Zen WiFi CT8レビューの概要(ポイント)
超快適なメッシュWi-FI
過去いくつかメッシュWi-Fiをレビューしてきましたが、当サイトの指標で評価したところ、最も快適な性能を得られたものがこちらのZen Wi-Fi CT8です。
メッシュWi-Fiでありながら、1700Mbpsを超える速度を持ち、さらに個別に2.4GHzと5GHzを選択できる設定になっていることで、安定して高速通信をすることが可能になっています(他機種は2.4GHzと5GHzを自動で振り分けるものが多い)。
価格はメッシュWi-Fiのためそれなりにしますが、買って損のない非常に優れたWi-Fiルーターです。
Zen WiFi CT8 実機レビュー目次
忙しい方はまず特徴をご覧ください。購入検討している人はキャンペーンを必ずお読みください。
※本製品はメーカーよりお借りしてレビューしています。
Zen WiFi CT8の特徴
ここではZen Wi-Fiの一般的な特徴について触れています。実際に使用した感想はメリット・デメリットの項目で解説しています。
シンプルで高級感のある外観
Zen WiFi CT8は高級感の溢れる外観となっています。日本メーカーのWi-Fiルーターはどうしても外観が野暮ったくなりがちなので、海外メーカーのデザインには惹かれるものがあります。
メッシュWi-FはLYNKSYS VELOPやWTR-2133HPなど白のものが多いので、逆に黒は新鮮です。また黒ですが、スピンドル加工されたメタリック調となっており、安っぽさはありません。
ASUSが発売するメッシュWi-Fi
Zen Wi-FiはASUSが発売しているメッシュWi-Fiです(ASUSでは、Ai Meshと言います)。価格帯的には定価で3万円を超えており、高級機種に該当します。メッシュWi-Fiは、LINKSYS VELOPのように同一モデルで構成することがほとんどですが、ASUSはメッシュWi-Fi機器をいくつか出しています。その一つが「Lyra Voice」でスピーカー内蔵のWi-Fiルーターです。
メッシュWi-Fiの特性を生かし、複数の機種で構成できるWi-Fiルーターは、今まであったようで実はあまりないモデルとなっています。
トライバンド構成
Zen Wi-Fi CT8は、2.4GHz、5GHzのトライバンド構成になっています。通常家庭内で使うなら、5GHzでの利用がベストですが、一本にまとめると複数のデバイスが占拠してしまう問題があります。トライバンド構成で5GHzが二本あるので、自分の環境に合わせて仕様デバイスの帯域を決めることで、例えば「ゲーム専用回線」や「仕事専用回線」を作ることも可能です。
注意点
ただし、初期設定ではトライバンド用の2本目の回線はオープンになっておらず設定をする必要があるので注意をしておかなくてはなりません。もっとトライバンドを簡単に使うならArcher C5400のように最初からオープンになっているものが良いでしょう。
Zen WiFi CT8のスペック
今回レビューしたZen WiFi CT8のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(抜粋)
発売年度 | 2020年1月 |
メーカー | ASUS |
最大受信速度 | 1733Mbps(5GHz) 400Mbps(2.4GHz) |
最大送信速度 | 記載なし |
メッシュWi-Fi | 〇 |
ビームフォーミング | 〇 |
質量 | 730g |
サイズ | 160×162×16mm |
ディスプレイ | なし |
対応規格 | a/b/g/n/ac |
最大接続台数 | 公式記載なし |
アンテナ | 内蔵6本 |
アンテナ仕様 | 2.4GHz (2×2) 5GHz-1 (2×2) 5GHz-2 (4×4) |
LANポート数 | 3本 |
USBポート数 | 1本 |
IPV6プラス | 非対応 |
推奨環境 | 公式記載なし |
※さらに詳細の仕様書は公式サイトをご覧ください。
スペックの解説
Zen Wi-Fi CT8は最大1733MbpsのメッシュWi-Fiになっています。メッシュWi-Fiは最大速度が出ない(1Gbps以下)のものが多いですが、本機種はきちんと超えており、上限値を高く使うことができます。
Wi-Fiのアンテナはトライバンド仕様になっており、2.4GHzが1つ、5GHzが2つの構成になっています。注意しておきたいのは片方が4×4であること。同じ5GHz帯でも速度が変わる恐れがあるので気を付けて下さい。
IPV6プラスには非対応となっています。
Zen WiFi CT8の外観
Zen Wi-Fiを正面から見た様子です。ASUSのロゴが控えめに入っています。
