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レビュー・評価の概要
ThinkPad X13 Gen2は13インチでシリーズの中でもコンパクトさがウリのモデルです。本体重量は約1.2kgと持ち運ぶのにも苦にならないレベルとなっています。
アスペクト比16:10で縦長のディスプレイを搭載していることで書類作成時には縦側に広いワークスペースを確保しつつ、ThinkPadならではのタイピング性能の良さで生産効率を高めることが可能。
今回のGen2モデルでは、5Gを含むモバイル通信が選択可能となったことで外で作業に入る流れをよりシームレスに行えるようになっています。
価格が性能から考えると少し高めなので、コンパクトなThinkPadというブランドに納得がいく人向けと捉えておくと良いでしょう。
発売年度 | 2021年 |
プロセッサ | Core i3-1115G4 Core i5-1135G7 Core i5-1145G7 Core i7-1165G7 Core i7-1185G7 |
RAM | 8~32GB |
ストレージ | 128GB~2TB |
画面サイズ | 13.3インチ |
GPU | 内蔵グラフィックス |
USB-PD | 対応 |
モバイル通信 | 対応モデル有 |
重量 | 1245g |
Cinebench R20 | 1292pts |
※スペック情報は執筆時のものです。現在の情報は以下から公式サイトでご覧ください。
本記事ではメーカーより貸し出しを受けて、テストを行っています。
特徴
ここではThinkPad X13 Gen2の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
16:10の縦長ディスプレイ
ThinkPad X13 Gen2のディスプレイは縦長で16:10が用いられています(一般的には16:9が多い)。そのため、書類作成などの作業を行う場合において、利便性が高くなっています。
多数のCPUバリエーションから選べる
ThinkPad X13 Gen2はCore i3〜Core i7まで選択できます。しかも、Core i5モデル、Core i7モデルの両方はカスタマイズモデルで上位モデル(例:Core i7-1185G7)を選ぶことが可能となっています。
LTEにも対応
ThinkPad X13はWWAN対応モデルを選択することができ、5Gで使うことも可能となっています。
新規格Wi-Fi6Eに対応
ThinkPad X13 Gen2では最新のWi-Fi規格である「Wi-Fi6E」に対応しています。ルーター自体も対応させる必要はありますが、6Hz帯を利用することも可能になっています。
バッテリーは公称値で24時間越え
Thinkpad X13 Gen2には二つのモデルがあり、上位モデルはバッテリーのセル数が多く公称値24時間に対応したモデルが存在します(3セルモデルでも18時間となっているため十分な数値となっています)。
前モデルとの違い
前モデル(ThinkPad X13 Gen1)と異なりCPUプロセッサが新世代に、Wi-Fi6E、LTEに対応していることが大きな違いです。また、バッテリー持続時間が大幅にアップしているため新世代の進化が著しくなっています。
価格とコストパフォーマンス
ThinkPad X13 Gen2はコストパフォーマンスとしては微妙です。最下位モデルのCore i3モデルでも2021年5月22日時点で10万円台となっています。当然上位のモデルを選択することによって価格は上がっていきます。同じレベルの価格なら、Yoga Slim750i Carbonが存在しており、1kg切りの軽量さで上位のプロセッサを選択することが可能。
また、型落ちでもよければThinkPad X1 Carbon(intel第10世代モデル)を選択することで、低価格で軽量かつグレードの高いPCを手に入れることが可能になります。さらに、ThinkPad X13 Gen2ではAMDモデル(5000シリーズ)が出ることも予想されており、こちらのモデルは過去他機種のベンチマークを見る限り、パフォーマンスでは圧倒的な差があります。これらの観点から見ると、ThinkPad X13 Gen2は「13インチのThinkPadでintel機が欲しい」というニーズを求める人だけに価格が見合うモデルになってしまっています。
スペック
今回レビューしたThinkPad X13 Gen2(2021年モデル)のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売年 | 2021年 | |
サイズ | 305.8×217.06×18.19mm | |
重量 | 本体 | 1245g |
アダプタ | 255g | |
CPU | Core i3-1115G4 | |
GPU | UHDグラフィックス | |
メモリ(RAM) | 8GB | |
ストレージ | 1st | 128GB |
2nd | – | |
ディスプレイ | サイズ | 13.3インチ |
解像度 | 1920×1200 | |
アスペクト比 | 16:10 | |
形式 | IPS液晶 | |
リフレッシュレート | 60Hz |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | v5.2 | |
モバイル通信 | 非対応 | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 3セル |
公称値 | 17.8時間 |
レビュー機種以外にも詳細のカスタマイズが可能です。細かなスペック内容についてはテーブル下の公式サイトのリンクからご覧ください。
ベンチマーク結果一覧
CINEBENCH
CINEBENCH(シネベンチ)のベンチマーク結果は以下の通りです。R20は1回の測定、R23は10分間の連続測定結果を掲載しています。
バージョン | 測定モード | 測定値[pts] |
---|---|---|
Cinebench R20 | マルチ | 1292 |
シングル | 497 | |
Cinebench R23 | マルチ | 3343 |
シングル | 1315 |
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Mark(クリスタルディスクマーク)の測定結果は以下の通りです。
Read[MB/s] | Write[MB/s] | |
---|---|---|
SEQ1M Q8T1 | 1943.90 | 642.33 |
SEQ1M Q1T1 | 1753.80 | 641.79 |
RND4K Q32T16 | 439.81 | 433.99 |
RND4K Q1T1 | 61.26 | 167.59 |
ゲームベンチマーク
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。
モード | スコア | 評価 |
---|---|---|
最高品質 | – | – |
高品質 | – | – |
軽量品質 | 1928 | 動作困難 |
通信環境(Wi-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。
テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
1階部分

