Deco X20レビューの概要(ポイント)
Wi-Fi6対応の簡単メッシュルーター
Deco X20はTP-Linkから発売されているWi-Fi6対応のメッシュWi-Fiルーターです。これまで、メッシュWi-Fiに対応しているものは各社で出ていましたが、ほとんどがWi-Fi5までの規格に対応、もし仮に6に対応していていも高額でしたが、Deco X20では低価格帯で発売したゲームチェンジャー的存在です。
当サイトでは、iPhone、Android、MacBook(M1)などで1戸建て環境にて検証を行っていますが、どれも快適な通信環境が得られています。また初心者でも使いやすいアプリは隠れたウリで性能云々よりもこれだけで選ぶ価値があるほど。
高機能なルーターですが初心者でも使いやすい設計がされています。また家庭の環境に合わせて増やすフレキシブルな利用が可能なため、どんな人にもおすすめです。
簡易スペック表
発売月 | 2020年6月25日 |
受信最大速度 | 1201Mbps(5GHz) 574Mbps(2.4GHz) |
本検証での 最大受信速度 | 513Mbps |
メーカー | TP-Link |
推奨環境 | ルーターの個数による |
※詳細スペックはこちら
Deco X20 実機レビュー目次
実際に使った感想はメリット・デメリットからお読みください。iPhone、Android、MacBookを用いて通信テストも行っています。
※本レビューはメーカーより提供をうけレビューしています。なお内容の指示は一切受けておりません。
本機種の後継に当たるモデルのレビューも行っています。以下の記事から合わせてご覧ください。
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TP-Link Deco X60の実機レビュー
Wi-Fi6対応のメッシュWi-Fiで3000Mbpsクラスに対応している最速クラスのルーターでありながら、コストパフォーマンスが非常に高い機種で当サイトでも高評価な一台です。
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Deco X20の特徴
ここではDeco X20の一般的な特徴について触れています。音質を含め、実際に使用した感想はメリット・デメリットの項目で解説しています。
Wi-Fi6対応のメッシュルーター
Deco X20は新しい規格であるWi-Fi6に対応したメッシュWi-Fiルーターです。iPhone12や新しいMacBook Air(M1)などもWi-Fi6などに対応してきていることもあり、新しい規格であるものの段々となじみが出てきている基準とも言えます。
機能性を考えると非常に高いコスパ
2019年から2020年にかけてWi-FiルーターはWi-Fi6に対応したモデルが数多く出てきていますが、どれも価格が高いものが中心でした。このDeco X20の素晴らしいところはそれに加えて価格をしっかりと抑え、一般の人でも手に入れやすい価格にしていること。1から3個までの組み合わせで自分の家に合わせて選ぶことができ、予算が組みやすいメリットもあります(さらに追加することも可能です)。
Decoシリーズでの追加構成が可能
Deco X20シリーズではメッシュWi-Fi構成をより強化するために、シリーズのアイテムを使ってメッシュWi-Fiを強くすることができます。例えば、無線の利用だけでなく内蔵イーサネットコネクタを利用してデスクトップパソコンに直付けで利用することも可能です。
バンドステアリングによる手軽さ
これは利点と欠点がありますが、Deco X20ではバンドステアリング機構により、一つのSSIDで管理することが可能です(もちろんバンドステアリングを使わずに5GHz周波数帯を利用するなどの設定もアプリから簡単に行えます)。バンドステアリングがない機種はルーターに2つのIDが割り振られ、初心者にとってはややこしくなります。
Deco X20のスペック
今回レビューしたDeco X20のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(抜粋)
発売日 | 2020年6月25日 |
メーカー | TP-Link |
最大受信速度 | 1201Mbps(5GHz) 574Mbps(2.4GHz) |
最大送信速度 | 記載なし |
メッシュWi-Fi | 〇 |
ビームフォーミング | 〇 |
質量 | 585g |
サイズ | 110×110×114mm |
ディスプレイ | なし |
対応規格 | a/b/g/n/ac/ax |
最大接続台数 | 150台 |
アンテナ | 4本(外部アンテナなし) |
アンテナ仕様 | 公式記載なし |
LANポート数 | 2本 |
USBポート数 | 0本 |
IPV6プラス | 非対応 |
推奨環境 | 台数によって変化 |
※さらに詳細の仕様書は公式サイトをご覧ください。
スペックの解説
Deco X20の最大の特徴はなんといっても速度です。これまでのメッシュWi-Fiルーターのほとんどが800Mbpps台が基本だったところを1200Mbpsクラスまで引き上げています。また、最大接続台数は非常に多い150台。スマートフォン、パソコン、テレビなどだけでなくスマートホームとして数多くの機器を接続している場合でも余裕のある設計が可能です。