横側から見た様子です。スリットが入っています。中が見えるほどではありません。
上から見た様子です。写真では少しわかりにくいですが、ASUSの特徴であるスピンドル加工が同心円状にほどこされています。
背面のポートを見た様子です。LANケーブルのインアウト、USBの入力、DCアダプタの入力口があります。背面はシリアルナンバー等が記載されていますが、暗号化キーの記載はありません。
サイズ感を示すため定規とiPhone11 Proを並べて撮影を行いました。
続いて電源コネクタです。ASUSはWi-Fiにしても、パソコンにしてもコネクタが非常にコンパクトなので好感が持てます。
ケーブルは細く、曲がりやすい材質です。ACアダプタにありがちなケーブルが太く配線しづらい問題は感じませんでした。
Zen WiFi CT8の通信環境テスト
通信測定を行った結果を以下に示します。環境は光インターネット1Gbps、IPv6非対応。テスト用にiPhone11 Pro(Wi-Fi6対応)、AndroidはPixel4、PCはVAIO S14を用いました。なお2台目のメッシュWi-Fiは部屋1に設置しています。メッシュWi-Fiのテストは接続点によって変わるため、距離ベースではありません。あくまでも参考地として捉えて下さい。それぞれのデータはクリックで拡大することができます。
iPhone11 Proのテスト結果です。
Pixel4のテスト結果です。
VAIO SX14でのテスト結果です。
わかりやすくするために最短距離と最長距離のダウンロード速度を比較したものを表にしました。ここでのルーターはモデムと直結したルーターを指しています。
最短距離 ルーター前 |
最長距離 2F対角の部屋 |
|
iPhone 11 Pro | 106 Mbps | 154 Mbps |
Pixel4 | 26.7 Mbps | 25.4 Mbps |
VAIO SX14 | 132 Mbps | 186 Mbps |
また、これに加えて最長距離の場所にあるデスクトップPCで通信テストを意図的に2Fのノードに繋いだ状態でテストをしたところ、150Mbpsを超える結果が得られました。過去テストをしてきた中でこれほどの速度が出たのは初めてです。当サイトでは過去LINKSYS VELOPとWTR-M2133HPのレビューを行いましたが、比べ物になりません。おそらく理由は、メッシュWi-Fiでかつ5GHzを優先的に選択できるからです。VELOPにせよ、WTR-M2133HPにせよどちらも2.4GHzと5GHzのバンドステアリング機能となっているので、2.4GHzを選択されると速度が低下してしまう傾向にあります。一方、Zen Wi-Fiにはバンドステアリング機能がない分、優先的に5GHzを使えることが有利に働いていると考えられます。
Zen WiFi CT8のメリット・長所
5GHzを優先的に掴めて速い
Zen Wi-Fi CT8は、バンドステアリング機能がなく、5GHzと2.4GHzを選択できるWi-Fiルーターです。家の中でしか使わないなら、5GHzを優先的に設定するだけで電波影響を受けずに快適に使うことができます。他のメッシュWi-Fiはバンドステアリング機能が邪魔して速度が落ちるので、CT8の大きなメリットと言えます。
長距離利用でも速度がほぼ落ちない
5GHz帯を設定して使えることに加え、メッシュWi-Fiならではの性能を活かし、長距離でもほとんど速度が落ちないホームネットワーク構成を作ることができます。当サイトの計測でも最長距離で200Mbpsを超える速度が出たのは初めてでした。
設定がとても簡単
メッシュWi-Fiの問題点として、大元のルーターに加えて、ノードを配置しないといけない問題(面倒さ)がありますが、このASUSのメッシュWi-Fiは設定がとても簡単。「192.168.1.1」にアクセスして、ノードを近くに置き、パスワードを設定するだけで設定が完了します。過去のWTR-M2133HPやVELOPはどちらも設定までに10分ほどかかりましたが、Zen Wi-Fiはノードの設定も含めて、スマホで2,3分で終わるほど簡単です。
高級感のある筐体
Wi-Fiルーターは目に付くところに置くものではなかったため、安っぽさが目立つものが多いですが、このZen Wi-Fi CT8は高級感があって、魅力的な一台です。
Zen Wi-FiのブラウザUIが優れている
Zen Wi-Fi CT8のadmin側の設定画面がとても使いやすく優れています。ネットワークの設定変更からゲストネットワークの設定、デバイスごとのネット接続時間の設定なども直観的に操作可能です。