2階部分

測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 513.49 | 278.88 | 9 |
ポイント② | 469.18 | 350.03 | 8 |
ポイント③ | 526.53 | 381.73 | 9 |
ポイント④ | 451.1 | 308.52 | 9 |
ポイント⑤ | 369.98 | 282.89 | 11 |
ポイント⑥ | 195.13 | 207.4 | 8 |
通信スピードテストの評価
Wi-Fi通信速度の安定性は高く、どのエリアにおいても快適な通信速度が得られています。最長距離ではスピードが落ちるものの、PINGは一桁台中心となっているため、ストレスを感じることもありません。
USB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。「〇」は通常通り充電、「△」は充電されるものの低速表示、「×」は充電できないことを示します。
W数 | 充電の可否 | 検証に用いた機種 |
---|---|---|
20W | △ | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim 30W |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim 45W |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
外観
天板はカーボタンタイプとプラスチックを選択することができますが、今回はプラスチックタイプです。今までThinkPadを見てきた中で珍しい梨地になっているタイプです。指紋はあまりつきません。

背面はマグネシウム素材が使われており、少しヒンヤリします。こちらも指紋が付きづらい塗装になっています。

開いた様子です。ディスプレイは自然で非常に見やすいです。輝度も十分で快適に使うことができます。カメラは上部についており、シャッター形式で閉じることが可能です。

最大開き角は180°となっています。書類を見せながら話すのに向いています。

上部ベゼルです。上側15mm、右側10mmとなっています。

下部ベゼルです。下側13mmとなっています。

キーボードは全て独立しています。13.3インチということもありエンターキー周りはボタン類が小さくなっています。スピーカーはキーボード上になっておりステレオとなっています。

ミツトヨのデジタルノギスで2点間のキーを測定し割り返してキーピッチを算出したところ、1.6mmとなりました。また、SINWAのデップスゲージでキーストローを測定したところ、17.1mmとなっています。

タッチパッド幅を計測したところ、116mmとなりました。

パームレストは天板と同じ素材になっています。

本体右側はケンジントンロック、通気口、USB-Aがあります。

本体左側にインターフェイスが集まっており、USB-C(充電)、ドッキングステーション用のコネクタ、HDMI、USB-A、ヘッドフォンジャックの構成となっています。