Deco X20の外観
円形の凹凸のない非常にシンプルな外観です。アンテナがないためリビングにおいても違和感の出にくいデザインと言えます。
背面です。電源コネクタとイーサネットコネクタが2本あります。
コンセントアダプタです。大きく厚みのあるデザインです。横側に長いためタコ足配線では横のコンセントを潰してしまう恐れがあります。
手に持った様子です。
Deco X20には親子で機種が分かれておらず、全て同じ機械・デザインとなっています。追加しても違和感を感じにくいでしょう。
本体パッケージです。
Deco X20の通信環境テスト
通信測定を行った結果を以下に示します。環境は光インターネット1Gbps、IPv6非対応。テスト用にiPhone12 Pro(Wi-Fi6対応)、AndroidはP30、PCはMacBook Pro M1を用いました。また今回のテストでは、電波干渉をうけないようにするため、バンドステアリングを解除し、5GHzに固定して行っています。
iPhoneでのテスト
iPhone12 Proのテスト結果です。以下全てクリックで拡大して見ることができます。
1台接続
2台接続
3台接続
ダウンロード速度の比較です。ダウンロード速度はなぜか3台接続の方が落ちてしまっています。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 179Mbps | 75.8Mbps |
2台接続 | 131Mbps | 36.6Mbps |
3台接続 | 126Mbps | 41.8Mbps |
アップロード速度の比較です。台数が増えるほど、最長距離である部屋2が安定するようになっています。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 134Mbps | 65.0Mbps |
2台接続 | 214Mbps | 101Mbps |
3台接続 | 103Mbps | 165Mbps |
ジッター速度の比較です。ジッター速度は2台接続時から明らかに速度が良くなっていることが分かりました。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 0.72ms | 76ms |
2台接続 | 0.87ms | 1.9ms |
3台接続 | 0.7ms | 2.8ms |
Androidでのテスト
Android、P30のテスト結果です。以下全てクリックで拡大して見ることができます。
1台接続
2台接続
3台接続
ダウンロード速度の比較です。最短距離では減衰率が35%ですが、最長距離では66.7%までしか減衰していません。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 179Mbps | 63.1Mbps |
2台接続 | 134Mbps | 36.9Mbps |
3台接続 | 123Mbps | 82.1Mbps |
アップロード速度の比較です。3台接続時にアップロード速度が大幅に高速化しています。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 178Mbps | 16.5Mbps |
2台接続 | 209Mbps | 10.0Mbps |
3台接続 | 162Mbps | 79.7Mbps |
ジッター速度の比較です。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 50ms | 2ms |
2台接続 | 3ms | 13ms |
3台接続 | 2ms | 1ms |
MacBookでのテスト
MacBook Pro(2020 M1)のテスト結果です。以下全てクリックで拡大して見ることができます。
1台接続
2台接続
3台接続
ダウンロード速度の比較です。2台目接続すると大幅に速度アップし、電波が強くなっている結果が得られています。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 513Mbps | 87.3Mbps |
2台接続 | 267Mbps | 227Mbps |
3台接続 | 309Mbps | 193Mbps |
アップロード速度の比較です。1台では心もとない速度ですが、2台以上では大幅に高速化され、メッシュWi-Fiとしての強みが出ています。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 185Mbps | 38.9Mbps |
2台接続 | 121Mbps | 262Mbps |
3台接続 | 135Mbps | 109Mbps |
ジッター速度の比較です。3台接続時の最長距離にてジッター速度が低くなる結果が得られています。ただし、ブレが大きいため参考値です。
ルーター前 | 最長距離 | |
1台接続 | 0.87ms | 5.6ms |
2台接続 | 0.83ms | 10ms |
3台接続 | 5.2ms | 2.4ms |
Deco X20のメリット・長所
Wi-Fi6対応で安価