ネットワークの設定だけでなく、子供が利用する時間帯などをスマホではなく、Wi-Fi側で止めることができるので、LTEに依存しない機器(例えばゲーム)はブラウザUI側で簡単にコントロールすることが可能です。
Zen WiFi CT8のデメリット・欠点
2本目の5GHzは設定が必要
Zen Wi-Fi CT8はトライバンドを売りにしていますが、標準ではトライバンドの二本目はメッシュWi-Fiの調整用として働くもので最初からオンにはなっていません。2本目の5GHz帯を使うためには事前にブラウザ上で設定を行う必要があります。
背面に暗号化パスがあるタイプではない
初心者向けのWi-Fiルーターと玄人向けの一番の違いは、背面にSSIDの暗号化パスワードが記載されているかどうかだと思っています。本機種の場合は、LANケーブルを挿した後パスワード等の設定が必要なタイプです。そのため、簡単に使いたい!という初心者にはこの機種は向きません。
みんなの口コミ
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非常に優れたメッシュWi-Fiルーターです。過去使ってきた中でも操作、設定が簡単な上、スピードが安定して出る機器になっています。
Zen WiFi CT8がおすすめな人
戸建て利用の人
私自身がそうですが、Wi-Fiルーターと接続環境が遠い場合はメッシュWi-Fiは強力に働いてくれます。一般的な中継器と違い、接続がシームレスなので部屋の移動でも電波が途切れることもありません。戸建て利用で家の端から端まで利用するような使い方をする人にはメッシュWi-Fi機能を持つZenWi-Fiは非常におすすめです。しかも、テストでも書いたように5GHzを優先的に選択し、かなり速いスピードで使えるので快適にネットを使いたい人の助けになります。
継続的にメッシュWi-Fiを導入したい人
ASUSのメッシュWi-Fiは、すでに何機種も出ておりそれぞれがAi Meshとして繋げれられる仕組みが整っています。他のメーカーの場合は意外にこう上手くいきません(LINKSYSやBaffaloの製品は、メッシュWi-Fiをワンセットとして発売されているからです)。しかし、ASUSのメッシュWi-FiはLyra Voiceの他にもすでにいくつかのメッシュWi-Fiを発売しておりそれらを繋ぐことができます。つまり、継続的に環境改善できるうえ、Wi-Fiの追加になるので家の中の電波環境が安定する方向になります。家が広い、コンクリート壁が多いなど電波環境が不利になりやすい状況において、メッシュWi-Fiを継続的に使う可能性が高いので、ASUSの商品ラインナップはそういった人にとって有利に働くでしょう。
メッシュWi-Fiで高速通信を求める人
2020/3/9時点でメッシュWi-Fiで1Gbps以上の高速通信できるモデルは数が少なくなっています。Wi-Fi6でメッシュWi-Fiに対応したモデル「Orbi WiFi6」がありますが、高価格です。
同じようにLINKSYS MX5300がありますがこちらも高いです。
Zen Wi-Fiはそもそも1733Mbpsの通信に対応しており、高速通信が可能です。現実的にWi-Fi6に対応している機器はiPhone 11 Proや高級パソコンくらいなので受け手側にも価格メリットがでてきません。また、ASUSのAi Meshを使えば一部のWi-FiルーターをWi-Fi6に対応したものに変更することもできるので、一部でWi-Fi6環境を作ることもできます。そのため、高速通信を一旦Zen Wi-Fiで作り、Wi-Fi6に対応したければ追加する、という使い方ができるため、高速通信をしたい人でかつコスパを求めるなら良い選択肢となりえます。
Zen WiFi CT8をおすすめできない人
1LDK以下の人
1LDK以下の人にはそもそもメッシュWi-Fi自体がおすすめできません。この価格を出すなら、速度に振った高性能Wi-Fiルーターを購入するべきです。たとえば、WRC-X3000GSのような機種を選べば、より低価格で良い環境を作ることができます。
トライバンドを活用したい人
Zen Wi-Fi CT8はトライバンド構成ですが、2本目の5GHzはもともとオープンではなく、メッシュWi-Fiのノード選択用に用いられています。
もちろんオープンにすることも可能ですが、2本目の5GHzはアンテナ数が2×2なので、1本目に比べると性能が落ちます。これを考えると、メッシュWi-Fiではないルーターでトライバンドを売りにしている機種を購入するほうが、本来の「トライバンドでデバイスを分けたい」という要望には応えやすいと考えます。
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