Archer AX90レビューの概要(ポイント)
格安なのに強力なWi-Fiルーター
8ストリーム対応で多くのデバイスそれぞれに電波を届けることができ、さらに6600Mbpsの通信速度(ベストエフォート)で使えるWi-Fiルーターです。大柄な見た目通り、家の中の隅々まで電波を行き渡らせることができます。また、2.5GbpsのWANを持っているため、一般的に搭載されている1Gbps以上の通信速度で接続することができます。
ただし、IPv6プラス(IPoE)には非対応で、もしIPoEを使う場合はルーターを間に挟む必要があるため注意が必要です。
簡易スペック表
発売日 | 2021年2月25日 |
受信最大速度 | 6600 Mbps |
本検証での 最大受信速度 | 599 Mbps |
メーカー | TP-Link |
推奨環境 | 3階建て、5LDK |
※公式スペック表はこちら。
Archer AX90 実機レビュー目次
忙しい方はまず特徴をご覧ください。購入検討している人はキャンペーンを必ずお読みください。
※本製品はTP-Link社より提供を受けてレビューしています。なお記事内容に関する指示は一切受けておりません。
Archer AX90の特徴
ここではArcher AX90の一般的な特徴について書いています。もし、主観的な使用感を知りたい場合はメリット・デメリットの項目からご覧ください。
合計6600Mbpsの8ストリーム通信
Archer AX90はシリーズの中でも非常に通信速度が速く、4.8Gbps、1.2Gbps、574Mbpsの組み合わせで電波を飛ばすことができる8ストリーム設計になっています。しかも、トライバンド構成(5GHz×2本、2.4GHz×1本)という形になっているため、電波の影響を受けにくい5GHzをうまく割り当てることでデバイスごとに帯域制御しないような通信制御が可能です。
強力な無線能力とOneMesh
Archer AX90では見た目のからも推察できるように、強力な無線能力を持ち、5LDK、3階建てをカバーできる能力があります。無線が強力なだけでなく、本機種はOneMeshにも対応しているため、届きにくい距離をメッシュWi-Fi対応の中継機を用いることでより効率的に接続できます。
WPA3で高セキュリティ
TP-Linkの製品全てに言えることでもありますが、多くの機種がよりセキュリティの高い「WPA3」を使えるようになっています。特にユーザー側で意識する必要なく、高セキュリティ設定に切り替えることができるので大きなメリットと言えます。
Archer AX90のスペック
今回レビューしたArcher AX90のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(抜粋)
発売日 | 2021年2月25日 |
メーカー | TP-Link |
最大受信速度 | 4804 Mbps(5GHz) 1201 Mbps(5GHz) 574 Mbps(2.4GHz) |
最大送信速度 | 記載なし |
メッシュWi-Fi | 〇 |
ビームフォーミング | 〇 |
質量(実測) | 890 g |
サイズ | 311×207×174mm |
ディスプレイ | なし |
対応規格 | a/b/g/n/ac/ax |
最大接続台数 | 100 台 |
アンテナ | 8本 |
アンテナ仕様 | 公式記載なし |
LANポート数 | 3本 |
USBポート数 | 1本 |
IPv6プラス | 非対応 |
推奨環境 | 3階建て、5LDK |
※さらに詳細の仕様書は公式サイトをご覧ください。
スペックの解説
高価格帯のWi-Fiルーターということもあり、スペックは非常に充実しています。特にトライバンドに対応、8ストリーム、100台接続可能という点で考えれば一般利用で問題になることはまずないでしょう。ただし、IPv6プラスには非対応となっているため対応した光回線を引いている人にとっては別のルーターを選択するか、IPv6プラス対応のルーターを間に挟む必要がある点に注意してください。
Archer AX90の外観
Archer AX90を前面から見た様子です。アンテナのインパクトが大きい筐体です。
上側から見た様子です。センターのみ一部光沢となっています。
背面です。メッシュ構造となっており壁掛け穴が2つあります。
背面です。LANポートは3つ、WANポートは2.5Gbpsと1Gbpsの2種類を備えています。さらにUSBポートがあります。
付属品です。付属のLANケーブルはカテゴリー5Eとなっていました。
Archer AX90の通信スピードテスト
Archer AX90の通信テストを行いました。環境はベストエフォート1Gbps(eo光)で、IPv6の対応環境(一戸建て)です。電波干渉の影響を避けるため、5GHzの2バンド固定にしつつ、さらにIPv6に接続してテストを行っています。
iPhoneでのテスト
iPhone12 Proのテスト結果です。全ての部屋において50Mbps以上の数値が得られており、最高で563Mbpsとなっています。PINGがどの部屋でも短く、1桁台になっている点が魅力です。ただし、速度のブレが大きいと感じました。
Androidでのテスト
Android(P30)のテスト結果です。どの部屋でも快適な速度が得られていますが、やはりバラつきが大きい印象です。iPhone同様にPINGは小さくレスポンスが良い数値が出ています。
以下全てクリックで拡大して見ることができます。
MacBookでのテスト
MacBook Pro(M1)のテスト結果です。ダウンロード速度は200Mbpsを超えてはいるものの、MacBook Pro(M1)モデルではPINGの結果がブレる結果となりました。場所によっては100ms以上遅れるところもあり遅延を体感で感じます。MacBook Pro M1ユーザーにはおすすめできません。
以下全てクリックで拡大して見ることができます。
Archer AX90のメリット・長所
強力な電波でカバー範囲が非常に広い
