ThinkPad X1 Nanoのレビュー概要
ThinkPadの最軽量モデル
ThinkPad X1 Nanoは2020年に新しく登場したThinkPadシリーズの最軽量モデル。Core i7モデルではCinebench R20で2000ptsを超えており、モバイル用ノートパソコンとしては十分過ぎる性能を持ちます。
ThinkPad X1 Carbonと比べると若干キーストロークは短くなっているもののThinkPadらしい快適な打ち心地はそのまま。USB-PDが使えるなど、モバイルでの快適性をより高めたモデルとなっています。
CPUの絶対性能から考えると価格は高いですが、モバイル性、生産性、ブランド力を考えれば、国産品よりも圧倒的に安いので非常におすすめのモデル。特にタイピングが多く、持ち運びをよくする人にはぜひ試してほしいPCです。
簡易スペック表
CPU | Core i7-1160G7 Core i5-1130G7 |
RAM | 8~16GB |
ROM | 256~512GB SSD |
画面 | 13.0インチ |
GPU | Iris Xe グラフィックス |
USB-PD | 対応 |
LTE | 対応(5G含む) |
重量(実測) | 915 g |
Cinebench R20 | 2211 pts |
※詳細スペックはこちら
※その他性能は目次よりベンチマーク結果をご覧ください
ThinkPad X1 Nano実機レビュー目次
実際に使った感想(主観)はメリットからご覧いただけるとわかりやすくなっています。
※本記事ではLenovo公式サイトから機種を購入しレビューを行っています。
ThinkPad X1 Nanoの特徴
ここではThinkPad X1 Nanoの一般的な特徴に触れています。筆者が使用した感想については、メリット・デメリットからご覧ください。
900g台の超軽量PC
ThinkPad X1 Nanoはシリーズ最軽量の900g台の13インチノートパソコンです。これまでは14インチのThinkPad X1 Carbonが最軽量モデルでしたが、それを大きく下回る質量となっています。メリットでも書いていますが、実際に持ってみると異次元の軽さになっています。
標準で2Kの16:10ディスプレイ
ThinkPad X1 Nanoは高精細な2Kディスプレイを搭載し、さらに縦長な16:10のディスプレイを採用しています。これによりネットサーフィンやWordによる書類作成時に縦軸の情報量が増えるメリットがあります。
5Gモデルもあり
ThinkPad X1 FOLDに引き続き、Nanoシリーズでも5Gモデルが選択できるようになっています。ただし、5Gモジュールは価格が高め、4G LTEモデルも選択できるため自分の用途に合わせて選ぶことができます。
ThinkPad X1 Nanoの価格とコストパフォーマンス
絶対的なプロセッサ性能から見ればコストパフォーマンスは悪いですが、軽量クラスのノートパソコンの部類で見るとかなりコストパフォーマンスが高いモデルになります。軽量性とタイピング性(生産性)を踏まえるなら、これ以上ないほどコストパフォーマンスが高いパソコンと考えます。
ただし、軽量で見るとYoga Slim750i Carbonの方がコスパはさらに良いので合わせてこちらもチェックしておくと良いでしょう。
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ThinkPad X1 Nanoのスペック
今回レビューしたThinkPad X1 Nanoのスペックは以下の通りです。Core i5モデル、Core i7モデルがありますが、今回は上位モデルを評価しています。
マシンスペック(技術仕様)
発売日(月) | 2020年12月9日 | |
製品名 | ThinkPad X1 Nano | |
型式 | ー | |
サイズ | 292.8×207.7×13.87 mm | |
重量(実測) | 本体 | 915 g |
電源アダプタ | 265 g | |
CPU | Core i7-1160G7 | |
GPU | Iris Xe グラフィックス | |
メモリ(RAM) | 16GB | |
保存(ROM) | 1st | 512GB SSD |
2nd | - | |
ディスプレイ | サイズ | 13.0インチ |
解像度 | 2160×1350 | |
形式 | IPS液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz | |
生体認証 | 指紋 | 〇 |
顔認証 | × | |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | - |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | 5.0 | |
LTEモジュール | 対応の可否 | 非対応 |
SIMカードサイズ | ー | |
光学ドライブ | 非対応 | |
バッテリー | サイズ | 3セル |
公称値 | 22.8時間 |
※1 詳細仕様はこちら
スペックの解説
プロセッサは第11世代の中でもあまり使われないCore i7-1160G7を搭載しています。ベンチマークの結果の通り、Cinebench R20で2200ptsの数値が出ており、快適に使うことができます。またWi-Fi6に対応しています。今回レビューしたPCではSIMスロットは搭載無しモデルですが、5G対応モデルも選ぶことができるため、モバイル環境で自動的に高速通信したい人にも向いています。なおスペック表には記載していませんが、Thunderbolt4に対応しています。
ThinkPad X1 Nanoのベンチマーク
ベンチマーク結果は以下の通りです。
CINEBENCH R20
CINEBENCH R20の測定値は2211pts、シングルコア542ptsという結果になりました。他機種のデータについてはCINEBENCHの結果一覧をご覧ください。
PASSMARK
