ThinkCentre M75q Tiny Gen2のレビュー概要
超コスパのミニマムデスクトップ
ThinkCentre M75q Tinyシリーズは前モデル同様にハイスペックなCPUを詰め込んだミニPCです。2020年12月段階では、前モデルよりも若干値段が上がってしまってはいるものの、それでも非常に魅力的な機種。
このモデルは改造用としても人気があり、Ryzen7モデルのメモリなどをダウングレードして5万円台まで価格を落とし、メモリを別途自分で増設することでミニPCとする方法があります。
パソコンに詳しい人ならRyzen7を購入し、自身でメモリを増設する方法がおすすめですが、この記事ではミニPCが欲しいという初心者向けの人のために最も低価格で買えるグレードであるRyzen3を購入し評価を行いました。
簡易スペック表
CPUR | Ryzen 3 4300GE Ryzen 3 PRO 4350GE Ryzen 5 4600GE Ryzen 5 PRO 4650GE Ryzen 7 4700GE Ryzen7 PRO 4750GE |
RAM | 4~64GB |
ROM | 128GB~1TB SSD 0~1TB HDD (SSDの追加不可だが増設可能。詳細は外観を参考) |
GPU | 内蔵グラフィックス |
LTE | 無し |
重量 | 1.25 kg(最大構成) |
MS Officeソフト | 付属無し |
CINEBENCH | 2241 pts |
※詳細のスペックはこちら
※ベンチマークはRyzen3 PRO 4350GEののマルチコア計測値です。シングルコアはベンチマーク結果で公開しています。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2実機レビュー目次
忙しい方はまず特徴をご覧ください。実際に使った感想(主観的な内容)はメリットからご覧いただけるとわかりやすくなっています。
※本記事はLenovo公式オンラインストアから実機を購入の上レビューを行っています。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2の特徴
ここではThinkCentre M75q Tiny Gen2の一般的な特徴に触れています。筆者が使用した感想については、メリット・デメリットからご覧ください。
超コンパクトでハイパフォーマンス
ThinkCentre M75q Tiny Gen2の最大の特徴はなんといっても、コンパクトでハイパフォーマンスであること。実際にデスクに設置したイメージですが、以下のように小さいです。
一般的にPCはコンパクトであることを謡うものが多い一方で、ハイパフォーマンスであることを謳っている製品は少ないものが通例。しかし、ThinkCentre M75q Tiny Gen2では第3世代Ryzenを搭載することでその常識を覆し、コンパクト、省電力、ハイパフォーマンスを実現しています。
信じられないほどの低価格
コンパクトさと価格は常に市場においてトレードオフにあるのが基本ですが、ThinkCentre Tiny M75q Gen2ではその常識が通りません。最も廉価であるRyzen3モデルは5万円クラスで購入できる上に、性能は2世代前のハイエンドデスクトップPCにも劣らない性能となっています。
オプションを削り超低価格でカスタマイズも楽しめる一台
ThinkCentre M75q Tinyが注目される最大の理由がカスタマイズ性です。もともと安価なPCであることには間違いありませんが、それに輪をかけてRyzen7モデルをメモリなどダウングレードして購入することで、5万円台で買うことができます。分解も容易なため、メモリを自分で取り付けたりできる人にとってはこれ以上ないほどカスタマイズPCとしてのコストパフォーマンスに優れています。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2の価格とコストパフォーマンス
何度も繰り返しになりますが、ThinkCentre M75q Tiny Gen2はどのモデルを購入しても、一般的な市場から考えてコストパフォーマンスは高め。後述の通り、今回購入レビューしている5万円台のRyzen3モデルでも十分な性能があります。また、Ryzen7のダウングレード購入し、自分でカスタマイズする前提では、さらに性能対価格の観点でコストパフォーマンスを上げることができます。
現在の価格について
上記は2020年12月18日時点での情報です。現在の価格については以下を必ずご確認ください。
Ryzen7 4750GEモデルをダウングレードで購入したい場合は以下のページから購入ください。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2のスペック
今回レビューしたThinkCentre M75q Tiny Gen2のスペックは以下の通りです。
マシンスペック(技術仕様)
発売日(発表日) | 2020年10月27日 |
サイズ | ー |
CPU | Ryzen 3 PRO 4350GE |
GPU | 内蔵グラフィックス |
メモリ | 8GB |
ディスプレイサイズ | ー |
ディスプレイ | ー |
記録方式 | 256GB SSD |
生体認証 | なし |
フロントカメラ | ー |
リヤカメラ | ー |
Wi-Fi | 純正Wi-Fi6対応アンテナ |
bluetooth | 5.0 |
SIMカードサイズ | 無し |
LTEモジュール | 非対応 |
重量 | 1.25 kg |
光学ドライブ | 無し(※) |
※検証機以外の詳細仕様は公式データをご確認ください。
※光学ドライブは追加可能
スペックの解説