Archer AX90は見た目の通り、強力なアンテナを持ちカバー範囲が広いことが特徴です。そのため、今回検証した一戸建ての家ではほぼ全てをカバーしてくれる実力を持っています。One Meshを使って、メッシュWi-Fiで範囲を広げることは可能ですが、おそらくよっぽどの人でないと使う必要がないくらい一台でのカバー率が高いです。
PING数値がトップクラス
ベンチマークテストの結果からもわかるように、iPhone及びAndroidで行った通信速度テストでPING値が1桁台とトップクラスの数値を叩き出しています。オンラインゲームなどレスポンスを求める場合に向いています。
USBポートでNAS化が可能
Archer AX90にはUSBポートが付属しているため、簡易的にルーター自体をNAS化することができます。もちろん転送先は別途用意が必要ですが、ポートがあること自体が魅力的と言えます。
壁掛けができる
大柄な筐体のため見た目のインパクトが強い本機ですが、壁掛けで利用することができるため上手く使えばテレビの後ろやモノの影に隠すことができます。大きな筐体の割には本体重量は軽いので壁掛けに向いています。
Archer AX90のデメリット・欠点
迫力がありすぎるデザイン
本体デザインのインパクトがありすぎるため、そのまま置くことを考えると人によっては好みが分かれる印象です。メリットでも書いたように壁掛け利用ができるため、上手く隠せるように配置すると良いでしょう。
IPoEに非対応
本体はIPoE(IPv6プラス)に非対応となっています。使いたい場合は、専用のIPv6用のルーターを通すか、プロバイダから支給されるルーターを通して利用することになります。
メッシュWi-Fiに比べると不安定
Archer AX90は強力な無線強度を持ちますが、今回テストしたように一台から拡散するタイプのWi-Fiルーターのため、複数台でカバーするメッシュWi-Fiと比較すると不安定になりがちです。
みんなの口コミ
ぜひ口コミをご投稿ください。速度測定結果も募集しています。
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強力なアンテナで8ストリーム通信ができるトライバンド型のWi-Fiルーターなので、接続機器が多い人におすすめ。特にゲームなどで専用回線を開きたい人はトライバンドをスマートコネクトではなく、独立したSSIDを設定して接続することでより安定した利用が可能になります。多機能かつ電波も強力で優れているのですが、IPv6プラスに対応していない点が残念です。
Archer AX90がおすすめな人
一台で完結したい人
Archer AX90は他よりも強力なアンテナ強度を持つため、一台で完結したい人におすすめです。アンテナの広さでいえば、メッシュWi-Fiを活用すれば広げることができますが、その分当然コストは上昇します。一台で出来る限り広い範囲をカバーしたい人にはArcher AX90は有用な選択肢となります。
デバイスを複数使う人
Archer AX90はストリーム数が8となっています。ストリーム数が多いほど複数デバイスで通信した時の速度低下影響は小さくなるため、家族で複数のデバイスを同時起動している人にはおすすめです。また、トライバンド構成のため、1本の5GHzをゲーム専用、それ以外をスマホやパソコン用などいったデバイスコントロールできる点も魅力と言えます。
オンラインゲームをより快適に使いたい人
これまで当サイトで計測してきたルーターの中でもPING値がトップクラスのデータとなっています。そのため、オンラインゲームをしたい人にとってはレスポンスの面で有利です。またトライバンドをスマートコネクタせずに、各デバイスごとに割り当て設定行うことでデバイスの優先度を高めることができます(スマートフォンのアプリから簡単に設定できます)。
メインで使う部屋が決まっている人
広範囲でつかることがウリのArcher AX90ですが、筆者が思うに最も恩恵を受けられるのはWi-Fiルーターと同じ部屋でデバイスを使う人です。強力な電波を直接受けることでより快適な通信速度を得ることができます。
Archer AX90をおすすめできない人
インテリアとしてデザインにこだわる人
Archer AX90は性能は優れていますが、本体に迫力があります。アンテナ強度を上げたり、その他の機能を充実されるためにしょうがない部分ではありますが、見えるところに置かざるを得ない人にとってはインテリアの面でマイナスになる可能性が高いです。その場合は、複数個置いてアンテナを強化できるDeco X60の利用をおすすめします。
ユーザーが部屋でばらけている人
今回テストしたように、速度はそれなりに出ているもの、部屋ごとの速度のバラつきが気になりました。何人かのユーザーがそれぞれの部屋で使う想定ならば、メッシュWi-Fiの追加を検討した方が良さそうです。
MacBook Pro(M1)ユーザー
iPhone 12 Pro及びP30では安定した速度が得られていましたが、MacBook Pro(M1)では不安定な結果となりました。特にPING値が遅くストレスがたまるほど、ルーター側の設定は固定しているためMacBook側、もしくはネット側に設定の問題があるかもしれませんが、当サイトの結果からはおすすめできません。もし広範囲カバーで同メーカーの製品を求めているなら、Deco X60を選びましょう。こちらもテストしていますが、MacBookで優れた結果が得られています。
Archer AX90の実機レビューまとめ
超広範囲で使えるWi-Fiルーター
結論
Archer AX90は見た目通りの強力なアンテナで家じゅう隅々まで電波を飛ばしてくれるWi-Fiルーターです。電波強度だけでなく、2.5Gbpsポートが付いておりNASなどのインターネット環境の構築にも便利なモデルとなっています。
5LDK、三階建てなどでメッシュWi-Fiを使わずに「一台でネット環境を構築したい」人にとっては良い選択肢と言えるでしょう。
またベンチマーク結果より、PINGの数値が良かったためリアルタイム対戦のようなオンラインゲームをする人にも向いています。