後継モデルについて
新モデルも評価を行っています。後継機種の実機レビューも合わせてご覧ください。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のレビュー概要
作業効率に優れた理想的な14インチ
ThinkPad X1 Carbon Gen9はこれまでのモデルと同様に作業効率の高い14インチノートパソコンです。大きめの画面にも関わらず軽量で持ち運びがしやすく、優れたキータイピング性かつ豊富なインターフェイスを持つ一台。
さらに2021年モデルになって、集音マイクが4つへ強化されたことによってテレワークにも強みを持つPCとなっています。
外出が多いビジネスパーソンはもちろんのこと、ノートパソコン中心でタイピング作業が多い人には強い味方になってくれる一台と言えるでしょう。
簡易スペック表
発売日 | 2021年3月23日 |
CPU | Core i5-1135G7 Core i7-1165G7 |
RAM | 8~32GB |
ストレージ | 256GB~2TB |
画面サイズ | 14インチ |
GPU | Iris Xe グラフィックス |
USB-PD | 対応 |
無線通信 | LTE・5G対応 |
MSオフィス | 選択可能 |
重量 | 1145g |
Cinebench R20 | 1769pts |
※詳細スペックはこちら。その他性能は目次よりベンチマーク結果をご覧ください
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の目次
実際に使った感想(主観)はメリット・デメリットからご覧いただけるとわかりやすくなっています。購入を悩んでいる場合はおすすめかどうかをチェックください。
※本記事ではメーカーより貸出を受けて、テストを行っています。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の特徴
ここではThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の一般的な特徴について解説しています。実際に筆者が使った感想、レビューについてはメリット・デメリットの項目をご覧ください。
過去モデルを踏襲した正当進化モデル
ThinkPad X1 Carbon Gen9は名前の通り、第9代目となるモデルです。本モデルもこれまで同様に基本コンセプトを変えずにプロセッサの進化を中心に正当進化したモデルとなっています。
14インチで1kg台
ThinkPad X1 Carbonの最大の特徴はカーボンの名前の通り、14インチで1.13kgと非常に軽量なことにあります。また次でも書いていますが、このモデルは生産性を欠くことなく軽量化を実現している点が特徴。外出先でのPC作業の強い味方になってくれます。
生産性の高いキーボード
どのもメーカーでも軽量モデルは剛性が低かったり、キーストロークが薄かったりしますがThinkPad X1 Carbonではしっかりとした打鍵感を持つ素晴らしいキーボードになっています。タイピングが多い仕事をするなら非常に魅力的となるでしょう。
LTE・5G通信にも対応
過去モデルからLTEには対応していましたが、2021年モデルで5Gにも対応しました。外出先でストレスフリーにインターネット接続が可能になります。
集音マイクが変更に
目立ちませんが、大きな仕様変更として集音マイクがディスプレイトップの4つ配置される設計に変更されています。オンライン会議中に自分だけでなく、他の人の声を聞き取りやすくなるようなアップデートとなっています。
ヒンジとファンが変更に
Gen9モデルからヒンジ部分がより高めに、さらにファンが強化されており背面から見えるようになっています。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の価格とコストパフォーマンス
ThinkPad X1 Carbon Geb9の価格設定は2021年6月26日時点ではプロセッサの視点から考えると高めとなっています。似たコンセプトで同メーカーから、Yoga Slim 750i Carbonという機種が出ていますが、こちらも同様に1kg台でありながら、価格はさらに控えめ。
ただし、ThinkPad X1 Carbonにはキーボード、及びLTE・5G通信の点でメリットがあるのでそこをどう捉えるかどうかと言えるでしょう。また、例年長期間販売されるため場合によっては型落ちの前モデルも検討しておくと良いでしょう。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のスペック
今回レビューしたThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売日(月) | 2021年3月23日 | |
製品名 | ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル) | |
型式 | - | |
サイズ | 221.6×314.5×14.9mm | |
重量(実測) | 本体 | 1145g |
電源アダプタ | 300g | |
CPU | Core i7-1185G7 | |
GPU | Iris Xe グラフィックス | |
メモリ(RAM) | 16GB(デュアル) | |
ストレージ | 1st | 256GB |
2nd | - | |
ディスプレイ | サイズ | 14インチ |
解像度 | 1920×1080インチ | |
形式 | 液晶 | |
リフレッシュレート | 記載なし | |
生体認証 | 指紋 | 有り |
顔認証 | 無し | |
フロントカメラ | 画素数 | 720p |
物理シャッター | 有り | |
リヤカメラ | 画素数 | 無し |
