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レビュー・評価の概要
ThinkPad T15gはシリーズの中でも超高性能なモバイルワークステーションでプロセッサにXeonも選択可能なモデルです(最廉価はCore i5-10400H)。
プロセッサが強力なだけでなくさらにGe Force RTX2080まで選択できるため、グラフィック性能も強め。公式サイトでアピールされているように負荷のかかるVRクリエイトやCAD、CAEで使えるワークステーションになっています。
発売年度 | 2020年 |
プロセッサ | Core i5-10440H Core i7-10750H Core i9-10885H Xeon W-10885M |
RAM | 8~128GB |
ストレージ | 256GB~2TB SSD (2ndも選択可) |
画面サイズ | 15.6インチ |
GPU | GeForce GTX2070 GeForce GTX2080 |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 対応モデルあり |
重量 | 2895g |
Cinebench R20 | 3895pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad T15gの一般的な特徴に触れています。筆者が使用した感想については、メリット・デメリットからご覧ください。
Xeonも選べる強力なモバイルプロセッサ
ThinkPad T15gはモバイルワークステーションであることもあり、Xeonを選択することも可能です。スレッド数の多さもさることながらベンチマーク結果も4000ptsに迫るスコアとなっており、強力に動いてくれるCPUになっています。
グラフィックボードもRTX2080まで選択可能
ワークステーションはグラフィックボードのグレードが低いこともありますが、このThinkPad T15gでは最高峰クラスのRTX2080を選択することが可能になっています。
OLEDとカラーキャリブレーションされたディスプレイ
ThinkPad T15gではディスプレイにIPS液晶からOLEDディスプレイまで選ぶことができます。また、X-riteによるキャリブレーションも行われているため、より正確な色表現ができるモデルになっています。
WWAN(LTE)にも対応
驚くことにモバイルワークステーションでありながら、LTEにも対応しています。FUSION360やAdobe Lightroomのようにクラウドサービスに依存するサービスでも安心して使うことができます。
価格とコストパフォーマンス
このパソコンはXeonのモバイルワークステーションとして使うモデルなので最高モデルが50万円を超えていますが、それでも順当なモデル。ただし、カスタイマイズを利用することでディスプレイ性能を下げたり、性能を落としたXEONを選んだりすることができるため、調整が可能できます。
しかし、Core i9モデル以下は一般的なゲーミングPCの方が価格帯的に安くなるので、見た目やThinkPadの打ち心地事態に興味がなければそちらを選ぶ方がコストパフォーマンスは高くなります。
スペック
今回レビューしたThinkPad T15gのスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2020年 | |
サイズ | 375.4×252.3×24.5~31.45mm | |
重量 | 本体 | 2895g |
アダプタ | 885g | |
CPU | XEON W-10885M | |
GPU | GeForce RTX2080 | |
メモリ(RAM) | 32GB | |
ストレージ | 1st | 512GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 15.6インチ |
解像度 | 3840×2160 | |
アスペクト比 | 16:9 | |
形式 | OLED | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.0 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 6セル |
公称値 | 17.4時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 3895 |
シングル | 496 | |
Cinebench R23 | マルチ | 9405 |
シングル | 1310 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 2742.59 | 2530.39 |
SEQ1M Q1T1 | 1412.02 | 2272.21 |
RND4K Q32T16 | 1163.17 | 2047.74 |
RND4K Q1T1 | 44.36 | 139.22 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | 6813 | とても快適 |
高品質 | 8412 | とても快適 |
軽量品質 | 9039 | とても快適 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
ThinkPad T15gの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPV6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。結果、快適な通信速度が得られています。
1階部分

2階部分

USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | × | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | × | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | × | RP-PC133 |
外観
天板です。ThinkPadらしいマット調のデザインとなっています。

背面には排気孔が多く設けられています。

開いた様子です。ディスプレイは光沢でベゼル幅はかなり広めです。今回レビューしたモデルはOLEDモデルで非常に美しい画面が特徴です。なおX-riteによるキャリブレーションも行われています。

従来のThinkPad同様に180°開くことができます。

上部ベゼルです。

下部ベゼルです。

フロントカメラです。ThinkShutterを搭載しており、物理的にカメラをオフできます。

キーボードです。テンキー搭載モデルとなっています。変則キーはありませんが、エンター付近のキーが小さくなっています。

ミツトヨのデジタルノギスで2つのキーから割返してキーピッチを測定したところ、17.5mmとなりました。またキーボードの深さは1.6mmでThinkPadらしい打ち心地となってます。