Deco X20のメリットはなんといっても安価なこと。メッシュWi-Fiであることを差し引いても、1PackのWi-Fi6対応ルーターで1万円強と非常にリーズナブル。その上で家庭環境など、必要に応じてルーターを追加できるメリットがあります。
円形のすっきりとしたデザイン
白色でアンテナのないすっきりとしたデザインも魅力の一つ。Wi-Fiルーターはこれまで電波を飛ばすために大きなアンテナが着く傾向がありましたが、Deco X20にはそれがなくシンプルなデザインでどこにでもおいても違和感のない外観になっています。
アプリが非常に使いやすい
Deco X20単体というよりもTP-Linkのアプリの評価になってしまいますが、とにかく簡単で使いやすい。しかも表示がモダンになっており、見やすさも両立しています(過去、TP-Linkの製品を使った時にアプリを設定したことがありましたがその時より格段に使いやすくなっています)。
2.4GHz・5GHzの切り替えが容易
アプリの使いやすさの側面もありますが、非常に簡単に2.4GHz、5GHzの切り替えが簡単です。ワンタッチで切り替え可能なので、基本的に家で使うなら、電波干渉の受けない5GHzに絞っておくほうが快適に使えるので、設定しておくと良いでしょう。
追加購入で電波強度を調整しやすい
Deco X20の素晴らしい点はWi-Fiルーターを自宅の環境に応じて簡単に増設できることにあります。しかも、TP-Linkの場合は、メッシュWi-Fiに対応した製品であれば追加できるため、後継機種や安価なモデルを追加して電波能力をあげることが可能になっています。場合によっては、ThinkCentre m75q-1 tinyのようにWi-Fiルーターなしのパソコンを購入し、イーサネットコネクタから直付けで利用するという使い方も面白いかもしれません。
壁掛けパーツが存在(非純正)
かなり重要なポイントとして、非純正ながらDeco X20には専用の壁掛けパーツが存在します。
本来Wi-Fiルーターは周りに障害物が少なく、床から1m程度の高さが出せるところに設置することが高速化の条件になりますが、それを達成するためには壁掛けがもっとも楽。白基調のシンプルデザイン、かつ壁掛けパーツが存在することは大きなメリットと言えるでしょう。
Deco X20のデメリット・欠点
USB端子がない(簡易ストレージが作れない)
Deco X20にはほとんどデメリットはありませんが唯一不満に感じたのがUSBコネクタがないことです。メッシュWi-Fiルーターでは一部の機種でUSBメモリを挿すことによってクラウドストレージ化する機能を持っています。同様にクラウドストレージを作る場合、Synologyのような高級セットアップを組む必要があるため、デメリットとしてピックアップしました。
ただWi-Fi上にローカルにバックアップメモリを残すのではなく、普段からクラウド上にバックアップを残している(例えばGoogle Drive)のであればあまり気にする必要はありません。
みんなの口コミ
ぜひ口コミをご投稿ください。速度測定結果も募集しています。
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6対応のメッシュWi-Fiとして、家の隅々まで電波を届けられる非常に素晴らしいルーターです。メインPCがMacBookになりつつあり、このモデルで特に高速な結果が出た点はユーザーとして嬉しい限りです。3Packまで買うとそれなりにしますが、単品で見れば一般的なルーターと変わらない価格で手に入れられる点も魅力です。
Deco X20がおすすめな人
1戸建て(特に3階建て以上)利用者
Deco X20はメッシュWi-Fiという特性上広い範囲でWi-Fiを構築したい人に有利な仕組みです。3階建てや1.5世帯住宅などの広いエリアを持つ人には居住区に応じてメッシュWi-Fiのポイントを増やせるDeco X20はおすすめです。
今後引っ越しを予定している人
Deco X20のメリットは同じ端末でなくとも、メッシュWi-Fiを追加購入してポイントを増やせることにあります。現在ワンルームであれば、1個のDeco X20を購入しておき、引っ越しした場合に追加購入して接続を強化することも可能です。
自宅でパソコンが定位置にある
メッシュWi-Fi自体は特性上自宅のWi-Fiを行き渡らせることが重要と捉えられることが多いですが、Deco X20のようにイーサネットコネクタが付属する場合、パソコンに直付けすることが可能になり、無線LANアンテナを外部接続するように使うことができます。転送速度が重要なWi-Fiルーターは有線で接続し、かつその周辺は無線で飛ばすという効率的な使い方ができ、仕事をより効率的に進めることが可能です。
MacBookを使う人
今回の検証でわかりましたが、MacBook Pro(M1)での検証より非常に良いスピードテスト結果が得られています。MacBookユーザーにはぜひともお勧めしたいモデルです。
Deco X20をおすすめできない人
USBにて簡易ストレージを作っている人
デメリットで書いたようにUSBを用いて簡易ストレージを作っている人はこのモデルでは作ることができません。この場合はUSB接続可能なら他機種を選ぶようにしましょう。
Deco X20の実機レビューまとめ
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