本体の重量を測定したところ、1245gとなりました。

充電器込みの重量を測定したところ、1500gとなりました。充電器単体では255gとなります。

メリット・魅力
コンパクトで持ち運びしやすい
ThinkPad X13 Gen2は13インチでコンパクト。カバンの中にも入れやすく持ち運びしやすい筐体になっています。ThinkPadシリーズは14インチ以上が基本なので、押し心地とコンパクトさを両立したいなら一択と言えます。
入力性はさすがのThinkPad
ThinkPadならではのキータイピング性は健在。非常に入力しやすくタイピングをよく行う人には魅力的なPCです。
USB-PDに対応して便利
本体はUSB-PDに対応。窒化ガリウム型の充電器を活用することで電源周りをコンパクトにすることができたり、Androidやカメラ等と充電ケーブルを統一化することも可能です。
タッチパッドの質感が高くコントロールしやすい
ThinkPadはシリーズによってタッチパッドの質感が変わりますが、X13は上位モデルで質感は高め。サラサラとしており、引っ掛かりのない触り心地でマウスを使わない環境においても生産効率を上げることができます。
物理シャッター搭載でセキュリティに優れる
ThinkPad X13 Gen2のフロントカメラには物理シャッターが付属しています。PCではインカメラを使わない人も多いので、物理的に見えないようにしておくことでセキュリティを高めておくことが可能です。
5Gに対応
前モデルと異なりWWANに対応していることに加え、5Gを選択することもできるようになりました。まだデータSIMは4G LTEが主流ですが今後数年使うことを前提にすると4G LTEにはメリットが出てきます。
かなり細かくカスタマイズでき予算に合わせられる
本体のレビューとは異なりますが、ThinkPad X13 Gen2はThinkPadの中ではプロセッサ、ストレージ、WWAN対応の可否などかなり細かくカスタマイズすることができます。自分の予算に合わせて調整できるのは大きなメリットと言えるでしょう。
デメリット・欠点
Core i3モデルはスペック低めなので注意
今回検証機としてレビューしたCore i3モデルですが、シリーズの中でもスペックとしては低め。Cinebench R20で1200ptsという結果もさながら、グラフィックスはIris XeではなくUHDグラフィックスになっている点も注意してください。
Wi-Fi6Eは対応しているが現時点では恩恵が薄い
Wi-Fi6の拡張版新規格「6E」には対応しているものの、このWi-Fiを活用するためには6GHz帯に対応したルーターが必要になります。現時点ではこれに対応しているルーターはかなり高額(主にゲーミングルーターが主流)。まだ一般化していないため、恩恵を感じづらいでしょう。
コンパクトだがさほど軽くはない
ThinkPad X13 Gen2は重さが約1.2kgとなっており、昨今の13インチノートとしては普通レベルです。コンパクトではあるものの、さほど軽くは無い点に注意してください。軽さを求める場合はThinkPad X1 Nanoを検討してください。
おすすめなタイプ
たまに外にPCを持ち出す人
ThinkPad X13 Gen2はコンパクトな筐体が魅力の機種です。本体は約1.2kgなので、毎日は持ち歩かないものの時々外に持ち出す人にとってはジャストフィットするでしょう。バッテリー持続時間が長いことや、USB-PDに対応していて充電器をAndroidスマホと兼用したりできる点も優秀です。
ThinkPadの打ち心地が欲しい人
このシリーズはなんといってもキーボードの打ち心地が別格。タイピングをよくする人は一度店頭などでキーを叩いてみてその良さを実感してください。
おすすめできないタイプ
価格と軽量性を両立したい人
ThinkPad X13 Gen2は重くは無いものの、同価格帯なら他にも軽いモデルが数多く出てきています(Yoga Slim 750i Cabonなど)。軽量モデルについては、当サイトでもいくつかレビューしているので1kg以下のパソコンの項目をぜひご覧ください。
より高性能なモデルが欲しい人
ThinkPad X13 Gen2にはintelモデルとAMDモデルがあり、Gen2にはAMDのRyzen5000シリーズがラインナップされます。おそらくほぼ同価格帯でプロセッサの性能に優れたモデルが出るので性能を重視したい場合はそちらを選ぶようにしてください。
カスタマイズ・モデルの選び方
ThinkPad X13 Gen2はカスタマイズが数多くあるので悩む人が多いかと思います。予算に合わせて選ぶことが前提ですが、当サイトとしてはCore i5、256GB、WWAN無しで十分だと考えます。これ以上のモデルを選ぶとすると上位のThinkPad X1 CarbonやThinkPad X1 Nanoと変わらなくなってくるためバランスの良いラインでしょう。
実機レビューのまとめ

ThinkPad Xシリーズの中では価格的に最も手に入れやすく、そしてモバイル性に優れたノートパソコンです。本モデルは縦長のディスプレイと優れたタイピング性能を活かして効率的に作業を進めたい方に選んで欲しいモデルと言えます。
安く買う方法・コツ
ThinkPad X13 Gen2(2021年モデル)に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入前に必ずご確認ください。
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