今回の検証機では最廉価のグレードにあたるRyzen3 4300Uモデルで検証を行っています。またメーカー純正のWi-Fiも装着してベンチマーク評価を行いました。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2のベンチマーク(CINEBENCH他)
CINEBENCH R20
CINEBENCH R20の測定値は2241pts、シングルコア458ptsという結果になりました。他機種のデータについてはCINEBENCHの結果一覧をご覧ください。
CINEBENCH R23
CINEBENCH R23(Test Duration 10分設定)の測定値は5754pts、シングルコア1187ptsという結果になりました。
PASSMARK
PASSMARKの結果は以下の通りです。他機種の結果についてはPASSMARKの結果一覧をご覧ください。
Crystal Disk Mark
Crystal Disk Markの測定結果は以下の通り。SSDを計測しています。より高速なSSDを選択することで性能向上が見込めます。
騒音テスト
通常時からファンの音はそれなりに聞こえます。負荷をかけるとファンの音はさらに大きくなります。
動画編集ベンチマーク
Davinch Resolve16を用いて、FHD、30FPSの10分間の動画(エフェクト加工無し)の書き出しを行った結果、6分03秒という結果が得られました。Ryzen3で内蔵グラフィックスであることを考えれば優秀ですが、動画編集にはあまり向かないでしょう。
ベンチマーク時の熱について
動画書き出し時の熱は以下の通りです。CPU温度は70~75℃程度で安定しています。コンパクトで排熱苦しい割には優秀な印象です。
ゲームベンチマーク
FF14
ファイナルファンタジー14 漆黒のヴィランズのベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果はFF14のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
最高品質 | 未計測 | 未計測 |
高品質 | 未計測 | 未計測 |
標準 | 2245 | 普通 |
FF15
ファイナルファンタジー15のベンチマーク結果は以下の通りです。全てフルHD品質でテストを行っています。他機種の結果は、FF15のベンチマーク結果一覧をご覧ください。
モード | スコア | 評価 |
高品質 | 未計測 | 未計測 |
標準 | 未計測 | 未計測 |
軽量品質 | 1186 | 動作困難 |
ThinkCentre M75q Tiny Gen2の通信環境(WI-Fi)のテスト
Wi-Fi6対応のルーター「Deco X20」と接続し、1Gbps光回線環境(IPv6非対応)で通信速度測定を行いました。今回のテストでは、純正で搭載されているWi-Fiアンテナ(Wi-Fi6対応)を用いてテストを行っています。結果、非常に快適な通信速度が得られています。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2のUSB-Cによる充電テスト
本機はデスクトップPCのためテストしておりません。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2の外観
ケース・外部出力
天面です。Ryzenのシールが添付されています。
前面です。電源ボタン、USB-C、USB-A、ヘッドフォンジャックがあります。
左右には通気口のみになっています。
背面のインターフェイスです。コンパクトなボディですが、充実した端子類になっています。今回はカスタマイズしていないスタンダードなモデルですが、カスタマイズで減らすとポート類が減ることになるので要検討してください。
バーチカルスタンドで立てた様子です。
付属の無線LANアンテナを取り付けた様子です。
付属しているキーボードとマウスです。付属品だけあって、どちらも質感はあまり高くありません。
付属の電源アダプタです。65Wが付属しています。
内部構造と外し方
本体はネジ一つで止まっています。ねじを外しスライドさせるだけで本体が開きます。
斜めから撮影した様子です。
内部を拡大して撮影した様子です。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2のメリット・魅力
非常に小さいデスクトップ
ThinkCentre M75q Tiny Gen2は片手で持てるほど小さなデスクトップパソコン。そのため、リビングのテレビ下に置いていても気にならないレベル。それでいて最も最廉価のグレードにあたるRyzen3ですら高性能なので、ミニマムさと効率を両立したモデルとなっています。
インターフェイスに優れる
ThinkCentre M75q Tinyは小さなボディですが、フロント、背面ともにインターフェイスが充実しています。ディスプレイを2ポート出すことも可能なので、小型PCながら拡張性の高いモデルと言えます。
VESAマウントオプションでモニター裏に設置可能
ThinkCentre M75q Tiny Gen2は小型なので、リビングなどにおいて使いたい人もいるでしょう。そういった人のためにVESAマウントホルダーをオプションで選ぶことができ、擬似的に一体化することが可能です。VESAマウントモニターについては、公式サイトをご覧ください。
一体型PCとして、当サイトではIdeaCentre AIO350をレビューしていますが、ほぼ同価格帯であるものの、性能面で見ればコスパは圧倒的にこのTinyの方が高くなります。モニターを購入して一体型にする手間はありますが、性能を重視するなら全てにおいてTinyに利点があります。
65W電源で省電力性に優れる