PASSMARKの測定値は以下の通りです。他機種との比較をしたい人はPASSMARKのデータ一覧をご覧ください。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Markの測定結果は以下の通りです。リードが3000MB/sいかなかったため超高速とは言えませんがストレスを感じることはありません。
騒音テスト
ベンチマーク時、サーっという音が常に聞こえている状態でした。平常時ではほぼ音はなっていません。
ゲームベンチマーク
FF14
ファイナルファンタジー14 漆黒のヴィランズのベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果はFF14のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
最高品質 | 未測定 | 未測定 |
高品質 | 未測定 | 未測定 |
標準 | 5507 | とても快適 |
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果は、FF15のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
高品質 | 未測定 | 未測定 |
標準 | 未測定 | 未測定 |
軽量品質 | 2232 | 重い |
CPU-Z
CPU-Zでの検証結果です。
動画編集ベンチマーク
Davinch Resolve16を用いて、FHD、30FPSの10分間の動画(エフェクト加工無し)の書き出しを行った結果、6分11秒という結果が得られました。過去のテストと比べるとRyzen3 4300Uと変わらないレベルなので動画編集を目的とするならCore i7モデルを選ぶより、他機種のRyzenシリーズを選ぶ方がより効率的です。
ThinkPad X1 Nanoの通信環境(WI-Fi)のテスト
ThinkPad X1 Nanoの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPV6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。結果、快適な通信速度が得られています。
全ての部屋で安定したPING、ダウンロード速度が得られる結果となりました。
ThinkPad X1 NanoのUSB-C(PD)による充電テスト
USB-PDによる充電テストを行いました。20Wから61Wで検証したところ、全てで充電が確認できました。ただし、20W、および30Wでは低速表示が出ていました。61Wでは出ていません。なお標準付属の充電器は65Wに対応しています。
ThinkPad X1 Nanoの外観
天板です。ThinkPadの文字がブラックで表示され、その下にX1の文字があります。天板はマット調になっています(カーボン柄ではありません)。
背面にはファン、およびスピーカーがあります。
開いた様子です。13.0インチでベゼル幅は普通程度。ThinkPadらしい重厚感を感じます。
フロントカメラです。IRカメラを搭載し、Windows Helloに対応しています。また、メリットで後述するHuman Presense Detectionでも使われます。なおカメラには物理スイッチが付属します。
過去のThinkPadシリーズ同様に180°まで広げることができます。
キーボードです。こちらもこれまでのThinkPadと同じです。キーボードは指の触れる部分が湾曲しておりタイピングしやすくなっています。キーボードは白色バックライトを搭載しています。
ミツトヨのデジタルノギスにて2つのキーボードを計測し、割返してキーストロークを計測したところ17.2mmでした。また、キーストロークは1.8mmとなっています。
タッチパッドです。サラサラとしていて触り心地がとても良く滑らかです。廉価グレードのThinkPadで使われているようなひっかかりはありません。幅は101mmで標準から少し小さめです。
パームレストは天板と同じ材質になっています。また右下にThinkPadのロゴがあります。タッチパッド横に指紋認証を搭載しています。
本体右側インターフェイスです。電源ボタン、排熱ファンがあります。
左側です。ヘッドフォンジャック、USB-Cスロットが2つあります。
質量を測定したところ915gとなりました。
付属の65W充電器と合わせて計測したところ以下のようになりました。なお充電器単体では265gとなりました。
ThinkPad X1 Nanoのメリット・魅力
驚くほど軽いボディ
ThinkPad X1 Nanoの最大の魅力はやはり軽さ。ThinkPad X1 Carbonでも十分軽かったですが、それを上回る軽さとなっています。13.0インチでコンパクトなこともあり外に連れ出したくなる魅力があるノートパソコンとなっています。
薄くてカバンの中に入れやすい
軽いのはもちろんのこと、薄くてカバンに入れやすいことも特徴。ThinkPad X1 Carbonでは厚みがあったので大きな改善点と感じます。
スリープからの起動が速い
あくまで体感上の話ですが、スリープからの復帰が非常に速いです。モニターを開けるとすぐに画面が付いているような状況。感覚的にこれまで使ったWindows PCで最速クラスです。
タイピングしやすいキーボード
ThinkPad X1 Nanoはシリーズの魅力であるキータイピングを継承したモデルです。薄型化していることもあって、若干キーストロークが短くなっており、感覚的に違いもわかりますがそれでもタイピングのしやすさは変わりありません。軽量モデルはキーストロークが浅くなり、人によっては打ちにくくなるケースもあるので、「軽量+深さのあるキーボード」となるとThinkPad X1 Nanoに軍配が上がると言えるでしょう。
情報量の多いアスペクト比
ディスプレイが16:10になっている点は大きく評価できます。15インチノートであっても16:9では横に広いだけで表示領域が広がっていない印象を受けるケースがあります。ThinkPad X1 Nanoの場合、2Kディスプレイを搭載し、かつ縦長のディスプレイになっていることで非常に使いやすくなっています。
