | 有り |
顔認証 | 無し | |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.1 | |
LTEモジュール | 対応の可否 | 非搭載 |
SIMカードサイズ | ー | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 17.1時間 |
※レビュー機種以外やカスタマイズ内容などの詳細スペックはこちらからご覧ください。
ThinkPad P1 Gen3のベンチマーク
CINEBENCH R20
CINEBENCH R20の測定値は3130pts、シングルコア460ptsという結果になりました(パフォーマンスモードで測定)。他機種のデータについてはCINEBENCHの結果一覧をご覧ください。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23の測定値は7752pts、シングルコア1199ptsという結果になりました(パフォーマンスモードで測定)。他機種のデータについてはCINEBENCHの結果一覧をご覧ください。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Markの測定結果は以下の通りです。Readは3000MB/sを超えており、非常に高速です。
ゲームベンチマーク
FF14
ファイナルファンタジー14 漆黒のヴィランズのベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果はFF14のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
最高品質 | 9344 | 非常に快適 |
高品質 | 11825 | 非常に快適 |
標準品質 | 13178 | 非常に快適 |
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果は、FF15のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
最高品質 | 3716 | 普通 |
高品質 | 5173 | やや快適 |
軽量品質 | 6590 | 快適 |
CPU-Z
CPU-Zでの検証は以下の通りです。クリックで拡大することができます。
ThinkPad P1 Gen3のモニター評価(色域・トーンカーブ)
ThinkPad P1 Gen3のディスプレイを評価したところ、sRGBカバー率99.4%、RGBカバー率97.9%となっています。
トーンカーブの測定結果は以下の通りです。
ThinkPad P1 Gen3の通信環境(WI-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
検証結果
スピードテストを行った結果です。ポイント⑥になるほど実質的な距離が大きくなります。
ダウンロード数値比較
アップロード、PING、ジッターを計測した数値を表にまとめています。
測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 628 | 306.6 | 7 |
ポイント② | 464.38 | 54.27 | 8 |
ポイント③ | 489.41 | 343.23 | 9 |
ポイント④ | 597.9 | 210.67 | 9 |
ポイント⑤ | 385.83 | 206.76 | 8 |
ポイント⑥ | 166.7 | 133.64 | 9 |
通信スピードテストの評価
ThinkPad P1 Gen3では最大600Mbpsを超え、非常に安定した速度が得られました。ただし、長距離になると速度が顕著に落ちているため、ルーター近くで利用するかメッシュWi-Fiを検討しておきましょう。
ThinkPad P1 Gen3のUSB-C(PD)による充電テスト
USB-PDには非対応のため、未評価です。
ThinkPad P1 Gen3の外観
天板はこれまでのThinkPadと同じようなブラックになっています。よく見ると、カーボン調となっています。
背面もブラックとなっています。
開いた様子です。
ThinkPad P1 Gen3は180°まで開くことができます。
上部ベゼルです。
下部ベゼルです。
フロントカメラはディスプレイ上に搭載しており、物理シャッターがあります。
キーボード全体です。15.6インチということもあり余裕があり、クセのないキーボードとなっています。
ミツトヨのデジタルノギスで2点間のキーを測定し割り返してキーピッチを算出したところ、17.87mmとなりました。また、デップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.5mmとなっています。ThinkPadらしいキーストロークの深さとなっています。
タッチパッド幅を計測したところ、100mmとなりました。15.6インチのタッチパッドとしては狭めです。
本体右側はケンジントンロック、USB-A×2、4in1メディアリーダーを備えています。
本体左側は電源アダプタ、USB-C×2、HDMI、ヘッドフォンジャックを備えています。
本体の重量を測定したところ、1710gとなりました。
充電器込みの重量を測定したところ、2185gとなりました。充電器単体では475gとなります。
ThinkPad P1 Gen3のメリット・魅力
Core i9で高いパフォーマンス
今回レビューしたThinkPad P1 Gen3はCore i9を搭載したモデルを検証しています。ハイパワープロセッサを搭載しているため、実際のベンチマーク結果としても十分な魅力的な数値が得られています。
画像系も十分な性能
Quadro系でFFベンチマークを回した結果、本来OpenGLでは苦手と言われるものの十分な数値を得られています。業務用のカテゴリに近いものの、たまにゲームをしたい人でも使える数値と言えそうです。
美しく輝度の高いディスプレイ
ThinkPad P1 Gen3はブライトネスを最大値まで上げると600cd/m2を超える輝度が出ています。元々PANTONE認証されたディスプレイが使われていることもあって、美しい画面をより良い環境で使用することができます。
持ち運びしたい人
15.6型はそもそも重く、ワークステーションとなるとさらに厳しくなりますが、このパソコンは1.7kg台と軽量になっているため持ち運びしやすくなっています。
ThinkPad P1 Gen3のデメリット・欠点
Core i7第10世代の差が意外と小さい
Core i9自体のパフォーマンスは高いですが、他機種で計測したCore i7との差が小さい結果が得られました。プロセッサパワーを必要としない作業においては、Core i7モデルを選択しつつ他のカスタマイズオプションでグレードアップさせるという方法もあります。
VRmarkの数値が低くVRデバイスとしては考えもの
Quadro系のソフトはVRクリエイトにもおすすめされることがよくありますが、VRmarkの結果としては同価格帯から見ると低めです。RTX3060の方がパフォーマンスが出るので、注意しておきましょう。
みんなの口コミ
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15インチの高性能モバイルワークステーション。15.6インチで1.7kg台と軽く持ち運びに向くモデル。CAEなど特殊用途向けなので一般向けではない。
女性目線の口コミ
普段、Let's NoteのSZシリーズを使っている妻からコメントをもらいました。ライトユーザーとしての一意見として捉えて頂ければと思います。
女性目線のコメント
- 大きくて家庭向きではない
- 業務用かもしれないが普通のパソコンに見える
ThinkPad P1 Gen3がおすすめな人
CAD・CAEなど限定的な用途を使う人
ThinkPad P1 Gen3はやはり特殊な用途で使われるノートパソコンなので、選択としてはXeonとQuadroの組み合わせになるはず。そういった意味でもCADやCAEをはじめとした特殊な用途で使う人向けのノートパソコンです。
ThinkPad P1 Gen3がおすすめではないタイプ
一般の人
一般的な用途ではこのパソコンは向きません。もし買うなら、GTXやRTXなどのグラフィックボードを搭載したパソコンを購入して下さい。
ThinkPad P1 Gen3のカスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPadのモバイルステーションモデルはほぼ全てそうですが、ベースラインナップからかなり細かくカスタマイズすることが可能です。特にメモリは64GBまでパワーアップできるので、自分の予算・用途に合わせてチョイスしていくと良いでしょう。
ThinkPad P1 Gen3の実機レビューまとめ
特殊用途向けのワークステーション
結論
ThinkPad P1 Gen3はXeonを選択できることやQuadro系のグラフィックボードを搭載していることでCAD、CAEといった用途にマッチするモバイルワークステーションとなっています。
もちろんその分値段は高いですが、ThinkPadならではの打ちやすさや落ち着いた外観と相まって外でのビジネス用途で使いやすいパソコンです。
ThinkPad P1 Gen3を安く買う方法
ThinkPad P1 Gen3に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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