Think Centre M75q Tiny Gen2の魅力は小型であることだけでなく、ハイスペックなプロセッサを搭載しながら、本体電源は65Wであり、一般的なノートパソコンと変わりません。デスクトップパソコンは特性上、出力が必要となるケースが多いので、電力的に有利になります。
最高性能でも5万円で買える
今回はRyzen3モデルを購入しレビューしていますが、パソコンに詳しい人ならRyzen7モデルをダウングレードして購入し、メモリを増強するべきです。今回の検証でも実力がわかるようにRyzen3でもCinebench 2000ptsを超えており、Ryzen7であれば4000ptsを超えるようです。自分改造する手間がかかるものの、5万円クラスでCinebench 4000ptsクラスのパソコンが手に入るのは非常に魅力的です(※Cinebench 4000ptsは一世代前のハイスペックデスクトップPC並)。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2のデメリット・欠点
コンセントが大きい
65WでUSB-PD入力には対応していないため、コンセントが大きくなります。オプションのVESAマウントがあるため一体型PCとして構成できる点は魅力ですが、コンセント類の取り回しにおいては弱点となる恐れがあります。
SDカードスロットがない
デスクトップPCでは標準でついていることの多いSDカードスロットは付いていません。またオプションでもスロットの選択肢はありません。別途SDカードスロット用のハブを購入する必要があります。
みんなの口コミ
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2020年に発売されたモデルの中でVESAマウントに設置できるデスクトップとしては、最もコストパフォーマンスに優れた一台。純正で買うよりもカスタマイズしてRyzen7 Pro 4750GEモデルを購入することがおすすめ。
女性目線の口コミ
普段、Let's NoteのSZシリーズを使っている妻からコメントをもらいました。ライトユーザーとしての一意見として捉えて頂ければと思います。
女性目線のコメント
- 驚くほど小さくてびっくりする
- 本体デザインが黒で主張が強くない
ThinkCentre M75q Tiny Gen2がおすすめな人
コンパクトなデスクトップが欲しい人
ThinkCentre M75q Tiny Gen2はなんといってもコンパクトさが魅力。デスクの上をスッキリさせておきたい人にとってはこれほど魅力的なモデルはないでしょう。VESAマウントでモニター背面に設置したり、デスク下に配線トレーなどでThinkCentre M75q Tiny Gen2を設置して、机の上をフリーにさせることが可能です。
安くて高性能なパソコンが欲しい人
通常、ミニマムさと価格は両立しませんが、本モデルは両立してしまいます。しかも本体は驚くほど高性能。デスクトップPCでコストパフォーマンスを求めるなら一択と言えるほど魅力的なPCです。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2がおすすめではないタイプ
動画編集で使うminiPCを求めている人
ThinkCentre M75q Tiny Gen2は非常に優れたモデルですが、動画編集をするのであればMac mini(2020、M1)を購入する方が良いでしょう。価格は上がってしまいますが、ThinkCentre M75q Tiny Gen2がGPUを積んでいないこと、Mac miniのM1プロセッサが動画編集に対して有利なこと(特にネイティブ動作するFinal Cut Pro)を考えた上で、価格差が2万円程度なのでそれならば追加費用を払ってでもMac miniを購入する方が良いでしょう。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2のカスタマイズ・モデルの選び方
ThinkCentre M75q Tiny Gen2をカスタマイズする場合は大きく分けて二つの選択肢があります。一つはPC初心者の人がそのまま買うケース。この場合は、最も値段の安いRyzen3モデルをカスタマイズ無しで購入するのが無難です。その場合は必ずWi-Fi付きモデルを選択することをおすすめします。
もう一つはパソコンに詳しい人がRyzen7モデルをダウングレードして購入するケース。メモリ、バーチカルスタンド、インターフェイスなどを削ることでRyzen7モデルでありながら、Ryzen3とほぼ同価格で手に入れることができます。この場合、価格.comモデルからのカスタマイズが最も安くなるので、以下のページからカスタマイズを行ってください。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2の実機レビューまとめ
コンパクトかつ高性能で安いミニPC
結論
ミニPCは一般的に性能のわりに価格が高く、価格に見合わないケースが多いですが、ThinkCentre M75q Tiny Gen2は一切そういったことはありません。逆にこれほど、魅力的なミニPCはないほどです。
ミニマムなデスクトップPCが欲しいと考えているなら、まず選んで間違いがありませんし、パソコンに詳しい人ならカスタマイズでよりコストパフォーマンスを追求する方法もあります。
どちらにしても、ThinkCentre M75q Tiny Gen2は筆者から見ても非常におすすめのコンパクトデスクトップPCです。
ThinkCentre M75q Tiny Gen2を安く買う方法
Thinkcentre M75q Tiny Gen2に限らず、Lenovoのパソコンを安く買う方法については以下の記事でまとめています。購入を検討されている方は必ずご覧ください。
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