タッチパッドです。幅は100mmです。15インチのノートパソコンとしては小さめです。

パームレストは天板と同じ質感となっています。また指紋認証を搭載しています。

右側からケンジントンロック、排気用のファン、USB-A、フルサイズSDスロットが搭載されています。

左側です。通気口、USB-A、SIMスロット、ヘッドフォンジャックが搭載されています。

SIMスロットを取り外した様子です。nanoSIMとなっています。

背面です。電源、USB-C×3(うち2つはThunderbolt)、イーサネットコネクタが搭載されています。

全体の質量を測定したところ2895gでした。

電源は230Wになっています。本体と合わせて測定したところ、3780gとなりました。充電器単体としては、885gとなっています。

メリット・魅力
文句なしに高い性能
ThinkPad T15gはCinebench、FFベンチマークの結果から見ても非常に高性能となっており、モバイルワークステーションとしては文句なしと言えるでしょう。
カラーキャリブレーションされたディスプレイ
ThinkPad T15gではカラーキャリブレーションされたディスプレイを搭載しており、実際に目で見ても違和感のないディスプレイが魅力です。
シリーズの中では音が良い
ThinkPadシリーズの中では音質が良いです。そのためそのままのスピーカーでもそれなりの音が出る点が特徴です(ただし高いレベルではないので注意して下さい)。
ThinkPadならではの打ち心地
高性能ワークステーションでは、性能が高いことが重要視され筐体が軽視されることもありますが本モデルはTinkPadシリーズをベースとしているため、タイピングに優れる魅力があります。
取り回しの良い外部インターフェース
ThinkPadシリーズは基本的に左右に外部インターフェイスを持ちますが、ThinkPad T15gでは背面もインターフェイスを持ち、電源、Thunderboltの接続ができます。

このパソコンはワークステーションとして外部接続して使うことも多いでしょうから、このインターフェイス配置は利便性が高いです。
デメリット・欠点
価格がずば抜けて高い
Xeon、そしてRTX2080を搭載しているモデルのためとにかく価格がずば抜けて高くなっています(2021/1/19時点で約52万円)。Xeonを搭載した特殊グレードのため、高い点には目を瞑る必要があるでしょう。
SIMの必要性が疑問
ThinkPad T15gにはWWANを搭載することができますが、モバイルワークステーションを使う場合SIMで接続するのは疑問が残ります。ポケットWi-Fiなどで接続する方が、日本のSIM業界を鑑みればより高速で利用することができます。また、ThinkPad T15gの最高グレード(Xeon搭載モデル)ではSIMを無しにして値下げできない点もデメリットと言えるでしょう。
おすすめなタイプ
XEONを使う用途がある人
シミュレーション、CAD、CAEなど多コアを使う用途の場合、有利になる傾向がありワークステーションとしての実力を発揮します。値段はそれなりに高いですが、その分パフォーマンスは高いです。
VRクリエイター
Xeon搭載のノートパソコンではグラフィックボード性能が低いものが乗っているケースも多いですが、このモデルではGeForce RTX2080を選択できるため、負荷のかかりやすいVRでも実力を発揮しやすいモバイルPCと言えるでしょう。
グラフィック性能に優れたビジネスPCを探す人
モバイルワークステーションという位置付けですが、廉価グレードは一般PCの位置付けでハイエンドなグラフィックボードが選べるノートパソコンです。ThinkPadの場合、シリーズならではのビジネス向けの質感、タイピング性能を持ったPCのため、ビジネスシーンでも使いやすいハイエンドPCとなります。
おすすめできないタイプ
Core i9以下のモデルを探す人
Core i9以下のモデルで外観にビジネス性を求めないのであれば、ゲーミングPCに目を向けた方が良いです。LEGIONシリーズを初めゲーミングPCの方が高性能で安いパソコンを買えるケースが多いです。また、AMDプロセッサにも目を向ければ、Ryzen 4000シリーズをプロセッサを選ぶことでより処理性能が高いモデルを手に入れることも可能です。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad T15gを買う人はすでに目的があると思うので、自分の用途に合わせてモデルを選んで頂ければ良いでしょう。ただし、カスタマイズは要注意で、ディスプレイのランクやプロセッサのランクを下げることで価格が大きく変わります。カスタマイズにより予算の範囲内で増強したい性能、いらない性能を調整すると良いでしょう。
実機レビューのまとめ

ThinkPadシリーズの中でも珍しいモバイルワークステーションモデルですが、ベンチマークの結果からもわかるように高性能なスペック。さらにカスタマイズが柔軟にできるので、さらに高い性能を目指したり予算に合わせてスペックダウンすることも可能なモデルとなっています。
モバイルでXeonを使えて、かつグラフィックボードが強化されたモデルは少ないので候補に入れておくと良いでしょう。
安く買う方法・コツ
ThinkPad T15gに限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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