Human Presence Detectonが便利
ThinkPadはビジネスパーソンもよく使うパソコンだと思いますがそういった場合、多くのオフィスや出張先でパソコンのセキュリティが気になります。本機種では画面を向いていない時にはディスプレイをオフにする機能が付いています。ちょっと席を外すときに自分の意識の外でセキュリティアップしてくれる魅力的な機能と言えるでしょう。
ThinkPad X1 Nanoのデメリット・欠点
指紋が付きやすいボディ
ThinkPadシリーズの中でもマットなボディは指紋が付きやすく、しかも掃除がしづらいことが特徴です。これはThinkPad X1 Nanoでも同様なため、気になる場合はYoga Slim750i Carbonを検討しておく方が良いでしょう。
USB-Cが左のみ
ThinkPad X1 NanoはインターフェイスがUSB-Cの左側のみとなっています。USB-PDで充電することになりますが、これにより左側に充電器を持つ構成で作ることしかできなくなる欠点を持ちます。
5Gは魅力的だが現実的に不要
実際にこのモジュールオプションを発注したわけではありませんが、現時点で5Gモデルは不要という印象です。理由は2つあり、一つはオプション価格が5万円を超えること、さらに日本では5GのSIMカードの供給元が少なく、しかも回線速度が絞られているため実質的に4G LTEモデルと変わらなくなってしまうからです。2020年1月7日段階では4G LTEモジュールは1万円台で購入できるため、SIMフリーならそちらを検討するほうが良いでしょう。
4スピーカーだが音質は並
デメリットというよりも少し残念に感じたところとして4スピーカー搭載している割には音が普通レベルと感じました。公式サイトではアピールされていますが、あまり期待しすぎない方が良いでしょう。
みんなの口コミ
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ThinkPad Xシリーズ史上最軽量ということもあり、持った時に軽さに驚くモデル。軽いだけでなく、それによって他を犠牲にしていないのが魅力的。特にThinkPadシリーズのタイピング性能は変わらず秀逸です。
女性目線の口コミ
普段、Let's NoteのSZシリーズを使っている妻からコメントをもらいました。ライトユーザーとしての一意見として捉えて頂ければと思います。
女性目線のコメント
- 軽くて薄くて女性でも持ち運びしやすそう
- カッコいいが、少しゴツゴツしているかも
ThinkPad X1 Nanoがおすすめな人
持ち運びが多い人
ThinkPad X1 Nanoは持ち運びが多い人向けに非常におすすめしたいパソコン。900g台で薄型なのでカバンの中にさっとしまえて、重さが負担になることもない魅力的なモデルです。
タイピングが多い人
これだけで買ってもいいと思えるほど魅力なThinkPad X1 Nanoのキーボード。非常に打ちやすく生産性を向上することができます。ThinkPadシリーズのキーボードを打ったことがない人はぜひ試してみて下さい。
セキュリティを重視する人
Human Presense Detectiveは自分の見えない所で役に立つ魅力的な機能です。セキュリティを強化したい人におすすめです。
ThinkPad X1 Nanoがおすすめではないタイプ
軽い方が良いがコスパを重視する人
ThinkPad X1 Nanoは軽くて魅力的なモデルですが、Lenovoの中でもブランド力があり人気モデルかつ最軽量というエッジのおかげでコストパフォーマンスが下がっています。1kg切りの軽いモデルを探しているなら、Yoga Slim 750i Carbonも候補に入れておくと良いでしょう。キーボードの質は落ちますが、プロセッサの性能はほぼ同程度です。
さらに軽量性を重視する人
ThinkPad X1 Nanoは非常に軽いモデルですが、上を見れば富士通の600g台のノートパソコンも存在します。とにかく軽さを追求するなら別の選択肢が出てくることも忘れないで下さい。
指紋が気になる人
ThinkPadシリーズ全般に言えることですが、指紋汚れからは逃げられないと思っておいた方が無難です。気にしたくなければ先ほど紹介したYoga Slim 750i Carbonが真っ白なので目立ちません。こちらを検討してください。
Privacy Gaurdが欲しい人
ThinkPad X1 Carbonに搭載されていたPrivacy Guard(横からの覗き込み防止)がNanoにはありません。もし覗き込みを気にされるなら、14インチのThinkPad X1 Carbonを選びましょう。Privacy Guardは横からほぼ見えなくなるのでおすすめです。
ThinkPad X1 Nanoのカスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad X1 Nanoはシリーズ最軽量という実用性はあるものの、どちらかと言えばシリーズを特徴づけるフラッグシップ的な位置づけでロマンモデルです。そのため、どうせ買うならCore i7モデルの方が良いと考えます(Core i5は8GBということもあります)。ただし、オプションパーツで言えばデメリットでも書いた通り、現時点で4G LTEモジュールの方が良いと考えます。
また、本当にコストパフォーマンスを考えるなら、カスタマイズで検討するよりもYoga Slim 750i Carbonを検討するほうが良いでしょう。
ThinkPad X1 Nanoの実機レビューまとめ
ThinkPad X1 Nanoを安く買う方法
ThinkPad X1 Nanoに限らず、Lenovoのノートパソコンは安く買う方法があります。以下の記事で詳しく解説しているので、必ず参考にしてください。
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