Wi-Fi | a/b/g/n/ac/ax | |
bluetooth | 5 | |
LTEモジュール | 対応の可否 | 搭載 |
SIMカードサイズ | nanoSIM | |
光学ドライブ | 非搭載 | |
バッテリー | サイズ | 4セル |
公称値 | 26時間時間 |
※レビュー機種以外やカスタマイズ内容などの詳細スペックはこちらからご覧ください。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のベンチマーク
CINEBENCH R20
CINEBENCH R20の測定値は1769pts、シングルコア416ptsという結果になりました(パフォーマンスモードで測定)。他機種のデータについてはCINEBENCHの結果一覧をご覧ください。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23の測定値は1103pts、シングルコア1103ptsという結果になりました。他機種のデータについてはCINEBENCHの結果一覧をご覧ください。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Markの測定結果は以下の通りです。3400MB/sを超えておりノートパソコンとしては非常に高性能です。
ゲームベンチマーク
FF14
FF14ではベンチマークが回らなかったためデータ測定できておりません。
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果は、FF15のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
最高品質 | 未計測 | 未計測 |
高品質 | 未計測 | 未計測 |
軽量品質 | 2615 | とても快適 |
CPU-Z
CPU-Zでの検証は以下の通りです。クリックで拡大することができます。
騒音テスト
騒音に関する評価は以下の通りです。
モード | スコア |
通常時 | 通常利用時はほぼファン音はなし |
Cinebench R23 | ファンが回っている音が聞こえる |
FF15 | かなり熱くなりファンが激しく回る |
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のモニター評価(色域・トーンカーブ)
モニターの評価結果は以下の通りです。sRGBカバー率100%でAdobeカバー率は83%となっています。ディスプレイの色域をアピールをしているわけではありませんが、比較的優秀な色域の広さを持っています。
トーンカーブの評価結果は以下の通りです。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の通信環境(WI-Fi)のテスト
測定環境
Wi-Fiの通信環境テストを行いました。テスト環境は光1Gbps(IPv6対応)でWi-FiにはArcher 10 Proを用いました。テスト環境は以下の通りで戸建て環境の1階、及び2階で測定を行っています。幅方向約10.5m、奥行き方向8.2mの環境です。
検証結果
スピードテストを行った結果です。ポイント⑥になるほど実質的な距離が大きくなります。
ダウンロード数値比較
アップロード、PING、ジッターを計測した数値を表にまとめています。
測定項目 | ダウンロード | アップロード | PING |
単位 | Mbps | Mbps | ms |
ルーター前 | 652.39 | 436.7 | 8 |
ポイント② | 385.78 | 288.27 | 7 |
ポイント③ | 644.49 | 393.44 | 7 |
ポイント④ | 480.19 | 384.47 | 8 |
ポイント⑤ | 261.08 | 291.6 | 8 |
ポイント⑥ | 192.81 | 105.43 | 8 |
通信スピードテストの評価
Wi-Fiルーター前で600Mbpsを超える速度が出ており、非常に高性能です。長距離離れた環境では1/3にスピードが低下していますが、PINGの悪化も見られません。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のUSB-C(PD)による充電テスト
USB-Cの充電テストを行いました。20Wでは充電不可、30Wでは低速表示が出ますが、それ以上では通常通りの充電が可能になっています。付属の充電器のW数に準拠しているようです。また検証で用いたLGディスプレイでは低速充電かつ画面拡張が可能という結果になりました。
USB-PD | 充電の可否 | 検証した充電器 |
20W | × | PowerPort Ⅲ Nano |
30W | △ | PowerPort Atom Ⅲ Slim |
45W | 〇 | PowerPort Atom Ⅲ Slim |
61W | 〇 | RP-PC133 |
100W | 〇 | AUKEY PA-B7 |
LG 29UM69G-B | △ | LG 29UM69G-B |
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)の外観
天板は今までのThinkPad X1 carbonを踏襲したモデルになっており、ThinkPad X1のロゴ、そしてLenovoのプレートが埋め込まれています。
背面はセンターに小さな通気口が空いたタイプになっており、ファンが見えます。背面のゴム足は高めに設計されており、背面と設置面の空間が開くようになっています。
前モデルよりもゴム脚が高いものに変更されています。
開いた様子です。ベゼル幅は広い訳ではありませんが、ThinkPad X1 Carbonは大きくモデルチェンジしていないため、古さを少し感じます。フロントカメラは本体上部に設置されており、物理シャッターを備えています。
ディスプレイは180°まで開くことが可能です。
上部ベゼルです。
下部ベゼルです。
キーボード全体です。キーボードが刷新されておりキーの形状が変わっています。ThinkPad X1 Nanoと同じものが使われているようです。また電源ボタンは指紋認証と兼用されておりパームレストがスッキリする形となりました(以下は指紋認証シールを剥がしていません)。
キーピッチは18.64mmとなりました。また、デップスゲージでキーストロークを測定したところ、1.5mmとなっています。
タッチパッド幅を計測したところ、110mmとなりました。
本体右側にはケンジントンロック、USB-A、ヘッドフォンジャックがあります。
本体左側はUSB-Cが2つとUSB-A、そしてフルサイズHDMIがあります。
スピーカーは背面に2基、そしてキーボード側に2基搭載されています。
本体の重量を測定したところ、1145gとなりました。
充電器込みの重量を測定したところ、1445gとなりました。充電器単体では300gとなります。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のメリット・魅力
プロセッサパワーがアップ
ThinkPad X1 Carbon Gen9では例年通りプロセッサが更新され、第11世代となりました。Cinebench R20のスコアは第10世代のintel Core i7プロセッサと大きく変わっていませんが、グラフィックス性能が向上しています。
スピーカー音質が良い
本モデルでは底面スピーカー、及びキーボード上スピーカーを備えており、ノートパソコンとしては比較的良好な音質となっています。仕事用だけでなく、たまにYouTubeを見たりする場合にも適しています。
サラサラのタッチパッドで入力性が高い
あまり知られていないことですが、ThinkPadシリーズは上位モデルと下位モデルでタッチパッドの入力性が異なります。上位モデルの方がサラサラとした質感になっており、淀みなくスムーズに入力できるメリットがあります。
入力インターフェイスが多い
ThinkPad X1シリーズの上位モデルにはThinkPad X1 Nanoがありますが、それと比較してインターフェイスが多めになっており、どんな環境でも対応しやすいPCと言えるでしょう。
色域が広め
ベンチマーク結果でも書いているようにsRGBカバー率100%でAdobe RGBカバー率も高めです。本格的なクリエイターパソコンには敵いませんが、色域が広いことは間違いなくメリットです。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)のデメリット・欠点
キーボードが変更されたため好みが分かれるかも
ThinkPad X1 Carbonは正当進化モデルのためほとんど変わりませんが、Gen9で大きく変わったのがキーボードです。ThinkPad X1 Nanoと同じものが使われているようですが、キーストロークはあるもののキー表面がフラットな形状に変更されています。これまでThinkPad X1 Carbonユーザーだった人は違和感を感じると思います。一方、これから使う人はあまり気にしなくても良いでしょう。
マルチタッチモデルは充電器容量がアップするので注意
ThinkPad X1 Carbon Gen9では非光沢ディスプレイのモデルとタッチパネルに対応したモデルの2種類が存在します。通常モデルは45W、マルチタッチモデルでは65Wとなります。弱点という訳ではありませんが、より持ち物を減らしたい場合は通常モデルを選択する方が良いでしょう。
みんなの口コミ
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2021年モデルもこれまでの特徴をしっかりと受けついだ一台になっています。ただし、キーの設計が変わっているので過去モデルからの乗り換えをする人にとっては少し違和感があるかもしれません(ストローク深めな点は変わりませんがキートップ形状がフラットに)。個人的には細かな変更点はあるもののそろそろデザイン刷新して欲しいなと感じました。
女性目線の口コミ
普段、Let's NoteのSZシリーズを使っている妻からコメントをもらいました。ライトユーザーとしての一意見として捉えて頂ければと思います。
女性目線のコメント
- 軽くて持ち運びしやすい
- タッチパッドが使いやすい
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)がおすすめな人
ThinkPad X1 Carbonの買い替えに
本モデルはGen9の名前の通り、数多く出ています。そのため、過去モデルから買い替えを検討している人もいるでしょう。今回キーボードが変わった点はあるもののその他においては正当進化モデルであり、買い替えの候補としてあげておくと良いでしょう。
外出先での入力作業が多い人
ThinkPad X1 Carbonのキーボード入力性はピカイチです。そのため、外出先で書類作成、メールを見たりするような作業が多い人にはうってつけと言えるでしょう。
ThinkPad X1 Carbon(Gen9・2021年モデル)がおすすめではないタイプ
軽量性と価格を重視したい人
ThinkPad X1 Carbon Gen9は同メーカーの中でも最上位クラスに位置するノートパソコンのため、強気設定の価格です。一方、軽量モデルという意味合いなら、Yoga Slim 750i Carbonがより低価格で購入できます。
また、集音マイクや最新プロセッサに拘らないなら前モデルを検討しておくことで、より低価格での購入ができるでしょう(時期によって、前モデルとの価格が逆転することもあるので価格差は必ず比較してください)。
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